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第一話 男→TS→極上美人→混沌

久々に投稿ですね。はい。リハビリ的な意味で書いてみました。

朝、俺は起き上がり髪をわしわしと掻き毟ったが………何かおかしい。髪の毛が非常に重い。掻きあげる度にワサァみたいな感じで指にまとわりつく。それに胸部に違和感がある。下を見ると女性だけにあるはずの母性の象徴が。しかも平均より大きい気がする。夢か?夢なのか?頬を思いっきりつねった。が…

「イタッ…」

覚めない…よーし。一つ言わせてもらおう。きっと、こういう時にこの台詞はあるんだ。

「不幸だぁぁぁ!」

すっきりしないな。うん。

「はぁ…とりあえず、鏡見てみようかな」

布団から起きあがった瞬間胸部のあれがポヨンと蠢いた。ヤバい。重い。女子って結構苦労してんだな。

そして、階段を下りる度に…ウザイ。

ごく普通の洗面所の鏡をのぞき込むと端正な顔をした大和撫子チックな美人がいた。漆のような髪の毛は背中の半ばくらいまである。ペタペタと頬をさわってみるとムニムニと弾力があり、昨日までの俺の頬とは大違いだ。なんつーか女子ぃ。けど、声はあんまり変わってないんだな。

それに、この顔は…芸能人レベルじゃないか?

唐突に俺はガツンと洗面器を叩いた。

「こんなのんきなことを考えてる場合じゃない!服とかどうすりゃぁいいんだ?」

母親が居ればどうにかなるのかもしれないが、生憎親父とともに俺をほっといて遙か遠くの東京に転勤しやがった。……逆に居たら居たで怠いか。うーむ。そうなれば、アイツに電話して助けて貰うしかないのか?やだなー説明しなきゃならんのか。

しょうがない。

再度、自分の部屋まで駆け上がり携帯のメモリの中から【平野鈴祢】という名前に電話をかける。

無機質なコール音の後

「朝から何よ!?こちとら、まだ眠いんだけど!」

だから嫌なんだよ。コイツは朝がめちゃくちゃ機嫌が悪い。下手に起こしたら本当に寝起きか疑いたくなるような鮮やかな動きでローリングソバットを決められるとは不憫な彼女の妹の談。

「すまん。真面目にヤバいから家に来てくれないか?」

「はぁ!?意味わかんない!死にたいの?死にたいのね!」

怖ぇぇぇええ!コイツを一回リアルに怒られたときは鉄○並みの鮮やかな空中コンボを決められた。壁際に追いつめられて即死でした。

「リアルなんだ。言っても信じてもらえないだろうから見に来てくれ」

うん。朝起きたら見知らぬ美人になってましたとか怪しい通り越して事実ではなかったら変態だもんね。

……自分で言って悲しくなってきた

「下らないことだったらぶっ飛ばすわよ!」

そう彼女が吼えた後プツリと電話は切れてツーツーと電子音が響いていた。

なんだかんだで来てくれる彼女に優しさを感じる。ローリングソバットとかコンボはパスだけど。

「さぁ…どうするかな?顔でも洗っていつも通り飯でも作るか」気も紛れるし…

包丁を取り出した時に自分の顔がそれに映った。それを見て夢じゃないことを再び感じて大きなため息がでる。

はぁ、本当に幻想殺しなあの人並に不幸だ。俺の場合男にフラグがたちそうだけど。うわっ、寒気がしてきた。

流石に女になったとは言えホモじゃないし、男になんか抱かれたくない。

ベーコンを切っているうちに作る気が失せ、包丁とベーコンをそのままにしてリビングの冬になるとこたつになる机に座る。

学校とかどうすればいいんだ?さらし巻いて行っても面影はあるけど顔も違うし、髪の毛は長いし、絶対無理だ。

女子の制服で……無理だな。入れそうにない。それにスカートはなんかやだし。

「〜〜〜♪〜〜♪〜」

フライパンを振っているといつの間にか俺はいつもの癖で鼻歌を歌っていた。この格好だとなんか…凄まじく乙女チックだ。選曲はヘビメタだが。

適当に作ったものを盛りつけていると高橋名人も真っ青な光速連打で来客を知らせる電子音がかき鳴らされる。

「待てい。壊れるだろうが」

「あんたが遅いのが…………誰よ?」

走って玄関を開けると石みたいに固まった腐れ縁の彼女が一人。よく考えろ俺。今の俺の状態を。

普通の男→TS→極上美人。

誰だか分からないよな。

「あー。俺だ。とりあえず、性別変わったけど俺だ」

「まさか…流雨?電話で言ってた信じてもらえない事ってそれ?」お?理解が早いな。こっちとしてはかなりありがたい。

「声は変わってないみたいだし。案外あるのかしら?そんなとんでもファンタジーが」

「朝起きたら胸があってビビった。ていうかお前落ち着きすぎだろ?」

「まぁ、吃驚したけど」

そう言うとニヤリと背筋に寒気の走るような笑いを浮かべた。まるで新しい玩具を見つけた子供のような…

あぁ、俺は女になってもまだ遊ばれるのか…

「あの〜鈴祢さん?」

「流雨。今すぐ着替えなさい!ジーパンとTシャツみたいな女でも可笑しくない格好に。服買いに行くわよ!今日は私のおごりよ!」

ビシッと俺の目の前に人差し指を立て声高々に宣言した。

こんなんだから美人なのに彼氏いない歴=年齢なんだよ…人のこと言えないが。

「なんか言ったかしら?」

「いえ!着替えて参ります!」

コイツには口喧嘩も含めて勝ったことがない。男としてどーよ?とか思うが今は女だもん♪馬鹿らし。はぁ、鬱だ。

俺は着替えながらむなしい独り言を頭の中で繰り広げながら気づいた。

……着替え?己が裸体?中身男。外見女。どーする?いろいろ鬼門だ。

「早くしなさい!」

うぇ〜。下からすごい催促されてる。

えぇぇぇい!もうどうにでもなってしまえ!

上に着ていたTシャツを脱ぎ捨て自分の大切な何かを削りながらタンスの中から落ち着いた色のTシャツをひっつかみ素早く着用。更に自分の頭が追いつく前にジャージのズボンを脱ぎ捨ててジーパンをはいた。

すさまじい戦いだった(理性との)

早いとこ降りよう。階段がなぜか薄暗く更なる地獄に続いているように見えるのが気のせいだと信じたい。

それを降りた先には……

「美味しい。また腕上げたようね」

俺が作り上げた料理をほおばる幼なじみ一人。

俺の朝飯…食われてるし。

「ごちそうさま」

パンパンと手をはたいて立ち上がった彼女は律儀に皿を洗い場に持って行ってくれた。有り難いけど問題はそこじゃない。

「何食ってんだよ!?」

「朝ご飯。あんたに呼ばれて食べてなかったのよ。なんか文句ある?」

「アリマセン…」

それを言われたら反論できねーって。

「ならよし!買う服の目星も付いたし…行くわよ」

いつの間に調べた?この人。

「ボケッと突っ立ってんじゃないわよ!私が急いでんだからあんたも急ぐ!」

「はぁい」

彼女は俺の手を掴み、玄関まで引きずり勝手に靴を履かすと立ち上がらせ外に押し出した。

そして、どこからか俺の家の鍵を出し閉めた。

「目指すは新しく出来たモールよ!」

なんか一瞬ですごく疲れた…きっと元々疲れてたんだろうけど今のが一番キた。幼なじみとはいえ男の家の鍵持ってるってどうよ?

「お前何時俺の家の鍵作ったんだよ?」

「中二の時」

「はぁ…もう、いいや」

全身から力が抜けるような気がして俺はため息を吐いた。

神よ。俺が嫌いですか?

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