フランとメアリー①【トニー】
その日の夜、無事に帰って来たお祝いをするため
メアリーと一緒に酒場に行った。
メアリーは少し飲んだだけで酔ってしまったようで、上機嫌で他の客に話しかけたりしている。
いつの間にか現れたフランが、荒々しく俺の横の椅子に座った。
まだ怒っていることが容易に想像できる。
殺し屋ということを聞いたこともあり、背筋に緊張が走る。
「珍しいな…」
メアリーを見つめながらフランがつぶやいた。
「あんなに酔っ払うことないのに…」
こっちに目線を戻し、
「なるだけ食べない理由聞きました?」
「あ、うん。匂いに敏感になって危険を察知しやすくするためとかなんとか……」
「そう、お酒も同じで、
酔うと襲われた時に対抗できないからって、なるだけ飲まないようにしてるんですよ」
フランが店主に酒を注文しながら続ける。
「この仕事って逆恨み買うこと多いから…」
フランはメアリーが気になる様子でチラチラそっちを見ている。
「安心してるのかな…」
それに気づいたメアリーが千鳥足で近寄ってくる。
「あれ~?フランだ〜来てたんだ〜」
フランの体にベタベタ触っている。
「もうメアリーちゃんその辺にしとこう〜?
まだ傷が治ってないんだから〜」
メアリーはキッとフランを睨む。
「やだーーフランきらーい。いじわる〜。」
フランはどうにか止めたいようだが、聞く耳を持たないので困っている様子。
思わず口を挟んでしまう。
「ちょっとメアリー、せっかく心配してくれてるのにその言い方ないだろ〜?
フランに優しくしてやれよ〜」
酒臭いメアリーの顔が近づいてくる。
「あはは!大丈夫大丈夫、その気になりゃ私のこと押し倒して洋服破いて襲ったりくらいするから〜」
と大笑いでバシバシ叩かれる。
上機嫌でまた他の客のテーブルへと向かって行った。
フランは落ち込んでいるのかうつむいたままで動かない。
肩に手を回し励ます。
「おいおい〜こういう時はすぐに否定しないと本当だと思われるぞ〜」
顔を覗き込む。
フランは顔面蒼白で何も答えない。
「え……本当だった??」




