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証拠品

「私、それじゃ勝てない!」

「私はもういいわ。絢香がいるから一生関係が切れないから」

「私どうすればいいの」

「私が亮の喜ぶところ教えてあげるから、

やっちゃいなさい」


「本当にいいの?」

「他の女に取られるよりマシでしょ」

「そうか」

「ライバル多いわよ、亮はモテるから」

「知っている」

〜〜〜〜〜〜〜〜


翌朝、亮がホテルのジムから戻ると京都府警から電話があった。

「昨日110番いただいた團亮さんですね」

「はい、團です」

「京都府警東山署の捜査課の重村です。

御手数ですが署の方へ来ていただけませんでしょうか?」

「犯人が捕まったんですか?」


「いいえ、あなたが犯人と言っている連中が殺されました」

「本当ですか?行きます」

亮はどんな事があったか想像もつかないまま電話を切って、

絵里子の部屋のチャイムを鳴らした。


「絵理子さん、食事行きましょう、その後警察に行ってきます。

申し訳ありませんが先に東京に帰ってください」

「ええ、分かったわ。何かあったの?」

「別に大したことありません」


「そう、じゃあ私達は少し観光をして帰るわ」

「はい。そうだ、心配するといけないので

アイザックたちに内緒にしてください」

「分かったわ、気をつけてね」

「私一緒に行く」

祐希が亮の腕を掴んだ。


亮が東山警察署に着き重村を尋ねると

亮は個室に連れていかれた。

「これは任意ですよね」

「はい」

「では、彼女も一緒に」

「どんな関係ですか?」


「弁護士の資格が無くては

ダメですか?任意ですよね」

亮は再び確認を取った。

「彼女です」

重村は驚きの声を上げた。


「分かりました、しょうがない」

重村は質問を始めた。

「恐れ入ります、警察庁警備局の警視と

お聞きしたのですが証明できますか?」

「身分を詐称していると言ってらっしゃるんですか?」

「そういう訳ではありませんが念のため、

身分を証明する物を持っていらっしゃいますか?」


「自動車運転免許証とパスポートですね」

「お借りします」

亮が免許証を差し出すと重村はそれを受けとり

生年月日を確認した。

「28歳で警視と言いますとキャリアですね」

「はい、一応」


重村はキャリアらしからぬ亮の態度に疑いを持っていた。

「とりあえず、昨日電話を頂いた時の様子と

襲われた人の事を教えてください」

「はい、時間は7時01分ロシア料理キエフの

10m手前黒色のワゴンが車を止め

歩行中の男性の首筋にスタンガンを当て

気を失わせ車内に引きずり込み、被害者の

持ち物を物色し奪おうとしました」


「それが車内で目を覚ました被害者は抵抗して、

リアの窓ガラスを破り車から飛び降りたわけです」

「それは強盗、傷害ですよ。あなたは警察官として

被害者に被害届けを出させる義務がある」


「それが色々と事情がありまして」

「その被害者の名前と住所は?」

「その免許証に書いてある通りです」

「團さんが強盗の被害者本人という訳ですか。

あんた我々を馬鹿にしているんですか!」

重村は立ち上がって亮を怒鳴りつけた。


「いいえ、馬鹿にしていませんけど・・・」

「大体、警察のキャリアだと言うのも怪しいものだ、身分詐称」

重村の口調はだんだん荒くなってきた。

そこに一人の刑事が入って来てきて

ビニールの袋を渡すと重村の耳元で囁いた。


「おい、これはなんだ!車の中に落ちていたぞ」

重村が亮に見せた物は名刺だった。

「株式会社プラウ代表取締役團亮、

警察がなんでこんな名刺を持っているんだ?」


「すみません、名刺入れを取られた時に犯人が

その名刺を抜き取ったんだと思います」

「奴らが名刺を抜き取って何のメリットがある?」

「例えば誘拐ですね。僕が車から逃げ出さなかったら

身代金を請求していたかも

 しれません」


「なるほど自称警察官を誘拐か、

ひょっとしたら自分にスタンガンを

付きつけた報復じゃないか?」

もう一つの袋にはボールペンが入っていた

「それとこのボールペンに心当たりは?」

「私のです」


「車のリアガラスに突き刺さっていましたが、どうしてですか?」

「犯人の車である証拠にと思いまして」


それから間もなく部屋のドアがノックされ重村が呼ばれた。

「あっ、署長どうしたんですか?」

「今、團さんの身分照会をしたら府警本部長から

電話が掛かってきて團亮警視に間違いないそうだ」


「どうして本部長経由なんですか?

直接こっちに連絡すれば良いのに・・・」

「私もわからん、とにかく彼はれっきとした

警察庁のキャリアだ、丁重に扱うんだぞ」


「しかし、奴はさっきから訳の分からない事を

言っていますせめてアリバイだけでも調べさせてください」

「わかった、アリバイだけだぞ。

それ以上は深く突っ込むな、いいな」


「しかし、車の中に團亮の名刺が落ちていました。

間違いなく怪しいです」

「もう言うな、それよりさっさと真犯人を探せ、本部長命令だ!」

署長が怒って戻っていくと重村は舌を鳴らし部屋に戻った。


「團警視殿、お帰りください。あなたの身分照会が

終わりました、ご丁寧に府警本部長に連絡があったそうです」

重村は不機嫌に亮に伝えた。

祐希は面白そうにやり取りを見ていた。


「すみません重村さん。三人はどこでどうやって殺されたんですか?」

「その前に昨夜のあなたのアリバイを聞きたい」

「はい、19時30分に祇園のお茶屋『澤井』に

この子と一緒に入って21時30分に出ています。その後スナックで

お酒を飲んで23時にルーセントホテル京都の

1101号室に入室しています」


「一緒にいたのはどなたですか?」

「ロシア人のアイザック、エレーナ、ピョートルと

アントンそれに日本人の黒崎絵理子さんとこの子祐希です」

重村は隣にいた部下にアリバイを確認させに向かわせた。


「すみません、あなたのアリバイを確認してから

話をさせていただきます」

「はい、警察官として当然です」

「ところで、どうしてあなたは社長の名刺を持っているんですか?」


「それは僕が秘密捜査官だからです、

東大薬学部を出て、ハーバード大学に留学して

7ヶ国の言葉が話せて、スポーツ、格闘技万能、

大金持ちでホワイトハウスの仕事をしています」

祐希は笑って頷いた。


亮がニコニコして言うと重村は呆れ返った顔をしていた。

「何訳のわからん事を・・・」

「係長、團さんのアリバイを確認しました」

重村の部下が入ってきて重村に耳打ちすると

それを聞いて頷いた。

「そうか、ご苦労さん」

重村が部下の肩を叩くと亮の方を向いた。

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