第2章 聖蘭学園 #1
今日は何かざわついてる。
どうやら学長が久し振りに帰ってきたらしい。
俺は学長に会ったことがない。
入学式のときは理事長が代わりに出ていた。
学長と理事長は姉妹らしい。
理事長の名前は梓沢 壽音。
学長は梓沢 羽鶴。
理事長は32歳でかなり若いから
多分学長は若くて37くらいだと思う。
それでもかなり若いな。
ジ・・ジジ・・・ザァ
「私は学園長。今から集会を始める。中等部第2校舎東体育館に全員1分で集まれ。」
放送が入った。
しらない女の声の。
その声は若く生徒と同じくらいで
悪戯のように聞こえた。
・・・はぁ?
え、今の学長なわけ?
秋桜は耳を疑った。
どう考えても30代の声とは思えない。
ていうか1分で第2校舎の東体育館って無理がある。
今俺が居る第1校舎8階空中庭園からだとあそこまでは少なくとも5分は絶対かかるだろ?
周りの1年生は秋桜と同じように呆気にとられていた。
でも2年3年の先輩は猛ダッシュで消えていく。
電光石火って叫んで言った馬鹿もいる。
「あ、秋桜やん!! はよぉ急がんと学長に何されるかわからんぞ!!」
この喋り方は啓太先輩??
何されるかって何だ?
「啓太先輩 でもここからじゃ1分だと・・」
「でも急がんなんやばいぞ!!」
そう言い残し啓太も猛ダッシュで体育館に向かった。
「やばいって何がだよ!!」
しょうがなく秋桜もダッシュで体育館に向かった。
でもどんだけ走っても体育館まではまだまだ遠い。
ここは8階だからエレベーターと階段の選択肢がある。
でもエレベーターは人が多すぎる。
どんどん乗ろうとして来る人が来るから全然ドアがしまらない。
「これは階段の方が早い」
秋桜は階段を選んだ。
渡り廊下は3階にある。
秋桜は滑るように下りて行った。
普通なら途中で疲れるはずだが秋桜の人並み外れた身体能力で
最後まで全力疾走だ。
「あ、秋桜だ」
渡り廊下で千夏がいた。
千夏も全力疾走で走っている。
「お前ってどこから走ってきた?」
「え?? アリスガーデン」
地下庭園はこの第1校舎の地下3階にある。
ちなみに、
空中庭園は光と白と黄色をイメージした庭園で
「ラビットガーデン」と呼ばれ、
地下庭園は闇と黒と赤をイメージした庭園で
「アリスガーデン」と呼ばれている。
「・・・それにしても学長ってどんな奴だろうな」
走りながら疑問に思っていたことを聞く。
「声からして若そうだよね」
「あぁ。あの声はババアの声じゃねぇ」
「噂だけど学長は人間じゃないとか」
「や、それはないだろ」
ザザ・・・ザザザ
「ゴラァ!! どこで道草くっとんじゃガキ!! もう1分たってんだぞ!!」
キーンと鳴り響く。
また学長の放送だ。
やばい。なんか知らないけどやばい気がする。
「・・千夏。急ぐぞ」
「うん。なんかヤバそう」
もうホント列車になる気持で走った。
でも周りの人がどんどん後ろに行っているのはなんでだ?
「あいつら足速すぎだろ」
「もう俺疲れた。。」
秋桜たちは足速いんだ。
かなりね。