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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

くまさんチェーンソー

作者: 汐留ライス

 クリスマスの ひ。

 くまさんは とても おこっています。

 みんなで なべパーティーを するから きつねさんに 「ビールを かって きて。」 と いって おかねを わたしたのに、 きつねさんが かって きたのは はっぽうしゅ だったからです。


「こっちの ほうが やすいから、 たくさん かえて とくじゃないか。」

 きつねさんは そう はんろんします。

「ちがうんだよ。 おまえ ぜんぜん わかってないよ。 ビールと はっぽうしゅでは のんだ ときの たんさんが のどで シュワーって いう かんかくが ぜんぜん ちがうんだよ。」

 くまさんが そう いうと、 きつねさんは いいかえしました。

「グルメ ぶってるんじゃ ねえよ。 どうせ あじなんか わからない くせに。」


 この ことばに カッと なった くまさんは、 てもとに あった ガラスの はいざらで きつねさんの あたまを おもいきり たたきました。

 すると、 きつねさんの くびが グキキと いやな おとを たてて、 ありえない かくどに まがって しまいました。

 きつねさんは しろめを むいたまま、 はなと くちから たくさんの ちを ドバドバ だして うごかなく なりました。

「たいへんだ、 ころして しまった。」

 くまさんは あたまを かかえますが、 もう ておくれです。


「こう なったら、 したいが みつからない ように バラバラに して しまおう。」

 くまさんは そう いうと、 ものおきから チェーンソーを とって きました。

 エンジンを かけて、 グルグル まわる ノコギリの はを きつねさんの くびすじに あてます。

 ぐいいいーん、 ばりばりばりばり。

 すごい おとが して、 くびから ちが ふきだします。


 そして はが くびの ほねに あたると、 ガガガガガガと おとを たてながら、 きつねさんの からだが ガタガタ ふるえました。

 その ようすが いきている みたいで こわかったので、 くまさんは もっと ちからを こめて、 むりやり きつねさんの くびを どうたいから きりはなしました。

 かんぜんに うごかなく なった きつねさんを みて、 くまさんは ようやく ほっとしました。


「もっと ちいさく きりきざんで、 ごみと いっしょに すてて しまおう。」

 くまさんが そう おもっていると、 パーティーに しょうたいされた おきゃくさんたちが やって きました。

「メリークリスマス、 くまさん。」

 ふくろうさんが いいました。

「おいしい ケーキを つくって きたよ。」

 おおかみさんが いいました。

「くまさんの すきな ビールも あるよ。」

 やぎさんが いいました。


 けれど、 ふくろうさんたちを むかえたのは、 チェーンソーを もった ちまみれの くまさんです。

「どうしたの。 なにが あったの、 くまさん。」

 やぎさんが いいました。

「あーっ、 きつねさんが しんでいる。」

 へやの おくを のぞきこんだ ふくろうさんが さけびました。


「おまわりさんを よぼう。」

 おおかみさんが けいたいでんわを とりだしたので、 くまさんは てに もった チェーンソーを よこなぎに ぜんりょくで ふるいました。

 ぎゅーん。 ずばっ。

 おおかみさんの くびが いきおいよく ふっとんで、 けいたいでんわは ゆかの うえに おちました。

 こう なったら、 ひとり ころすのも みんな ころすのも おなじ ことです。


「もしもし。 どう しました。」

 けいたいでんわから おまわりさんの こえが きこえます。

 くまさんは それを ひろいあげると、 「なんでも ないです。」 と いってから、 ガラケーを まっぷたつに おって しまいました。

 これで もう たすけは きません。


「にげろ。」

 せなかを むけて にげようとする ふくろうさんの あたまに、 くまさんが うえから チェーンソーを ふりおろします。

「あががががが。」

 ふくろうさんの からだが みぎと ひだりの ふたつに わかれて、 だんめんずを みせながら ぴくぴく けいれんします。

 こつが わかると、 くまさんは だんだん きるのが たのしく なって きました。


「どうして こんな ことを するの。 たすけて。」

 こわくて こしを ぬかして しまった やぎさんが、 なきながら うったえました。

「うるせえ、 おまえらが ビールを もって くると わかって いたら、 そもそも こんな ことには ならなかったんだ。」

 くまさんは そう いうと、 やぎさんの てあしの さきだけを つぎつぎと きりおとしました。


 あまりの いたさに やぎさんは きを うしなって しまいました。 けれど、 くまさんが きずぐちに ライターの ひを あてると、 「がばああ。」 と さけんで とびおきました。

 それから やぎさんの てあしを すこしずつ きって いくと、 やぎさんも しゅっけつたりょうで しんで しまいました。

 みんなを ころして しまった あとも、 くまさんは なにも いわずに チェーンソーで もくもくと したいを こまかく きりきざみました。

 あたりに とびちった ちや ないぞうは、 きつねさんの けがわで きれいに ふきとりました。


 むちゅうに なって さぎょうを して いたので、 ぜんぶ かたづいた ときには くまさんは すっかり おなかが すいて いました。

 そこで、 めの まえに ある にくへんを ぜんぶ なべに いれると、 やさいや きのこと いっしょに ぐつぐつ にこみました。

 にくが にえるまでの あいだに、 きつねさんたちの くびを クリスマスツリーに かざりつけました。 (ふくろうさんの くびは、 のりと テープで くっつけました。)


 なべが できると、 くまさんは こたつに はいって、 ひとりで パーティーを はじめました。

 りょうりを たべて、 ツリーを みながら ビールを のむと、 のどごしが シュワーとします。

 たのしく なって きた くまさんは うたを うたいました。

「シュワー、 シュワー きませり。」





 V県警は25日深夜、熊爪くまづめ獣太郎容疑者(57)を殺人および死体損壊の容疑で逮捕した。

 熊爪容疑者は同日、自宅を訪れた4人の男女をチェーンソーで――

 童話祭に出そうと思って書いてたけど、途中で「あっ、これ童話じゃねえや」って気付きました。危ない危ない。

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