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4-3


「これが、わしの知っている〝マザーの戦い〟の全てじゃ」

 ハークは氷がとけて温くなったジュースを一気に飲みほした。


「な、なんか、私が今まで悩んできたこととか、生きてきたことが小さく感じます」

 私はかたくなったハンバーガーをテーブルの上に置いた。


「そりゃ、突然、ワシらのことを聞かされれば、誰でも驚くのう。じゃが、おぬしら人間も捨てたもんじゃない。確かに、わしらのように戦争も繰り返したし、まだ戦争をやめない国もある……じゃが、わしらが、おぬしらに感心したことがある。それは学ぶということじゃ。わしらなんぞ、戦争の無益さに気がつくまで、地球を四つも壊してしまった。人間の学習能力は半端ではないな」

「そう……かもしれませんね」

 私とハークは目を合わせ、お互いに笑みを浮かべた。


 ハークがまた、ご自慢の長髭に手を触れる。

 その時だった。

 廊下から「ドタドタ」と足音をたてて、猫人間が血相を変えて部屋に入ってきた。


「失礼します、ハーク様」

「なんじゃ、騒がしいのう」

「〝悪魔の蓄音機〟が見つかりました」

 それまで、優しい目をしていたハークが、恐ろしい獣の目をした魔族の顔になった。

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