日常③
メアリーがぷっと吹き出す。
「何の策もないのにどうやって?」
意地悪そうに笑って遠くに目をやる。
「…でも嬉しいよ、そう言ってくれるだけで。」
トニーの方を向き、左手をすっと差し出した。
「これからもよろしく。」
トニーは照れ笑いを浮かべながら右手を差し出す。
暖かい陽の光が二人を包み込んでいた……
……が!
二人の手が触れる寸前、背後からパチパチという拍手と足音が近づいてきた。
「フラン!!」
「聞いてくれよ!森に行ったらさ…!」
二人は口々に叫ぶ。
今回の仕事について少しでも早く伝えたかったのだ。
しかしフランを一目見て一瞬で口をつぐんだ。
笑顔には怒りと殺気が込められているのが明らかである。
「楽しそうで何よりです」
つかつかとトニーの前に行き勢いよく胸ぐらを掴む。
「僕、言いましたよね!?メアリーちゃんを守ってくれって!あなたがいたからこの案件を頼んだのに!!
なんでメアリーちゃんがケガしてるんですか!?」
睨み上げる瞳さえも怒りが溢れているのがわかる。
美しい顔の人間は、怒っている時ですら美しいままなのだなとトニーはぼんやり思った。




