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異世界桃太郎  作者: 気紛屋 進士
第一章
10/11

閑話    ~女勇者シオン=リアクロス!~

出すのがカタツムリ的に遅れてすいません。

ついにスマホ没収かと思うとなんかやる気でなく⋯

おっと誰か来たようだ

 前回より少し前。

 アルカンデリア王国、王都フリューセンの中央に位置する城の中、1人の男が世話しなく書類の山を片付けていた。

 しかし、その書類の山は一向に減る気配がしない。

 時折入ってくる事務官のような女性が次々に書類を追加してくるからだ。

 男は引き続き書類を片付けていく、そして幾分かしていると部屋のドアを叩く音がした。

 書類を片付けている男は部屋に入る許可を出した。

 入ってきた男は全身鎧(フルメイル)を纏った中年の騎士だった。

 そして書類を片付けていく男に話しかけた。


「陛下、例の人物見つかりました」


 先ほどまで書類を片付けていた男、アルカンデリア王国167代目の王、カルロス=アルカンデリアは顔を上げ、口を開いた。


「ついに⋯〈勇者〉が見つかったか⋯⋯、にしてその者は今どこにいる?」


「今、王城の二階、17客人室に母親とともに招いております」


「そうか、つまり〈勇者〉はまだ子供ということか⋯⋯育成はしやすいな」


 王はそう言いながらも顔が曇っていた。

 なぜなら勇者が幼いと準備期間が長いが、

 それだけ危機が大きいということだからだ。

 王は苦しい顔をした。

 今まで通りのしきたりに従うならば危機への対処のために〈勇者〉の育成に、〈勇者〉の育成だけに力を入れればいいのだが、

 いかんせん今の世の中、この約500年間の世の中が平和過ぎた。

 五百年以前の騎士団ならば大抵の騎士団が下級の竜を討伐出来ていたと言う文献があるが、今の騎士団では王都騎士団と近衛騎士団くらいしか討伐できない。

 兵の錬度、武器のレベル、技術、意欲などもろもろのレベルが下がっているのだ。

 そのため約一年前に〈聖剣〉が光輝き、〈聖剣〉に宿る大天使ヴァルキリア=クロスカリバーが現れ、魔王が十数年後に復活すると告げた時には王国の政府は大きく揺れた、




「へ、兵の増強を始めろ! 今すぐにだ! そして鍛冶師どもにいい武器を作らせろ!」


「十年ちょっとで魔王軍に対抗できるのか? 

 五百年前の大戦では幾千の魔法武器が砕かれ、

 各国の選りすぐりの兵たち一万を失ったそうじゃないか。」


「それでもやるしかないだろう! やらねば世界は魔王の手の内だぞ!」


「だから私は前に騎士団を増強するように、貴族会議でいったんじゃないか。」


「お前の騎士団だってワイバーン討伐がギリギリ出来るくらいではないか!」


 王国貴族たちは大騒ぎした、今まで兵の育成を怠っていた者たちが、自らの騎士道を磨くことなどするわけがない。

 そのため国の上層部は大きく揺れた。

 あるものは


「守りを固め〈勇者〉を魔王の暗殺に向かわせるのはどうだ?」


 と提案したが、それに他の貴族の一人が


「それは九百年前の魔王との戦いでのやり口だ、その頃は〈剣聖〉ヤイバ=イスルギもいたではないか!」


 といったことでその貴族は黙ってしまった。

 あるものが案を出し、またあるものがダメ出しする、

 それが幾分も続いた。

 その不毛な争いは⋯


「⋯静まれ」


 王の一言で終わった。


「皆の者に告ぐ! 

 今すぐ騎士団の訓練を始め、今ワイバーンを倒せない騎士団はハイワイバーンを、ワイバーンを倒せる騎士団なら下級竜を倒せるレベルまで引き上げろ!

 そして鍛冶師どもにありったけの素材を用意し各騎士団に行き渡るように武器を作らせろ!

 いくら金が掛かっても構わん! これは戦争なり!」


 王のその言葉に先ほどまで騒ぐくらいしかできなかった貴族たちは口を閉じ、敬礼した。




 それから約一年。

 まだまだ未熟ながらもワイバーンを倒せる騎士団が増え、中にはハイワイバーンを倒せる騎士団も現れ始めていた。

 そんな中、〈勇者〉が見つかった知らせは嬉しいものだが

 〈勇者〉が子供と言うのはなかなか嫌な知らせであった。

 王は暗い考えが顔に出ぬよう切り替えた。


「〈勇者〉と、勇者の母君を王の間に案内せよ。 今から拝謁する」


「はっ! 承知しました」


 すると騎士は敬礼し、部屋を後にした。


 王はため息をつきつつ、秘書を呼び、仕事の引き継ぎをした。

 そして部屋を出た。




 王が〈勇者〉に拝謁したのは部屋を出てから小一時間後だった。

 王は先ほどまでの服装とは打って代わり、きらびやかで美しい王族らしい服装に着替えていた。

 そしてその前には若干汚れてはいるがそこそこ良い服装をした女性が腕に子供を抱いて畏まっていた。


「面を上げよ」


 王にそういわれ女性は顔を上げた、

 女性は金髪とそばかすの目立つ普通の村人のようだ。

 王は女性に問いかけた。


「主の子供が〈勇者〉なのか?」


「わ、私にはよくわかりませんが、⋯この子の左手におとぎ話の〈勇者の紋章〉があるのは確かです⋯」


「ならばその手を見せてみよ」


「わ、わかりました⋯⋯⋯あの、少し近づいてもよろしいでしょうか?」


「なぜだ?」


「ひぃっ!」


 女性は怯えてしまった。

 王族に謁見するなど普通は無いので怯えるのも仕方がない。

 王はそれを悟り、優しく話しかけた。


「我は怒っているのではない、理由を聞いてるだけだ」


 女性は怯えながらも答えた


「まだこの()は生まれてわずかなのです、生まれて一年あるか、ないかくらいで⋯とても体が小さいのです⋯」


「なるほどそういうわけであったか、

 ならばよい、近づくのを許可する」


 そういわれ女性はびくびくしながら王に近づき、

 腕に抱えた子の左手の甲を王に見せた。

 そこには剣と翼の紋章、まさしく勇者の紋章があった。

 王は驚いた、紋章よりも⋯


「女子だと⋯!」


 女性に抱えられていた〈勇者〉は女子だったのだ。

 〈剣聖〉や〈拳聖〉は女性だったこともあるが、

 〈勇者〉は史実、男しかなったことはない。

 王はそれゆえ驚いたのだ。

 女性は王に凝縮しながら話しかけた。


「そうなのです、私の娘、シオンは女の子で

 これも〈勇者の紋章〉じゃないはずです」

「騎士長、どういうことだ?」


 先ほど王を呼びに来た騎士は答えた。


「実は〈勇者の紋章〉を持ったその女子が見つかったのは啓示を受けてすぐだったのですが、

 何かの間違いだと思い、この一年国中を探し回りました。しかし⋯」


「見つからなかったのだな」


「はい⋯」


 近衛騎士団は一年男の〈勇者〉を探し続けたが、見つからなかった。

 そして騎士長はこの〈勇者〉が本物であることを信じたのだろう。

 この女子が勇者であることを確認する方法はただ一つ


「宝物庫から〈聖剣〉を運んでこい」


「はっ!」


 騎士長は部下に命令した。

 そして幾分かすると数人がかりで一振りのとても美しい剣、〈聖剣〉を運んできた。

 王は女性に話しかけた。


「少しその子を貸してもらえますかな?」


「え?あ、はい」


 女性は戸惑いながらも眠ってる子供を王に差し出した。

 王は羽織っていたマントを地面にひき、その上に子供を寝かせて言い放った。


「〈聖剣〉をおとせ!」


「はっ!」


 その言葉に女性は目を見開いて驚愕し、

 一刹那の後懇願した。


「王様お願いですからそんな酷いことをなさらないでください!」


「安心しろ、死にはせぬだろう」


「ですがシオンは女の子なのです。傷でも負ったら⋯」


「魔女裁判にかけられ、母子ともども死ぬよりはマシであろう」


 女性は絶句した。

 天使教狂信派による魔女を見分けるため執り行う魔女裁判、

 その裁判を受けることになったら死は確定なのだ。


「〈聖剣〉は〈勇者〉ならば何の危害も与えぬし、

 純白な子供ならば〈勇者〉でなくても天使様がお守りしてくれるだろう。」


「しかし⋯!」


「騎士長!その子供に〈聖剣〉を落とせ!」


「はっ!」


 騎士長は部下に命令した。

 そこからは何もかもがスローモーションになったようだった。

 騎士長の部下たちが寝ている子供の上から〈聖剣〉を落とした。

 王はその瞬間を受けとめるため、目を見開いた。

 騎士長も王と同様にその様子を監視するようにじっと見つめた。

 女性は顔に手を当て、その瞬間を目にするのを避けた。

 刻一刻と〈聖剣〉と子供の距離が近づいていく。

 その距離がゼロになったとき、騎士長は口を開いた。


「なるほど」


 子供は無傷だった。

 つまり子供は本当の〈勇者〉だったのだ。

 女性は目から涙を流し喜んだ、よかった本当によかった。と。

 王はそんな女性に語りかけた。


「この子供の名前はシオンだったな」


「は、はい」


「ではセカンドネームを与えてもよろしいかね?

 〈勇者〉にはセカンドネームを王が与えるのが伝統だからな」


「ぐ、具体的にはどんな⋯?」


「主に天使様の名前から取った文字が多い、

 その子なら〈勇者〉シオン=リアクロスなどでどうだろう?」


「は、はい。ありがたき幸せでございます」


 すると王は兵士たちが四人がかりで運んでいた〈聖剣〉を立て、その前にシオンを置いて天使教の誓いをした。


「我、アルカンデリア王国第167代目王、

 カルロス=アルカンデリアは聖剣天使ヴァルキリア=クロスカリバーに〈勇者〉シオン=リアクロスを歴代最高の勇者へと育て上げることを誓う!

 願わくばこの〈勇者〉へのささやかなる祝福を!」


 そう王がいうと〈勇者〉シオンに光が宿った。

 そして額に天使の羽のような眩しく光る紋章が現れ、ふっときえた。

 王はそれを見届けると、再び女性に話しかけた。


「あなたの子、シオンを必ず歴代最高の勇者へと育て上げます、

 そのためしばらく会えなくなるかもしれませんが構いませんか?」


「⋯またあえるんですよね」


「もちろんです」


「ではシオン殿を預からしてもらいます」


 するとメイドが数人やって来て寝ているシオンをどこかへとつれていった。

 一人のメイドが女性へと近づき、女性をシオンとは違う方向へとつれていった。



 そして王は肩の荷をおろすかのように息をつき、騎士長を手招いた。


「冒険者ギルド長に魔法学院長、天使教最高司教に連絡を取れ、天使様に誓いを立てた以上守らねばならぬからな」


「陛下ならばあの〈剣鬼〉アストレア=アルフォードと〈大魔法使い〉マーリン=アルフォードにも連絡を取るべきでは?」


「彼らは友人だ。直接手紙を書きたい」


「なるほど、そうでありましたか。では他の有力者たちや他の国とも連絡を取ります」


「ああ、任せる」


「はっ!」


 そして騎士長は部屋を後にする。

 王は顔を上げ、昔の友のことを思い出した。

 かつて王が冒険者ロイ=リアスだったときのことを⋯⋯

カルロス=アルカンデリア

・アルカンデリア王国第167代目王

・年齢⋯55歳

・備考⋯昔、冒険者でマーリンやアストレアとつながりがあったとかなかったとか




しばらく投稿できなくなると思いますので

ご理解お願いします

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