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アッちゃんは話し続ける。
「前々からおかしいと思っていたんだよ! ミーが俺と距離を起き始めて、たまに、何かを言いたそうな目をしていた! それは、お前とミーが付き合っているからなんだろ!? でも、俺に悪いと思って、お前らは黙っていたんだろ!?」
被害妄想も甚だしい。
しかし、上手く息が吸えないボクは、いつかのミーちゃんのように、口をパクパクさせる事しか出来なかった。
アッちゃんは、そんなボクに構わず、話し続ける。
「自分でも親友に嫉妬なんかして、みっともないと思う! けどな! どうして何も言ってくれないんだよ!!」
そう言うや否や、アッちゃんはこちらに向かって、ゆっくりと近づいて来た。
当然、靄も一緒にこちらへと向かってくる。
心なしか、大きくもなっている。
ボクはアッちゃんの歩みに合わせて、後ずさった。
黒いソレへの恐怖により、アッちゃんの声を理解することは、最早、できなかった。
「そんなに俺のことが、信用できなかったのか!? 俺だって、お前らが言ってくれれば、自分のことは諦めるさ! それくらいの分別はあるつもりだったのに! お前らは結局、二人して……!!」
黒い靄はどんどん、周りを覆って行く。
そして、ボクの方へとーー。
ごうごうごう。
水の流れる音がする。
付いたときには、もう遅かった。
「あっ」
そう言ったのは、どっちだったのか。
突然の浮遊感に襲われた。
ボクは、後ろに足を着こうとするが、そこに地面は無く、足は宙を掻いただけだった。
アッちゃんが手を差し伸べる。
ボクもアッちゃんの方へ手を差し伸べようとしたが、それは出来なかった。
真っ黒な糸が。
ボクに、ボクのーー。
そして、ボクの意識は黒く塗りつぶされた。
ボクがミーちゃんと付き合う?
そんなことをする訳、ないじゃないか。
だってね、
ボクはね、
×××はねーー。
the end
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