トニーの秘密⑥
トニーはジョンに耳を塞ぐよう伝え、両腕でしっかりと包み込んだ。
それからは数分の出来事だった。
フランとメアリーは背中合わせになり、くるくると位置を変え銃を撃っていく。
少し移動しては撃ち、また少し移動しては撃つ。
数秒後には次の銃声が響く。
男達も撃っているのだが動きが速いため、全く当たる気配はない。
男達が全員倒れているのを確認し縄で縛り、森を抜けることにした。
メアリーが先頭を歩き、二人はそれに続いた。
その頃には、ジョンは疲れ果てトニーの背におぶわれてスヤスヤ眠っている。
フランがトニーにこそっと話しかけた。
「わかりました?僕らの戦い方。」
「あぁ、なんとなく。殺さないってことか?」
「そうなんです。メアリーちゃんは殺させてくれないんです。理由わかりますか?」
「そりゃあ、生きてればいいことがあるとか、
生命は大切にとか…?」
ククっと意味ありげに笑うフラン。
「トニーさん、まだまだメアリーちゃんのことわかってないですね〜」
そして続ける。
「メアリーちゃんは『必要以上の痛みはいらない』って言うでしょ?それってつまり、
『必要な痛みは与える』って意味なんですよ。
盗賊達に傷つけられた人は、心も身体も傷を負う。それを何年も抱えて生きていく。
だから、傷つけた側にも何年にも渡り痛みを与えるようにするんです。」
何も答えられないトニーを尻目にお構いなしに続けるフラン。
「残酷ですよね。僕より何倍も。
僕ならすぐ殺して苦痛も味わうことがないようにするのに。残酷なメアリーちゃんもゾクゾクします。」
とニッコリ微笑む。
それからもフランは殺さない大変さをトニーに延々と話し続けた。
殺すならどこを狙ってもいいが、殺さず深手を負わすには、頭や大きな動脈、臓器がある場所は外さねばならない。だからといって軽傷で済ませては意味がない…と。




