雨の出会い
学校で発行した部誌に掲載した作品です
この頃、五月なのに梅雨のような天気が続いている。
今日も、家を出た時には降ってなかったのに、電車を降りた時には雨が降っていた。
「はぁ……。また雨か……。」
「そのようですね。」
誰だ?
不思議に思いながら振り向くと、そこにはセーラー服を着た女の子がいた。
「君は、誰だ?」
「私は時雨と言います。」
微笑みながら話す彼女――時雨。見た目からだと俺とおなじくらいだろう。
「えっと、実はあなたに伝えたいことがあるのです……。お時間よろしいですか?」
彼女に誘われ、俺らは近くのカフェに入った。
「私は以前、あなたに命を助けていただきました。覚えていらっしゃいますか?」
言われて、思い出した。俺は去年の夏、駅で倒れていた女の子を助けたことがある。あの時の女の子だったのか。
「本当はもっと早くお礼を言うべきでした。しかし、お名前も知らず、なかなかお会いできず……。」
そう、あの時俺は名前を告げてない。聞けば、彼女は普段、自転車で通学していて、雨の日だけ電車を使うらしい。しかし、あの日は急いでいて、仕方なく電車を使うことにしたのだそうだ。
「再び会えて嬉しいです。こうして命を救ってくれたお礼を言う事が出来るのですから。両親も、あなたにお礼が言いたいと言っています。ぜひ、我が家に一度きてくれませんか?」
そういうと彼女は、住所とアドレスの書かれた紙を渡してきた。
彼女の家を今週末に訪ねる約束をして、俺たちは店を出た。
雨はすっかり上がり、陽がさしていた。
Fin
読了感謝です。
つたない文章を読んでいただき、ありがとうございました。