第1章 出会い
初めての小説投稿になります。
そして一作目の作品となります。
高校生達の恋愛模様を描く物語になります。
多くの方々に読んで頂けたら嬉しいです。
無事にハッピーエンドを迎えられる様に見守って下さい。
桜満開の春…
少し太めの見た目は可愛らしい一人の女性が薄ピンク色のワンピースを着込み履き慣れないパンプスに、ブランド物の高価なバッグを持って桜の木の下に立っている。
私、谷村亜希。今日は私にとって大事なイベントの日だ。
「亜希!」
背後から私の名前を呼ぶ声がする。彼女は私の親友の橘美也子。お互い高校二年の十七歳。
今日は同級生で男友達でもある須藤巧から私達二人に男性二人を紹介してくれる出会いの場を設けてくれる日である。
簡単に言えば、合コンみたいなものだ。
気持ちが高鳴ってる私に美也子は溜め息を付きながら言った。
「合コン行くのにダイエットしてないの?太いって思われたくないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど…」
私は黙りになった。実際に太いから余計に美也子の一言はグサッと胸に突き刺さった。
合コン場所であるレストランに着いた私達は大きく深呼吸した。店内に入って来た私達の姿に気付いた巧は離れた場所から手を振っていた。
「亜希、こっちだ!」
「ごめんなさい、待たせちゃて」
私は普段より可愛い子振って、男性二人に好印象を持たせようと必死に演技していた。
「大丈夫だ。えっと紹介するよ、片渕純と若宮恭一だ」
純の方は髪は茶髪、耳にはお洒落でシンプルなデザインのピアス。
巧と同じ歳だが別の高校だ。
一方、恭一の方は髪は黒色でアクセサリー類は一切身に付けず勉強熱心で頭が良く真面目、巧とは一つ下の後輩で同じ高校の一年だ。
対照的な二人だ。
巧もそうだが二人共、凄く男前で美也子は純に気持ちが動かされていた。私の方はと言うと、もう一人の彼、恭一の事が気になる存在になっていた。
そんな彼の視線がさっきから気になるのは気のせいかしら?
もしかして、彼も私を?と舞い上がっている自分が居た。
彼を絶対に逃したくないと思った私は覚悟を決め、勇気を振り絞った。
「どうしたの?偉く大人しいのね?」
「いえ、ただこういう場には慣れなくて……。それに僕は正直言うと、今日の合コンは乗り気がなかったから。巧の誘いだったから断れなくて…。でもやっぱり僕、先に帰らせて貰います。後は四人で楽しんで下さい。それじゃ、失礼し……」
「ーちょっと待って!」
私の声が彼の声を遮り、帰ろうとする彼を呼び止める事に成功した。
「何ですか?僕にまだご用でも?」
「えっと、あの……私と付き合って!」
初対面でいきなりの告白に動揺の色を隠せない恭一……。
勿論、彼は付き合いの申し出をお断りしてきたが、私は引き下がらなかった。
やっとの事で彼は私の熱意に負け渋々、付き合いを受け入れた。
そしてこの日、私に一つ年下の彼氏が出来た。嬉しさが込み上げていた。
この事は合コンした翌朝、学校中の噂になっていた。今日、私が彼「恭一」と一緒に登校してる姿を見た生徒らが噂にしたらしい。勿論、この事を先に知ったのは巧や美也子らである。教室に入って来た皆の視線は私に釘付けになった。
「おはよう!」
「おはよう、亜希。それとおめでとう、初彼氏」
「うん、ありがとう。美也子の方はどうだった、彼?」
「メルアド交換しただけで終わったわ」
苦笑いしながら美也子は答えた。私は授業を終えると真っ先に恭一に会いに行ったが恭一のクラスを扉越しから覗くと彼の回りには沢山の女性生徒で囲まれていた。私は気の弱さからか、その輪の中に入る事が出来ず結局、彼に会わずに一人帰ってしまった。
だけど、私は恭一と休日にデートの約束をしていた。誘ったのは私からだが彼も「分かった」と頬を緩ませて答えてくれた。
初デート当日を迎えた。昨日は緊張で全然、眠れなかった。
急いで私は朝シャンした。それからロングの長い髪をお団子頭にセットして化粧を始めた。少し肌にシミが目立つがまぁ、これで良いだろう。
ふと、時計を見上げると、
「あっ!こんな時間!急がないと」
自宅を飛び出し待ち合わせ場所に向かう。
私は遠くからだが恭一の姿を見つけた。彼は読書家らしく本を読んでいる。彼が着ているデニムのシャツが凄く似合っていた。
恭一は私の気配に気付くと、私の方を振り返り手を振った。
「亜希さん」
彼の姿を間近に見た私の心臓は激しく鼓動を打っていた。
「何処に行きましょう?」
「じゃ、映画にでも行きませんか?」
「はい、良いですね」
私達は赴くまま映画館の前で足を止めた。
「何、観ます?」
「私は恋愛物が良いかな?」
「あっ、はい」
映画なんて久し振りだ。相変わらず大きなスクリーンと大音響。
私は恭一の方をチラ見したけど、彼は映画を楽しんでるだろうか?笑みがない。やっぱり恋愛物で退屈だっただろうか?
二時間程の上映が終わった後も彼は無口でただ一緒にその辺をぶらぶら歩いてるだけだった。
「あのさ、何でさっきから黙ったままなの?私に気に触る事した?」
「いえ、違います。ただ…」
一瞬、彼の表情が曇った。
「あの…昨日から考えてた事ですが、やっぱり僕達別れましょう。それに初対面から付き合うより友達から始めた方が良いかと思うのですが…」
何、言ってるのこの人。
私はこの話に聞く耳を持つどころか怒りが込み上げて思わず彼を睨み付けた。
「もういいわ!じゃ、別れましょう!さよなら!」
そう言うと私は彼に背を向け逆方向へ歩き出した。
この時、私の顔は涙で化粧崩れした不細工な顔になっていた。
正直、後悔でかなり凹んでる自分が居る。
意気消沈状態の私の前に人の気配を感じた。
その時、
「亜希!」
私は咄嗟に顔を上げると、自分の目に映っていたのは男友達で合コンの場を設けてくれた巧の姿だった。
「亜希、大丈夫か?泣いてるのか?」
「…私、振られたわ…」
「えっ?振られたって…」
突然の亜希達の別れ話を聞かされて彼は呆然と立ち尽くしていたが流石に落ち込んでいる様子の私を見て気が気じゃない彼はこんな話を持ち掛けてきた。
「それじゃ、試しに俺達付き合ってみる?」
「ーーえっ!?」
私は巧からの返事に戸惑いを隠せない。でもこうも考えた。初対面の人と付き合うよりはお互いを理解し合ってる友達同士の私達なら上手く付き合えるんじゃないかと…。
凄く軽い女に思われるだろうけど私は彼の提案に乗った。
「うん、付き合おう」
私はこの展開を美也子にメールで送ると直ぐ様、彼女から返信が来た。
【亜希、貴方いい加減にしなさいよ!】
メールの内容を読むと直ぐに彼女の怒ってる顔が思い浮かんだ。
それにしても不思議な事が現実になった。合コンで知り合って付き合った男と別れた直後、今まで友達同士だった男が彼氏になるとは、予想も付かない。
勿論、学校でもまた気の多い女などと陰で噂になっていたが何を言われようとも私は気に留めなかった。
そして、巧と付き合い出して二週間になる今日、思った。
もう付き合って二週間なのにキスの一つもないのだろうか?
私は美也子に相談したら彼女は笑みを浮かべながら小声で呟いた。
「貴方から誘ったら?」
そう言われ、私は覚悟を決める事にした。
けど、少し怖さがあるのは事実で不安が一杯……。
中々、決意が固まらないまま時間だけが過ぎていった。
そして、授業を終えると巧が私の席へと近寄る。
「亜希、帰ろう」
「あっ、巧!」
私達は帰り支度を済ませ、教室を後にした。
道中、私達はお互いの手をしっかりと握りながら暫く、沈黙状態が続いた。
この緊張感を更に高めるかの様に私は寄り道したいと巧を誘っていた。二十分程、歩いた後、私は足を止めた。
「ここだよ」
「えっ?ここって、何を考えてる?」
そこはホテルの前だった。黙って中へ入ろうとする彼女の手首を彼は掴んだ。
「いや、帰ろう。まださすがに…」
巧は一歩下がっていた…。
「何で?そろそろ良いでしょう?」
確かに巧は亜希と付き合う以前は他の女性との経験が豊富な男だが相手が亜希だった為、動揺した。
「ほんとに良いの?」
亜希は小さく頷いた。
巧は亜希の片に手を置くとお互い見つめ合った。
ホテルの中へ入ると私は緊張の余り口元がガタガタと震える。
彼が部屋の鍵を貰うと、私を抱き寄せエレベターに乗り込んだ。
「三階の部屋なんだ。空いてる部屋が殆どなくて凄く良い部屋とは言えないけど…」
「うん、大丈夫」
お互いの息遣いが激しく伝わってくる中、部屋の前で足を止めた。
「この部屋だよ」
鍵が空くガチャの音にも敏感に反応してしまう。
中へ入ると、初めて見る大きなベットにくらっとしてしまうぐらい。
巧はいきなり私をベットに誘う。ベットに横たわると二人は自然とお互いの服に手をかける。
私達は激しく身体を重ねる中、私の唇に彼の唇が触れた。初めの内は軽く重ねる程度だったが次第に何度も唇を吸い尽くす様な口付けをする。
初めてする慣れないキスだけど、私は巧に身を委ねた…。
そして私は今日、初めて一人の男性と結ばれた。