トライアングルレッスンU〜執事喫茶〜
下野紘・巽悠衣子の
小説家になろうラジオ
巽さんお誕生日お祝い恒例企画
『トライアングルレッスン』
今回はUがテーマで
ラジオに投稿しました。
(投稿したメールにちょっと加筆しました。)
「まったくもう、熱があるなら来るなっつー話だよなー。」
「ゆいこはオレ達の執事の格好が見たかったんだろ…仕方ないよ。」
保健室のベットでまるで眠れる森の美女のようなゆいこを挟んで向かい合わせで執事姿のたくみと座っている。
執事姿と言ってもたくみはもう、ネクタイを緩めてシャツのボタンをはずしていた。黒縁のメガネはかけたままだったけど。
「仕方ないよ…じゃねぇよ、、熱があるなら大人しく家で寝とけっつーの。」
それはたくみが「絶対学祭来いよ」って誘ったからだろ…と余計なひと言を言いそうになる。
ゆいこが言っていた。
「たくみの絶対は絶対守らなきゃいけないんだぁ。」と…。
たくみは文句を言いつつもゆいこに向ける眼差しは優しさで溢れていた。
ゆいこの寝顔なんてもう一生見る事はないだろうなぁと思っていたから、つい笑みが溢れてしまう。
「男子校の学祭に、イケメン目当てで来る
女子は多いみたいだよー…なんかやだなぁ。」
それは数日前のこと、うちのクラスで“執事喫茶”をやると言った時に、ゆいこは心配そうな顔をしてこう言った。
進学してから初めての学祭…確かに昨年学校見学がてら参加した学祭は、男子校とは思えないほど女子がいた記憶がある。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
オレ達のクラスの“執事喫茶”は大盛況で、ゆいこが遊びに来てくれたのに、話す事が難しく軽く挨拶くらいしか出来なかった。
女子…いや、お嬢様方のご要望に応えるべく、
飲み物を運び
かけ慣れない銀縁メガネをクイッとあげる。
お嬢様方は小さい声で歓声をあげる…
全く理解しかねる。
愛想のない感じもまた良いだのと
お嬢様方の会話が耳に入る。
やれやれと思っていた矢先
ゆいこが倒れた。
オレよりも先にたくみがゆいこの元へ一目散に駆け寄った…
「ゆいこ大丈夫か?
ひろし!?おい一緒に連れて行くぞ、保健室!」
そう言ってゆいこをお姫様抱っこしたたくみ。
周囲のどよめきなどお構いなしに廊下に出た2人の行く先の人混みをかき分けオレは道を作った。
そして今に至る。
「それにしても、たくみは執事として完璧だったよ。」
「オレは別にゆいこの執事になんてなりたくないよ。
…ゆいこの彼氏に…なりたい…んだから…。
幸せにしてやりたい…絶対…。」
ようやくたくみの本音が聞けて
なんだか安心した。
ゆいこが寝たふりを始めようとするのに気づいた。
「それは、オレじゃなくゆいこに直接言ったら?
お目覚めですか?ゆいこお嬢様?」
白手をはめ直して保健室を出ようと立ち上がる。
振り向かずに2人に手を振った。
「ゆいこの事泣かせたら許さないからな。」
保健室のドアを開ける。
それはとても清々しい気持ちだった。
お読みいただきありがとうございます!
私はメガネをひろしとたくみに
どうしてもかけて欲しくて
トライアングルレッスンのテーマ発表を待ち侘びていた所…テーマはU
メガネ×ユニホーム…
全然思いつかなくて、執事さんにしてみました。
ひろしの給士は完全にお客さんとして私この学祭に参加してる程です(笑)
メガネをくいっと…
良きです、良きです。
ゆいこ、熱を出しちゃう設定にしてごめんなさい。
ゆいこの天真爛漫さが出なかったですね。
せっかくの学祭なんだから
元気に青春させてあげれば良かったなぁと思いつつ…。
たくみとゆいこはミューチュアルパイニング(両片思い)と言うことで許してください。