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属性鑑定

「はじめまして、勇者様方。王国直属鑑定士のハンナと申します」


 呼ばれてきたのは、大体20代後半くらいの女性だった。紫のローブを身にまとい、ブロンドの髪をハーフアップに纏めた、ものすごい美女だった。あとおっp………豊満な胸をお持ちのようだ。


「………青木くん、見すぎ」

「おふっ!?な、なんのことかなっ?」

「………フンっ」


 違うから。視界に占める割合が大きいから必然的に目に入ってしまっているだけだから。決して、そういった感情は持ち合わせていないから。


「準備いたしますので、少々お待ちください」


 ハンナさんが、机と人数分の椅子を用意し、机に鑑定器らしきものを置いた。その鑑定器は、丸いお盆の周りに6つの小さな水晶がはめられているようなものだった。ハンナさんは、そのお盆に水を注いだ。


「それでは、おかけください」


 準備が終わったらしいので、僕たちは椅子に座った。


「今から属性の鑑定を始めます。まず、この水に手を浸けてください。すると、この周りの水晶が光ります。赤が火、青が水、緑が風、茶色が土、黄色が光、紫が闇の水晶です。そして光の強さが、属性力を示します」

「「へぇ」」

「それではまず、七海様からお願いします」

「は、はい」


 鈴村さんが鑑定器の水に手を浸けた。はたして、どの水晶が光るのか。その結果は


「まあ!4属性です!おめでとうございます!」


 光った水晶は、火、水、風、土の4つの水晶だった。さらに光の強さも全て均等だった。


「属性割合ですが………え?」

「「え?」」

「いや、そんなはずは………」


 ハンナさんが急にあたふたし始めた。何かトラブルでもあったのだろうか。素人の僕からだと、特に変わったことはないが。


「ど、どうしたんですか?もしかして私、何かやばい感じですか?」

「いや、そうではなく………」

「ハンナよ、何があったのだ?」

「そ、それが………計算上だと、属性割合が限界突破していて」

「「限界突破?」」

「はい、というのも………」


 どうやら、属性割合というのは限界を100%だとして、光り方の度合いがそれを超えていることらしい。例えば、鈴村さんの4属性だったら、すべて均等に割合が振り分けられるなら、Ⅰ属性につき25%になる。だが鈴村さんは………


「限界値を超えて、本来の1.5倍は光り方が強くて。こんなことは初めてです………」

「あの、もしかして、私、結構当たりってことですか?」

「結構なんてものではありません!!歴史上でも、類を見ない例です!!」

「あ、はい!」


 ハンナさんが興奮して、立ちながら熱弁し始めた。おお、胸の躍動感すんごい。


「属性力が強いということは、そこから生まれるユニークエレメントももしかしてとんでもないものになるのでは!?え、やだ、すごい!!」

「ハンナよ。すごいこと分かったから、落ち着きなさい」

「あ、はい、御見苦しいところをお見せしました。申し訳ございません」


 お姉さん系の人がはしゃいでいるのは、こう………形容しがたい良さを感じる。


「失礼いたしました。では、智信様の鑑定を始めますので、お願いします。


 僕も、お盆の水に手を浸ける。鈴村さんは、かなり稀有な例というのは、ハンナさんの反応から分かった。まぁ、僕がそんなとんでもないことになるなんてことは、確率的にもないに等しいだろう。そこまで期待してない。そして、水晶が光り始めた。結果は


「は!?え!?うそ!?」


 ハンナさんの反応から分かる通り、何と僕にも珍しいことが起きた。結論から言うと、僕の属性は光と闇だった。2属性だから、鈴村さんほどではなかった。まぁ確率なんてそんなもんだ。でも、一体何が珍しいのだろう。


「光と闇の組み合わせ!?」


 え、そこなの?


「あの、青木くんには何が?」

「本来なら光と闇の組み合わせは、互いの属性が反発しあうせいで、存在するはずがないんです!」

「あ、そうなんですね」

「それだけじゃないんです!」

「あ、そうなんですね」


 またハンナさんが立ち上がって、大げさに体で表現しながら、熱弁し始めた。


「この光の強さは、本来1属性のみの人が発する強さなんです!でも智信様は、その強さの光の水晶が2つ………」

「つまり、200%ってことですか?」

「そうなんですよ智信様!」


 おお、ハンナさんがものすごく食いついてきた。あの、近いです。主に胸が。


「属性力が常人の2倍って、なんですかそれ!?それで光と闇の組み合わせって………ありえませんよぉ」


 とにかくすごいことは分かった。


「ハンナよ、落ち着きなさい」

「はっ!……失礼いたしました。また昂ってしまいました」


 王の一声で、ハンナさんはすぐに僕から距離をとり、椅子に座った。


「というわけで、続いてスキルの鑑定に移りますね」

「はい!楽しみだね、青木くん!」


 まぁ楽しみではある。どうやら、属性で当たりを引いたらしいし、次も期待できそうだ。


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