拉致
どうします。絵里子さん」
「亮が決めて」
「甲山さん、祐希この薬は昔徳川将軍が飲んでいた
漢方薬が入っています、健康にはなりますが、
男性女性にそれぞれフェロモン多く発し安くなります。
だからアメリカで生活する祐希はとても危険です」
「つまり男にモテるわけ?」
祐希は目を輝かせた。
「そうです」
「じゃあ、欲しい」
「人によっては効果が違いますからね」
「はーい」
亮はバックからもう一本取り出して祐希に渡した。
「これの製造方法は秘密だから
他人には渡さないように」
亮は念を押した。
「はい」
「私は今更女にモテても、あはは」
「あくまで、フェロモンは副作用で
とにかく健康である事が一番です。
ただ、仕事上の信頼関係はできやすいようです」
「それは良い、貴重な物をありがとうございます」
六助は亮に促され一錠を飲んだ。
「私も飲みます」
祐希も口に入れた。
「これから皆さんはどちらへ?」
「亮のたっての希望でお茶屋さんへ行きます」
六助は名残惜しく亮に聞くと絵里子が答えた。
「あはは、そうですね。それがいい」
甲山が笑うと亮も嬉しそうに笑った。
「亮、アイザック達を迎えに行ってくれる?
私達は先にお茶屋さんに行って待っているわ」
「了解です」
亮はタクシーで祇園北側の前で降りるとロシア料理店キエフが
近くなので歩いて行く事にしてしばらく歩くと
黒いライトバンが亮の横をゆっくり脇に止まった。
「バッシ!」
音がして亮の首筋に激痛が走ると
目の前が真っ白になった。
「スタンガンか・・・」
亮は12万ボルトの電圧をかけられ
全身が麻痺して意識が遠のいで行った。
~~~~~
「さてそろそろ待ち合わせの時間だ」
アイザックが時計を見て聞いていた
絵理子のスマートフォンに電話を掛けた。
「やあ、絵理子。どこへ行けばいい?」
「あら、亮は?そちらに向かったはずよ」
「いや、まだ来ていない」
「変ねえ・・・」
絵里子が不思議そうな声を上げると
アイザックが電話を切った。
「ピョートル、アントン亮になにか有ったようだ」
アイザックが話しを終えないうちに
二人はテーブルから席を立ち表に飛び出した。
すると目の前を横切る黒い車があった。
「アントン、ナンバー確認」
ピョートルが言うとアントンが読み上げた。
「32-37!」
ピョートルは電柱の住所をスマートフォンの
カメラで撮っている間に
アントンは全速力でその車を追いかけた。
祇園の狭い道は通行人が多く黒い車はスピードを出せず
人と人の間を縫うように走っていると
リアのガラスから足が飛び出しそれが消えると
亮は窓から飛び出し地面に転がった。
「大丈夫か?亮」
アントンは地面に転がった亮に駆け寄った。
「どうした?亮」
アントンは亮の命を狙うものが現れたかと思って
心配だった。
「チンピラです・・・」
亮は悔しさでいっぱいだった。
~~~~~
3分前、亮の首筋にスタンガンを当て
気を失わせた男たちは
亮を車の後部座席に引きずり込んだ。
「おい、悟。早くやっちまえ」
シートに横たわった亮の胸の内ポケットに
少年が手を突っ込んだ。
一瞬意識を失っていた亮の意識は戻っていたが
全身の麻痺は取れておらず目を閉じたまま
数を数え始めた。
「1・2・3・4・・・・」
男は亮の長財布を取ると中に入っている
現金を見てニヤリと笑った。
「チャンネルCHANELの財布でやっぱり
大金を持っていた。30万円持っていますよ」
「それシャネルって読むんだよ。
今の時間祇園を歩いている男は
お茶屋で使う金を持っているからな」
悟という男の声に運転席の男は嬉しそうに笑って答えた。
「バックの中はどうだ?」
「バックはビブルガリBVLGARIパソコンと書類と
スマフォが二台入っています」
「それはブルガリって言うんだ。パソコンとスマフォは
パスワードが有って売れねえな」
悟は次に亮の上着のポケットに手を突っ込み
名刺入れを取り出した。
「名刺入れはどうします?」
「どこのブランドだ」
「ゴ、ゴヤード?GOYARD」
「それはゴヤールって読むんだ。高いぞ!」
「ゴヤールね。ルイビトンやヘルメスは知ってんだけど」
「それはヘルメスじゃなくてエルメスって言うんだ」
「エルメスHermèsっすか」
「他に時計は?」
「ロレックスROLEXです」
流石の悟はロレックスは知っていた。
「それは読めるんだな、ロレックスは高いぞ、
物によっては何百万円もする、取っちまえ」
「はい」
男が亮の腕時計を外そうとしていると
「うっ」
悟は亮に鳩尾を撃たれ声を上げずに亮の上の覆いかぶさった。
亮は悟を跳ね除け取られた財布と名刺入れをポケットに戻した。
「どうした?悟」
助手席の男が後ろを向くと亮はスーツに刺さって
いたペンをその男の手の甲に刺した。
「あああ、痛てえ!」
男が手を抑えて暴れていると
亮はリアの窓をペンで突きガラスを割り足で蹴って
外に飛び出した。
~~~~~
道路に転がった亮は立ちあがり
「おおお」
ペンを思い切り車に投げつけると
リアガラスの端に突き刺さった。
「大丈夫か?亮」
アントンが駆け寄った。
「ええ、まだスタンガンでやられたしびれが
残っていますけど、このウエアが無かったらやばかった
それと護身用に作ったボールペン役に立った
書けないけどね。重さが150gある」
亮は服の下に炭素繊維ウエアを来ていて、
首を回してため息を付いた。
「奴らをどうする?」
「日本が世界に誇る観光地京都を汚すやつら許せない」
亮はスマートフォンを取って110番に電話を掛けた。




