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国城確保

亮からの連絡を受けた一恵と早苗とマギーが同時に答えると

電車が停車しドアが開いた。

国城はドアが空いても降りる素振りを見せなかった。乗客が

降り終え、代わりにホームの客が乗って来ると

ホームで発車チャイムが鳴った。


その瞬間、国城は人をかき分け電車から飛び降りた。

「亮、逃げられました、済みません」

一恵がマイクに叫んだ時電車が走り出した。

「分かりました、8時6分に着いたら南口に向かって連絡をください」

「済みません」

一恵は国城のフェイクに騙されて悔しがった。


~~~~~

「雪さん、発信機は発信していますか?」

亮は国城の行き先を知りたかった。

「今発信元をチェックできないわ」

「そうなると、地下鉄ですね」


代々木上原駅は小田急線のホームの向かい側に千代田線のホームが

有り簡単に乗り換えができ

7時57分の到着の小田急上り線のホームの向かい側には

7時57分発の千代田線綾瀬行きのホームに到着している。


「麻実さん、防犯カメラとリンクさせて

代々木八幡、明治神宮前(原宿)、

表参道を重点に国城を探し出してください」

「了解です。ところで亮は今どこ?」

麻実は亮の指示で地下鉄の防犯カメラで

国城を探しながら亮に聞いた。


「タクシーで代々木八幡に向かっています」

「えっ、どうして?」

「何となくそういう気がして・・・」

亮は国城の行き先をこう推理した。


朝8時の人気のない原宿、表参道を歩いても

目立つだけで地下鉄とJRだけで他の交通機関が無い。

山手通りの近い代々木八幡で降りてタクシーに乗るか

防犯カメラの無い代々木公園や明治神宮

で時間を潰して原宿か渋谷に向かいそこで

人ごみに紛れる方法があると思っていた。


「亮、国城の代々木八幡での降車を確認したわ」

発信機を追っていた雪が亮に伝えた。

「了解、僕は後5分ほどで着きます」

「あっ、車に乗ったみたいです。山手通りを池袋方面に向かって

 移動しています。亮との距離300mです。接触まで

 5、4、3、2、1」


亮が見た車は黒い国産高級車で運転していたのは

30歳半ばの男だった

「えっ?」

亮は国城が乗っているはずの車に

知らない男が乗っていた事に驚き声を出して振り向いた。


「雪さん、車に乗っていたのは別人です。

そのまま発信機で追尾してください」

「了解」

亮は雪に指示するとUターンすることなく

代々木八幡に着いてタクシーを降りた。

「美咲さん、下田さんと根本さんはどこにいます?」


「代々木八幡にいるわ」

「了解、代々木公園の入口に来てください。国城を足止めします」

目の前に女装したままの国城が立っていた。


亮は国城の目を見つめ国城は亮の目から逸らすことは無く

じっと見つめ合った。

「お前のやっている事は知っている、もうやめろ!」

亮はそう呟いた。


「国城正明だな」

そこへ美咲の指示でかけてつけた下田が国城に声をかけると

女装した自分がどうしてわかったか国城は動揺していた。

「は、はい」

「ちょっと聞きたいことがある」

国城うつむいたまま下田と根本に連れられていった。


国城がすでにスキャナーを見知らぬ男に渡した後で

捕まえても証拠は何もない、従って本人の自供がなければ警察は

国城の容疑は立証できないために

捜査差押許可状を裁判所に請求できない。

亮はすれ違った男の行き先を

雪が突き止めることを期待した。


「美咲さん、今下田さんたちが国城を連れて行きましたが

 証拠が十分では無いので自供を取るのは難しいと思います」

「証拠って?スキャナーは」

「それが持っていませんでした」


「じゃあ、代々木上原から代々木八幡の間に

スキャナーを処分したという事?」

「ええ、おそらく」

亮は捜査上違法である発信機の追跡を美咲に明かせなかった。


「困ったわ、とにかく新宿署で樫村さんたち四人が

 事情聴取をしています。亮が山手線で撮った写真、

その時の乗客のICカードのデータ

 そして今日の小田急線の防犯カメラのデータを

見せて異常な行動を指摘して追い詰めるか期待します」


「そうですね、みんな優秀な警察官ですから」

「ところで国城の通っていた予備校はJR代々木だったわ」

「やはりそうでしたか、それで当時何処に住んでいましたか?」

「代々木一丁目、小田急線南新宿駅の近く」


「つまり、この近辺ですね」

「ええ」


「亮さん見つけました」

早苗から亮の元に連絡があった。

「えっ?早苗さん?」

「はい、代々木上原で降りて国城からバッグを

受け取った男をつけてきました」


「さすがプロの探偵、道理で連絡が無いと思っていました」

「私も一緒だよ」

マギーの声が聞こえた。

「早苗さん場所はどこですか?」


「山都美容専門学校の裏側のマンションです」

「了解、裏側というと西側ですね。

折り返し連絡をしますのでちょっと待ってください」

「はい」

亮は直ぐにジュディに電話を掛けた。


「ジュディ、亮です」

「帰ってきた時にメールがあったきりね。どうした朝早くに」

「学校の後ろにマンションがありますよね」

「ええ、うちの先生がたくさん住んでいるマンションよ。

それがどうしたの?」


「ちょっと調べたい人が住んでいるようなのですが」

「そう、じゃあ学校に来てくれる私の部屋からよく見えるわ」

「ありがとう、直ぐに行きます」

亮は直ぐに学校に向かった。


~~~~~

新宿署一室に国城が座らされ

写真を目の前に出された。

「これが3日前の男姿のお前だ、時刻が7時25分。

ICカードからお金を盗まれた

 被害者の何故か7時25分から7時40分の間だ」


下田が言うとそこに白石和子がノートパソコンを

国城の前に出した。

「これが防犯カメラあなたを撮した映像。

新宿西口6時36分に小田原行き急行に

乗った映像。これが町田であなたが乗り換えた映像、

これがあなたが代々木上原で乗り換えた映像、

そしてこれがあなたが代々木八幡で降りた映像よ。わかる?」


「つまりお前はキセル乗車をしたわけだな、これも立派な詐欺罪だ。

 新宿から町田、町田から代々木八幡に行った理由を話してもらおう。

各駅で4分の距離だそんなに遠回りNAVITIMEでも教えてくれないぞ」

和子と下田の質問責めに国城はうつむいたままだった。


「呼んでください。あの人を・・・」

「あの人?」

国城がうつむいたままボソッと言った。


~~~~~

「亮、マンションから例の男が出てきたわ、後を追けるわ」

山都美容専門学校の前に着いた亮に早苗から連絡があった。

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