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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕は明日も君のいなくなる今日を繰り返す

作者: 秋野 雅

あれは4月27日のことだった。

授業終了のチャイムが鳴り響く。それと同時に僕は帰りの支度をして同じクラスの彼女のもとへ行く。

「帰ろうか」

「うん」

今日の彼女はいつもより口数が少ない。普段ならここで今日の愚痴タイムが始まるはずだった。小さな変化だがこれが大きな意味を持っていたということにこの時の僕はまだ気づいていなかった。

僕たちが通う高校は駅に近く駅まではあっという間についてしまう。駅に着いた僕たちは改札をくぐりそれぞれのホームへ向かう。僕と彼女は反対方面なためいつもホームで向かい合い手を振って別れる。この時まではいつも通りの日々が続いていた。

しかしここから先は違った。手を振りあった直後に電車が通過するとのアナウンスがあり特急列車が彼女の前を通り過ぎようとしたその時、彼女が電車に向かって飛び込んだのだ。


耳をつんざくブレーキ音


帰宅途中の高校生の悲鳴


飛び散る彼女だったモノ


すべてが現実のものとは思えずに僕は立ち尽くした。不思議と涙は出なかった。しかし、胸の奥で大切な何かが壊れる音がした。

その後数時間遅れで帰宅した僕は彼女にライムを送る。いつもなら10分もすれば返信があるのだがいつまで待っても返信はない。そこでやっと今日起きたことが現実だと実感する。彼女を失った悲しみに打ちひしがれて泣いているうちに僕の意識は遠のいていった。


目を覚ますとそこは見慣れた自室の天井だった。変な夢でも見たと思い時計を確認する。すると時計は4月27日の7時30分を示していた。正夢にはならないと思い今日も普通に学校へ行く。すると彼女もいつものように登校してきており安心する。

授業が終わり帰り支度をして彼女のもとへ行く。

「帰ろうか」

「うん」

なぜか今日は口数が少ない。夢に見た状況と似ていると思い少し不審に思う。

駅につき彼女に手を振る。その時夢が現実に変わった。


耳をつんざくブレーキ音


帰宅途中の高校生の悲鳴


飛び散る彼女だったモノ


すべてが現実だったことに気が付いた。どうやら今日から僕は君がいなくなる今日を繰り返すことになったようだ。


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