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妹はどうやら女神様らしいです。  作者: 勇者イゴイゴ
7/8

盗みはいけません!

<騙される方が悪いのです>


「た、大変だ!?冒険者どもが侵入してきやがった!手の空いている者はすぐに向かってくれ!」

「お前その傷!?わかった、任せてくれ。弱い冒険者なんかには負けねえよ。怪我してるのに頼むのは申し訳ないが、ここの警備は頼んだ」


ふう、なんとかいったようだ。盗賊っぽい服を選んだ(奪った)とはいえ、あいつらは敵と味方の区別もつかないのか。それにしても、


「なんだこのでかい建物は?」

「おそらく盗賊の中に魔法を使える者がいるのでしょう。街の建物もほとんどは魔法で建てられてますし、この大きな建物も2、3日もあれば建てられるのでしょう」


後ろで隠れていた妹たちも出てきた。さすがに妹やリルが盗賊のフリをして行動したら不審に思われるので、隠れてもらっていた。


「・・・まさかここまでうまくいくとは・・・。森でイゴイゴさんが魔物に襲われて怪我をしたのもよかったのかもしれないですね」

「人の怪我をよかったなんて言ってんじゃねえよ」


たしかにプラスには働いたが、魔物に襲われた時は盗賊とか言っている場合じゃなかった。あの時はもう帰ろうと思ったしな。


「さてさて、いろいろあったがお宝は目の前というわけだ。時間がないからちゃっちゃと回収するぞ」

「「はい!」」


おそらくこの扉の先に盗賊たちが蓄えているお宝が固まっている。他の冒険者がきた気配もないし、おそらく俺たちが一番乗りなのだろう。



______________________________


<お金持ちです!>


扉を開けるとそこには、商人から奪ったであろう武器や防具、宝石が彩られたアクセサリーなど、財宝の山が眠っていた。


「盗賊たちがいつ戻って来るかわかりません。なるべく早くここから撤退しましょう」

「そうだな。あまり重い物は持たないで高く売れそうな物だけ盗っていこう」

「盗っていくなどという言葉はやめましょうお兄さん」

「どんな言い方でもやってることは変わらん」


「あっ!」


妹と一緒に用意した袋にお金や宝石を詰めていると、リルが大きな声をあげた。どうでもいいが妹のやつ、雑多に積まれたこの山の中から的確に宝石を見つけるのがうまい。本当にどうでもいいことだが。


「魔法書ありましたよ!使用前のやつが!」

「本当か!」


魔法書は使用前と使用後では価値が全く異なってくる。魔法書は、適性があるものが使用した後は真っ黒に変化してしまい、使えなくなってしまうのだ。


「目的の物も見つかったみたいですし、さっさと逃げましょう」

「そうだな」


そろそろ騙した盗賊の見張りたちが戻って来る頃である。盗る物も盗ったし、逃げ時である。


「あ、お兄さんはこっちです」

「・・・いちおう怪我人なんだけど」

「もう治りましたよね」


妹が俺の袋を奪い、自分の袋を押し付けてくる。お、重い、こいつ一体どれだけ詰めやがったんだ・・・。


_______________________________


<逃走中です!>


「待てやゴラァ!!!」


俺たちは今、怖い顔のお兄さん方に追われていた。本当に怖い顔をしている。一体何が彼らをここまで変えてしまったのか。俺にはわからない。


「お兄さんがだらだら歩いているからですよ!!」

「お前がこんな重いもん持たせるからだろ!!」

「今は同じように走ってるじゃないですか!!」


人間本気を出せばこれくらい簡単である。俺はお前の袋を持っているのだ。だからやめてくれ。無言で俺の足を引っ掛けて転ばせようとしてくるのはやめてくれ。


「というかリルはこの状況で魔法書を読んでんじゃねえよ!」

「止めないでください、もう我慢できないのです。目の前のお宝を読みたい衝動が抑えきれないのです」

「・・・・・・」


こっちはこっちでいろいろと問題がありそうだ。というか俺たちは本当に追われていうのか、この状況を見ていると疑問に思う。


「えい」

「ぐはぁ!?」

「お宝は持ってきてくださいね!」

「おいィィィッ!?」


兄を平然と生贄に捧げる妹。うちの妹も随分と逞しくなったものだ。


________________________________


<イゴイゴの力>


「おいおい兄ちゃん、自分を囮に仲間を逃すとは見上げた覚悟じゃねえか」

「お前に兄と言われる筋合いはない!」

「・・・・・・」


妹はきっと反抗期なのだろう。お兄さんを守ります!とか言っていたのに自らお兄さんを死地へ追い込むとは・・・。


「調子に乗ってんじゃねえよ、この人数に勝てると思っているのか?」


ふむ・・・ざっと10人程度。むしろその程度で俺に勝てると思っているのか。


「おいおい、まさか武器も持っていない相手に大人数で戦う気か?ちょっとずるいんじゃないか?正々堂々戦おうとは思わないのかね?」


「チッ、お前らどいてろ。俺が一人で片付ける」

「か、頭!?」

「武器も持たねえ雑魚だ。一瞬で片をつけるさ」


おいおいこの俺を雑魚とは笑わせる。その言葉、必ず後悔させてやるよ。


「頭が悪いのだな。まだ俺が言いたいことがわからないようだな」

「・・・なんだと」


バカだバカだと思っていたが、ここまでバカだとは。顔が怖くて頭が悪いとは、絶対こいつモテないだろうな。ふっ、やはりイケメン力は俺の方が上のようだ。


「武器を寄越せと言っているのだ、丸腰相手に戦う気か?」

「「「・・・・・・」」」


何故お前らがそんな目を俺に向けてくる・・・。



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