グランドポート王国
ザワザワ…
「え?」
「おい!ここはどこだ!」
「私たち、学校にいたよね?」
「こ、これって…まさか!」
「ん?おい!ヤス!何か知ってんのか?」
ヤマトがヤスヒロに怒鳴る。
「ヒッ!い、いえ、これは…」
ヤスヒロは言い淀む。
「あ?テメエ、なーに隠してやがんだ?言わねえなら…わかってんだろ?」
「は、はい…えと…その、これって、異世界召喚なんじゃないかな?って思ったんだ。」
おお、正解だ。
ここはグランドポート王国の神殿内らしい。フィノ情報だ。
「は?いせかい?」
「う、うん。ライトノベルでよくある状況だったから。」
「あーなるほどなるほど。お前そういうの好きなんだったよな。」
「し、信じてないの?」
「いや、信じられるか?急に異世界とか言われて?」
「じゃあこの状況は何なのさ!」
「知るか!なーんかお前、調子に乗ってない?」
「シメる?」
ヤマトの取り巻きAが会話に割り込む。名前は知らん。興味ない。
「オラッ!」
「ッう」
ヤスヒロの背後から大和の取り巻きBがヤスヒロを蹴る。
「調子に乗るなよ!異世界だか何だか知らんが、お前がこうなるのは変わんねえんだよ!」
Bがヤスヒロの鳩尾辺りを殴る。
「プギッ!」
ヤスヒロが変な声で鳴く。
「ブフッ、ぷ、『プギッ』だってよ!」
「うわ~なにあれ」
「キモッ」
「まさしく豚だな。」
「やめてやれ。
豚のプロポーションは凄いんだ。豚がかわいそうだろう。」
「ぎゃははは!それ言えてる~」
「よーし!もっと豚を泣かせてやりましょーか!」
ヤマトがヤスヒロに近づく。
「やめなさい!」
教師のアイコが叫ぶ。
「今はこんなことをしている場合ではないでしょう!まずは情報収集をします!まずは、誰かいない人はいませんか?」
「いいえ、全員います!」
委員長のスミレが言う。
ふむ、しまったな。ここで僕がヤスヒロを庇えば多くのカルマを集められたかもしれなかったのだが…
ま、いっか。まずは、フィノから聞いた情報に頼らせてもらおう。
「おい!コウキ!」
「(ホッ)…」
アキラが僕を呼びながら、カエデは僕を見たから安心したのか、無言でこちらにやってきた。
「おう!久しぶり!」
「む?さっき会ったばかりではないか?」
「?」
あっ、やべえ。そうだった。久しぶりに会ったカエデが可愛くてつい!
いかんいかん。これではフィノに怒られる。
「ああ、いや、こっちの話。気にするな。」
「そうか。で、これなんだと思う?」
「私たち、教室、いたはず。不思議。」
ああ!久しぶりのカエデちゃんの声!耳に心地よい声なんだよね。
「さあ?さっぱりだ。」
「だよなあ。さっきあそこで、いせかい?がなんだとか言ってたが」
アキラが指をさしたほうをみる。
「大丈夫?」
「ひゃ!あ、はい!だ、だいじょうびです!」
「チッ」
委員長のスミレとヤスヒロが会話している。
ヤマトはそれが気に入らないようだ。ヤスヒロの明日が心配だ(棒)
そもそもヤスヒロがいじめられているのは、ほぼスミレのせいということに彼女は気が付いていないらしい。
ヤスヒロはそのことがわかっているらしく、嬉しいやらどうやら微妙な顔をしている。
突然広場の大扉が開く。
「勇者様方よ、よく参られた。ようこそ、我がグランドポ