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祐希の存在

「乗っ取るって?すでに実権を握っているんじゃないですか」

「ああ、それでも幼い頃から帝王学を教え込まれた

娘がハーバード大学から帰ってくる危機感があるんじゃないか」


「確かに祐希さんはかなりの切れ者ですけど、方法は?」

「それは分からんが、やり方はたくさんあるだろう。

 なにせ二人は黒崎ホールディングスの経営には

タッチしていないからな」


「ええ、それにしても凄い、情報ですね」

「ああ、私の友人に憲治氏の側近だった。

甲山六助と言う男がいて

それを危惧している。今度紹介するから会って欲しい」


「明日、アイザックと一緒に京都に行くことになっているんです」

「そうか、そうか。連絡しておく。この話しはママには内緒だぞ」

「はい」


亮は乗っ取りの話しを聞いて居ても立っても居られず

森に電話をする為に席を立った。


「社長、何コソコソ話しをしていらっしゃったの?」

美也子が着替えから戻って来ていないので

絵里子は内村の脇に座った。

「色々と仕事の話だ」

「まあ、内村社長は亮を信頼しているんですね」


「あはは、確かに頭の固い取締り連中より

亮くんを信頼している、我社の外部取締役に

なってもらいたいくらいだ」

内村は真剣な顔で絵里子の顔を見た。


「私も同じでも亮も固いわよ、あそこが。ウフフ」

「おいおい、そっちの話しか。

さては、彼を狙っているな」

「そうね、彼の子を産みたいわ」

「えっ、子供だって?」


「大丈夫。まだ生理があるから産めるわよ」

「マジか!?」

「ええ、娘の祐希もきっと喜んでくれるわ」

内村は鬼気迫った絵里子の真剣な顔に鳥肌が立った。


~~~~~

「森さん、亮です」

「おお、いい所に電話がかかってきた。

歌舞伎町の酒井組の組員が百人町の

線路脇で殺された」

「それって?」


「酒井組は山田組みの傘下で同じ歌舞伎町の

真田組とは敵対関係だ」

「塩見が関係しているんでしょうか?」

「ああ、今捜査中だが確率は高いな。今連絡待ちだ」


「僕が連絡したのは塩見と黒崎憲治さんとの事です」

亮は自分の知っている限りの塩見と黒崎憲治の話をした。

「亮、それはまずいぞ。絵里子ママにもしもの事があったら

一人娘の祐希さんにすべての財産が行ってしまう、そうなったら

無垢な彼女は正一郎の言いなりだ」


「はい、その通りです」

「とにかく新しい情報が入ったら連絡をする」

「はい、お願いします」


亮が席に戻ると美也子もドレスに着替え席についていた。

「亮、話しがあるんだけど時間無い?」

絵里子が耳元で囁いた。

「今夜は早めに帰らなくちゃいけないんです。

明日の朝は市ケ谷の病院へ行って

 その後直ぐ京都なんです」


「そうか、京都か。私も久しぶり行こうかな・・・」

「えっ!」

絵里子は強引に亮と一緒に京都に行くことに決めた。

「美也子ちゃん明日私亮と京都へ行くからお願いね」

「はい」


美也子は最初は驚いていた顔をしていたが、

ニッコリと笑って答えた。

「でも、アイザックが一緒なので・・・」

「大丈夫よ、私が京都案内してあげる。

京都には祐希の出産と育児の

3年住んでいたんだから」

絵里子は亮の質問に言いに難そうにした。


「分かりました、それがどうして東京に?」

「それがちょっと・・・ところで何時にする?」

「そうですね、朝病院に9時に行きますから

11時発の新幹線で行きましょう。

アイザックにも伝えておきます」


絵里子の様子を伺って亮は深く聞くことを止め

京都に一緒に行く事に決めた。

「ありがとう。会って欲しい人が居るの」

「はい・・・」

亮は絵里子が今度はどんな人を

紹介してくれるかドキドキしていた。


「舞妓さんが良いです」

「亮、お茶屋さん行った事無いの?」

「はい、ありません」

「そう、じゃあアイザックと一緒に行きましょう」

「本当ですか!」

亮は嬉しそうに笑って答えた。


「そんなに嬉しいの?舞妓さんと会うの」

「はい」

亮は美味しい餌を目の前にしている犬のように

今にもヨダレを垂らしそうだった。

「しょうがないわね」

絵里子はため息をついた。


「じゃあ亮くん、明日の夕方

京都でのセッティングをしておくよ」

内村は甲山六助と亮が会う段取りをつける事にした。

「ママ、夕方ちょっと時間をいただきます」

「いいわよ。私がその間アイザックの世話をしておくわ」

絵里子は亮が誰と会うかを詮索せず快く承知した。

「お願いします」


~~~~~

亮は三瓶が待っているので早々とクラブ蝶を後にし

目白の自宅に帰るとマギーと蓮華と桃華が待っていた。

「亮、話しがある」

蓮華が三瓶のいるダイニングから離れ

2階の亮の部屋に亮を連れて行き

それに桃華とマギーがついていった。


「今日、いけないことだけど桃華と

一緒に菊池の部屋に入った」

「ええ」

亮は何も咎めずうなずいた。


「これが中の写真」

蓮華がマイクロメモリーを亮に渡すと

亮はパソコンに繋いである

リーダーにそれを差し込んだ。

「これは・・・」

亮は何枚かある写真の中で、血で汚れたベッドを見た。


「この血量だと200~300cc場所的には

 左横腹でしょうか」

「はい、血液の凝固状況で3日以上経っていると思います。

一応、血液を取ってきました」

「他に血液は?ベッドの下とか浴室とか」

「ありません」


蓮華が首を振ると亮は浴室、ベッドの下、

玄関の写真をチェックした。

「宮部はおそらくこの血を見て慌てて

塩見に報告したんでしょう。

ありがとう、蓮華、桃華」

三人は亮に報告をすると三瓶に

気遣い先に部屋に入って行き

亮はダイニングでお酒を飲んでいる

三瓶のところへ行った。


「三瓶さん、今日は家の修理をありがとうございました」

「い、いいえ。明日はクラブハウスとコートのベンチを

 修理させていただきます」

三瓶は頭を掻いて亮に答えた。

「三瓶さん明日、塩見氏の件で京都に行ってきます」

「調べに?」

「はい」


「亮さん、俺のような者にこんなにしてくれるなんて

 本当にありがとうございます」

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