ナチュラルグリル出店計画
「はい、食べきれないほどの食事ではなく
植物繊維たっぷりのダイエットと美容を
目的とした女性専用の温泉施設です。
温泉入浴、岩盤浴の後、ヨガにエステ、筋肉トレーニングに
ストレッチ3日もあれば生まれ変れます」
「うふふ、面白い。直ぐに両親を呼ぶわ。
温泉ホテルの売却物件情報をたくさん持っているの」
「それはいいですね、是非。温泉大国日本のメリットを
利用しましょう」
「とこでどうして女性専用なの?」
「3日も温泉に入ってダイエット食品を
食べる男性がいると思いますか?」
「なるほど、いないわね」
「要望があったら作りましょう。その時は健康保険組合と組んで
メタボの人に強制的に入ってもらう。
禁酒、禁煙の目いっぱいハードな施設を」
「うふふ、亮は男性に厳しいのね」
「そうでもないですよ。今度、JKを連れてきますから
カットしてあげてください」
「JK?ずいぶん好みの年齢が下がったわね」
「べ、別にそんなわけではないです」
亮は上目使いに見る裕子に慌てて答えた。
「そうだ、今度バイクを買ったので一緒にツーリング行きましょう」
「えっ、何を買ったの」
「CBR-RRと隼とNinjaです」
「わぁ、隼乗ってみたい」
「亮、終わったわ。さあ行きましょう」
ヘアセットとメイクが終り、
妖艶な姿のになった美也子は亮と
腕を組んでマテリアを出た。
「これが同伴ですか、みんな振り返っていますよ」
「そうね、亮のような若い男性の同伴は
珍しいからじゃない」
「そうか・・・」
亮は久しぶりに多くの女性と接して
自分の体からフェロモンが大量に
出されている事に気づいていなかった。
そこに内村から亮の元に電話があった。
「亮君、今東京駅に着いた。夕食でもどうかな?」
「はい、美也子さんが一緒ですが・・・」
「おお、同伴かお邪魔だったな?」
「いいえ、大丈夫です」
「じゃあ、ナチュラルグリルで食事をしよう、話しがある」
「ナチュラルグリルですか?」
亮は昼に原巌と食べたばかりだったので
飽きていた。
「なんか、まずい事あるのか?」
「い、いいえ」
ナチュラルグリルには葉子も書類を持ってきていた。
「亮君、早速だがナチュラルグリルの評判はどうかね?」
「ええ、かなり評判がいいですよ。お昼にはサラリーマン
午後には主婦、ディナーも人気があります。
新宿、渋谷、羽田、四谷、田町の
ルーセントホテルの中にあるナチュラルグリル
5店は行列が出来ています」
「関西の出店予定は?」
「ルーセントホテルが管理をしているので出店予定が出来ましたが
ここの銀座店以外はまだ人材が出来上がって
いないので、単独店はまだです」
「そうか、まだトレーニングセンターが
出来ていないからな」
「それと、アメリカのナチュラルグリルのメニューに加えて
日本風に味付けをかえている最中ですから
直営店は後一ヶ月かかります」
「なるほど」
「どうしたんですか?」
「実は東京に比べて関西でナチュラルグリルの
商品の売り上げが伸びていないんだ、
宣伝の為に店舗を作ってくれると助かるんだが」
「そうですね。関西向けのお店を作りましょうか?」
「なんだね」
内村はまた亮のいいアイデアが聞けると思って
興味を持って体を近づけた。
「激安フランス料理です」
「激安!!」
亮は立ち上がり厨房に入り
10分も経たずに料理の乗ったプレートを持って来て
テーブルの上に乗せた。
「まず、コーンスープと前菜の大根煮の
3種ソース添え、鶏肉のシールド煮、スズキのポワレ、
キャプリニともやし炒め、デザートがマラスキーノ酒の
ジェノヴァケーキです。召し上がってください」
「美味い!」
美味そうな料理に亮の説明を聞かずに
料理を食べた内村が大声を上げた。
「激安って言っても、この料理いくらだと言うんだ?」
「原価1500円です。販売価格は2500円ほどで」
「2500円だって、それでいいのか、利益が出ないじゃないか」
「これは一日10食限定ディナープレートメニューで
毎夜10名のお客様を確保できます」
「しかし、原価1500円とは凄いな」
「これはすべて冷凍食品です。
美也子さんが食べているそのパンも」
「信じられない、冷凍食品でこんなに美味しいの?」
美也子が頬に手を当てた。
「電子レンジでチンしたの?」
いつも食事を電子レンジで作る葉子は
まるで電子レンジで作ったよなスピードに驚いていた。
「いいえ、ファストフード店と同じで加熱するだけなんです。
フランス料理が何故高いかと言うと、一人分の十人分のソース
であろうと作る料理はすべて同じ、残ったものは捨ててしまいます」
「わあ、もったいない」
「そこですべての料理を冷凍にして、
必要な分だけ使うようにするわけです」
「でも、歯ごたえが良くて冷凍じゃないみたい」
「そこなんです。ただ残り物を冷凍したわけでは
無くて加熱を計算に入れた
80%仕上げにしてあるんです」
「なるほど、加熱して100%か」
「冷凍した物を加熱するだけですから
高い人件費のフランス料理のシェフも
コックも必要なくなるわけです」
「なるほど、よく思いついたな。80%仕上げとは」
「ええ、それはJOL用の機内食開発から
出来た結果なんです。味の浸透と
保存の為に炭素ガスを1度入れてから
真空にしてパックにして、
常温で保存できるものと冷凍にする物を分けます。
もちろんカロリー控えめで、
このケーキもおからを細粉にしていて
小麦粉と違いが分からないくらい。コーヒーは
水出しコーヒーを温めています」
「とにかく美味い。直ぐに出店しよう。どれくらいで出来る?」
「機内食工場で生産をしますから店舗の
準備が出来ればいつでも良いですよ。
後は久美子さん達の販売グループにおまかせすれば」
「葉子君、食品4課の鈴木課長に連絡をしておいてくれ。
明日11時30分にここで試食会だ、
久美子には私が連絡する」
「はい、かしこまりました」
葉子は内村の指示をノートに書き込んだ。
「では、亮君に頼まれた資料を持って来た」
内村は知念に関する経歴書を持って来た。
「社長、この先は私が説明します」
「うむ」
葉子は内村の了解を得て話し始めた。




