痴漢に天罰
「あの時言われた心の開放でアメリカで友人が
出来ました。ありがとうございます」
「いやいや」
大西は照れていた。
「そう言えば、渋谷にマッスルカーブという
ジムを開業しました、お礼と言ってはなんですが、
入会金、年会費無料と言うことで是非、
メンバーになってください」
「あ、ありがとうございます。では知り合いを誘います」
大西は好みのマッチョが
トレーニングしている姿を思い浮かべた。
亮は礼と言ったがマッスルカーブがゲイと
オカマだらけなるのを想像すると鳥肌が立った。
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亮は大西と別れて新宿駅に着いたのは7時30分だった。
「雪さん、国城の状況を教えてください」
「はい、国城は7時15分に町田駅で降車
反対側のホーム移動、7時19分新宿行き急行に
7号車一番後ろのドア付近に乗りしました。
マギーと一恵さんと早苗さん
が張り付いています。
玲奈さんは次の電車7時26分の急行で戻っています」
「了解です。乗車率は?」
「101%です」
亮は無事に事が済んだ事に胸を撫で下ろし
下田と根本が無事に新百合ケ丘で同じ
電車に乗ってくれている事を
祈った。
そこに美咲から電話がかかってきた。
「亮、下田さんと根本さんが乗車したけど
国城が何号社にいるかわかる?」
「7号車です」
「そう、ありがとう」
「8号車は女性専用車両です」
「分かったわ、そう伝えておくわ」
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「ここに国城が乗っているのか?」
「はい、警視から連絡がありませんから
多分大丈夫だと思います」
下田と根本は混雑し合った車両の中首を伸ばして
国城を探していた。
「下田さん、根本さん。国城は7号車にいます、
となりは女性専用車だから
男性は入れないわよ」
「トントン」
イヤフォンから聞こえる美咲の声に
周りの乗客に聞こえないよう手首に付けた
マイクを2度叩いた。
「いったい誰が居るんだ、こっちに指示をしてくるぞ」
「はい」
根本はまるで監視カメラで見ているかのような美咲の
指示に首をかしげた。
「とにかく移動する」
下田と根本は満員電車の中を乗客をかき分けて
移動していった。
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「まったく日本の電車は痴漢が多いんだから」
マギーのお尻には1本の手と胸にも2本の手が
伸び電車の揺れに合わせてそれがモゾモゾと動いていた。
マギーの目先にはバッグを肩に掛けた
女装した国城その延長線上にいるのは鋭い目つきで
国城を見つめている早苗がいた。
「あん、ダメよ」
ミニスカートをまくり上げの太腿をなで上げる
慣れた手つきの指先にマギーが声を上げた。
マギーは早苗と目を合わせると
太股をなでている手を股に挟み
腰を捻った。
「うっ!」
男は手の痛みで体をマギーの前に移動すると
その足をマギーは踵で思い切り踏みつけた。
「ぎゃー」
男が声を上げるとマギーは自分の胸を掴んでいた
別の男の手をつかみ小指を手の甲の方へ反らせると
「ボッキ!」
小指は鈍い音を立てた。
「あああ」
男は小指を持ってドアの方へ体を移動した。
二人の男の悲鳴で車内は騒然として
足の甲を抑えてしゃがみこんでいる
男の周りに空間が出来上がった。
国城はその騒ぎで8号車の境のドアまで押し出され
早苗に体を付ける事になった。
早苗はその瞬間に国城の胸に手を触れ、尻を触り
男である確認を取った。
「あと一人」
マギーは先ほど自分の胸を触っていたもう一人の男の
ベルトに手を回しそれを外してズボンを膝まで下げ
腰椎を強く押し込んだ。
「キャー」
ズボンを下ろされた男の周りで悲鳴が起き
女性たちが8号車に向かって移動した。
早苗は隣にいた国城を体で押して8号車に押し込んだ。
そして、そこに待っていたのは一恵だった。
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7:37向ヶ丘遊園に電車が着くと
下田と根本はホームを走り5号車にから7号車の
2つ目のドアに移った。
「ここから徐々に近づくぞ、気づかれるな」
「はい」
下田は根本に命令をした。
そして、二人が目にしたものは
乗客の悲鳴と痛みを抑えてうずくまっている
二人の男と下半身を露出している男だった。
「何があったんだ!」
「下田さん、国城がいません」
「ま、待て!」
下田は警察の立場から国城を探すか、
三人の男の事情聴取をするか悩んでいた。
「警視、今車内でトラブルが起きています。どうしますか?」
根本は美咲に今車内で起こっている事を伝えた。
「分かったわ、事態を収拾して乗客の安全が第一だわ」
「了解」
根本は下田の所に行った。
「下田さん、乗客の身の安全を守りましょう」
「ああ、俺も聞こえたよ。
お前は露出している男を何とかしろ」
「了解です」
根本は下半身を出したままの男に駆け寄った。
「お前何やっているんだ、お前?」
「ああ、助けてください。腰が曲がらなくて
ズボンが上がらないんです」
男は目から涙を流していた。
「しょうがねえな。随分派手なパンツ履いているな」
「済みません、今夜デートの予定だったものですから」
根本はビキニのTバックのズボンを上げた。
「その割には粗末だな・・・」
「おい、どうした?」
下田は足の甲を抑えている男のところに行った。
「足を踏まれて・・・」
「踏まれてこうなるか?骨が折れてるぞ!誰にやられた?」
下田が追求すると男はうつむいたままだった。
根本は露出男の次に小指が曲がった男に話しかけた。
「どうした骨が折れてるぞ」
「ええ、ちょっと・・・」
その男は女性の胸を触って小指を折られたとは言えなかった。
「下田さん、次の駅成城学園で降ろしましょう」
「分かった」
7時44分下田と根本は成城学園前で公然わいせつ罪で
一人の男を逮捕し二人の男を病院に送った。




