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第十四話「日常を生きたい」
女教師が敵だと言われて一週間。
俺はその憶測から故意に逃亡して、難しいことを考えないよう、日常というぬるま湯に浸かった。
過去の俺が憎んで、憎んだ日常。しかし今では、そのぬるま湯すら気持ち良い。
誰からも期待されず、ホコリとして扱われる日常は消え去り、女教師から期待され、この学校の誇りとして生きる日常へと変貌した生活。
だから俺はこのぬるま湯が好きだ。
優しい女教師を敵だと妄信する日々よりも、彼女と共に和気藹々と過ごす日々の方が好きだ。
だから仕方ない。難しい真実から逃げることも。
楽しいことへと逃亡することも。
仕方ないことだ。
そう、仕方のないこと。
だから別に、この日常を何も考えずに生きてもいいよな。
たとえそれが過去の俺が最も憎んだ、薄っぺらい代物でも。