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オモイ  作者: 塩じゃけ
5/7

5

 放課後。とある河川敷。橋の下。


 ボクはアッちゃんに呼ばれてここへ来た。

 ここは、ボクたち三人が、幼い頃からよく遊び場として来ていた所である。

 そして、二人の恋愛相談場所としても、重宝している所だ。


 河川敷の土手の上にある道では、犬の散歩やら、ランニングをしている人を見かける。

 しかし、下まで降りてくる人はほとんど居ない。

 雑草が生えている訳ではないが、何かスポーツが出来るほどの広さが無いからだろう。


 まあ、そんな理由で、秘密の話には持ってこいなのだ。



 だからと言って、今日、ここに、呼び出す必要は無かったのではないだろうか。



 朝から降る雨はまだ止まない。

 お陰で、川の水嵩は増し、流れは心なしか強いように見える。

 なんだか怖い。


 早くアッちゃんこないかな……と、キョロキョロしていたら、それらしき人影が、こちらへと向かってくる。

少し文句でも言っておくか。


「呼び出しておいて、遅れて来るなんて、どういう了見なの? ん?」


「……」


 いつもなら、ボクの煽りに対して、片頬をひくつかせながら、簡単に引っかかってくるのに、今回は反応が無い。

 なんだか思いつめた表情をしている。


「えっ、あっ、ごめん。大切な話だった?」


「ああ、別にいいよ。さっきのことは気にしてないから」


 アッちゃんの表情からすると、確かに気にしてはないようだ。

 浮かない顔には変わりないが。


 ここに来るまで、アッちゃんはずっと斜め下を向いていた。

 何となく嫌な予感がする。


 すると意を決したように、こちらを見やった。

 緊張をしているのか、少し目つきが鋭くなり、顔も強張っている。

 張り詰めた空気が、この場に充満して行く様な気がした。


「お前に聞きたいことがあるんだよ」


「何?」


 ごくり。

 この音はアッちゃんが唾を飲み込んだ音なのか、それともボクのなのか分からなくなるほど、ボクはこの場の空気にのまれていた。



「お前、ミーと、付き合っている、のか?」


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