表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/196

甲山六助

「はい、筋肉好きですから」

「ああ、いやらしい・・・」

「智子さん、ここはお任せします。

入院費と支払い先メールで下さい」


「了解。いろいろ大変なんでしょう、頑張って」

「ええ、黒八橋買ってきます」

「亮。私・・・彼ができたの」

智子は恥ずかしそうに亮に言った。


「おめでとうございます。道理で綺麗になったと思いました。

じゃあ黒八橋2つ買ってきます」

「うん!」

亮は忙しそうに駅に走って向かった。


「ばか!相手の事も聞かないんだから」

智子は亮の後ろ姿に向かって小さく手を振った。


~~~~~

亮が東京駅に着くと新幹線乗り換え口の前に大男が二人

立っていてそれが一目でピョートルとアントンだとわかった。

「亮!」

ピョートルは亮とハグをした。


「ピョートルここは日本だ、あまりハグしないでくれ」

「そ、そうか・・・」

「アイザックは?」

「今、カテリーナと駅弁を買っている」


「駅弁?」

「ああ、アイザックはここ数日で日本食通に

なっているというより

 カテリーナかな・・・おお戻ってきた」

ピョートルが指差した方向にフランス人形のような

真っ白い肌の美しい女性とアイザックが歩いてきた。


「あららら・・・」

アイザックの脇に和服の絵理子が歩いていた。

「おはよう、亮」

「絵理子さんどうしたんですか?アイザックと一緒に」


「ああ、彼がアイザックさん。駅弁を買うのに

悩んでいたから相談に乗ってあげたのよ」

絵里子はアイザックの方を見て笑った。

「亮、彼女は友達か?」

「はい、一緒に京都に行く絵理子さんです」


「そうだったのか、素敵です絵理子さん」

アイザックは和服姿の絵理子を見て顔を赤らめた。

「亮、私の婚約者のカテリーナだ」

アイザックは亮と絵理子のカテリーナを紹介した。


「綺麗ですね、キモノ」

絵理子の着物を熱心に見ているカテリーナ

を絵里子が誘った。

「京都に着いたら着物を見に行きましょうね、カテリーナ」

「本当ですか、嬉しい」


亮の脇に座った絵里子はまるで恋人のように

寄り添い駅弁を手渡した。

「あっ、僕の好きな鯖寿司」


「私は幕の内弁当よ」

亮は絵理子のあけた蓋の下のおかずを覗いた。

「なるほど、おかず12種類ありますよ」

亮はおかずの種類を見て数を数え

機内食に出す幕の内弁当のレイアウトを思い浮かべた。


機内食と駅弁を一緒に作るとスケールメリットで

弁当の単価を落とすことが出来き

人気を博せばスーパーマーケットでも販売できことを考えた。


「美味しそうでしょう、それに比べて亮はお弁当は寂しい」

「いいえ。この皮が好きなんですよ」

亮は嬉しそうに鯖寿司を頬張った。

「美味い!さすが極上鯖寿司身の厚さが違います」


「うふふ、」

絵理子は亮が無邪気に寿司を食べている姿が

愛しく思えて微笑んだ。

「ところでアイザックたちは何を買ったんですか?」


「牛丼弁当とステーキ弁当、ガードの二人は

サンドイッチとワインよ」

「そうですか、足りるのかな?」

亮が考えていると絵里子が囁いた。

「大丈夫、サンドイッチ合計10個あるから」

「やっぱり・・・・」


「亮、私が祐希を産んで3年後二人で東京に出てきたのは

本妻さんにいびられたからなのよ」

「やはりそうでしたか。それで本妻さんは?」

「それから2年後に亡くなったわ。交通事故で」


「本妻さんに子供はいなかったんですか?」

「ええ」

「京都に戻らなかったんですか?」


「ええ、私は黒崎の取り巻きが嫌で戻ることを拒否すると、

黒崎は親権の事で裁判を起こしたの、

私が祐希を連れて水商売をしていたので裁判で負けて

黒崎の従兄弟、正一郎の妻が祐希の面倒見ることになって

 私たちは引き裂かれたの」


「気の毒に・・・」

「でも、黒崎は私の将来を考えて銀座に蝶を作ってくれて

 月に1回祐希との面会を許可してくれたわ」

「それで、祐希さんと仲がいいんですね」

「ええ、あの子は賢いから私の立場もわかってくれて

 とてもいい親子よ」


「それで正一郎さんてどんな人なんですか?」

「どうして?」

絵里子は亮に正一郎の事を聞かれて驚いて

聞き返した。

「いいえ、祐希さんにどんな教育をしたのかと思って」


「元々祐希を男として育てようと提案したのは正一郎だったみたい」

絵理子の正一郎を語る顔は敵意に満ちていた。

「それで正一郎さんは?」

「今は黒崎が亡くなったあと関西ステート銀行の会長として

グループの実権を握っているわ」

亮は内村に言われた通りの話を聞いた。


「絵理子さんは経営にタッチしていないんですね」

「ええ、年に1度黒崎ホールディングスの株式総会に出るだけです。

 後は配当が銀行に振り込まえるだけ」

「それで僕に紹介したいという人はどんな人物ですか?」


「ええ、甲山六助さんと言って黒崎の番頭をしていて

私たち親子の面倒を見ていてくた人。

亮が会うと言った人の後に京都で会うことになっているわ」

「絵理子さん、僕の名前を甲山さんに言いましたか?」

「ううん」

絵里子が首を横に振ると亮が答えた。


「僕は京都で会うことになっているのはその甲山さんです」

「えっ!?」

「甲山さんは内村さんのお友達だそうです」


「驚いたわ、亮の会う人が同じ人だったなんて・・・」

「はい、僕も驚きました」

「実は将来祐希が日本に戻った時、

六助さんに祐希の世話をお願いしようと思っていたの」


「なるほど祐希さんはフループ全体の何も知りませんからね」

亮は祐希の事を聞いて跡取りの重圧を

気の毒に思った。

「ええ、だから亮が早めにクループを

把握いいえ掌握してもらいたいの」

「掌握!?」


「私と祐希の持っている株式数ならあなたを社長にできるわ」

「そ、そんな事は出来ませんよ」

「祐希ためなの考えていてちょうだい、

あなたも祐希の事好きなんでしょう」

「は、はい・・・」


亮がはっきりした返事をしないでいると

絵里子が亮の顔をのぞき込んだ。

「亮、まさか祐希とやっていないでしょうね」

「やるわけないじゃないですか」

あのアリゾナの夜の事は亮と

祐希の二人だけの秘密だった。


絵理子と話をしていた亮の肩をピョートルが叩き

アントンと一緒にデッキに出た。

「日本は平和だ。亮、俺たちが必要ないなら

 いつでもロシアへ返してくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ