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亜里沙の相談

「先生、大変。今ルーセントホテル銀座の

知人から連絡があって

 お客様が会議室で撃たれたそうなんです」

「おお、ルーセントホテルと言ったら

ここからすぐじゃないか。犯人は?」


「その場で捕まったそうです」

「そうか、それは良かった。これで安心して飲めるな」

塩見はそう言って宮部の間に座っている

美也子の肩越しに宮部の肩を叩いた。

「そうですね」

宮部はうなずき微笑みを浮かべグラスを飲み干した。


しばらくすると、秀樹と森が蝶に入ってきた。

「いらっしゃいませ」

絵里子は立ち上がり秀樹を迎えた。


~~~~~

亮は遊々亭を出て目白の自宅そばの

桜井亜里沙の自宅に向かった。

夜9時過ぎの訪問は気がとがめたが、

幼い頃から通い慣れた同級生桜井彰の

家のチャイムを懐かしく鳴らした


「いらっしゃませ」

亜里沙は風呂に入った後の様子ですっかりメイクが落ちていて

朝ジョギングで会う亜里沙だった。


亮がスリッパを履くと亜里沙の母親房江が出迎えた。

「まあ、亮君ずいぶん大人になって素敵になったわ」

「お久しぶりです。おばさん」

アメリカ住まいの長かった房江は躊躇せず亮にハグをして

応接室に案内した。


「亜里沙があなたの事を痴漢と勘違いして

しまって申し訳ありません」

房江は深々と頭を下げた。

「いいえ、亜里沙さんとは久ぶりだったので

お互い顔を忘れていました」

「そうね。亮さんずいぶんたくましくなったわ、あの頃は

おとなしい子だったわ」


「彰がアメリカに行ってからは友達の少ない僕は

 引きこもって勉強ばかりしていました」

「そう、兄弟のようにいつも一緒にいたものね。

二人のアキラちゃん」

「あはは、もうアキラちゃんはないですよ」

亮と房江が笑っていると亜里沙がコーヒーを持ってきた。

「何笑っているの」


「ええ、お母さんが僕をアキラちゃんて言うから」

「うふふ。ママ亮さんに相談があるのいい?」

「はい、はい。亮さんまた遊びに来てくださいね」

亮に会釈すると応接室から出て行こうした

房江を止めた。

「あっ、済みません。これ使ってください。亜里沙さんと同じ

 キーケースです」

亮は美咲に渡そうと用意していたキーケースを房江に渡した。

「ありがとう、亮さん」


房江は亮から小箱を受けてると嬉しそうにして

2階に上がっていった。

「ごめんなさい。ママに余計な気を使わせちゃって、

誰かに上げるものだったんでしょう」

亜里沙は済まなそうな顔をしていた。


「いいえ、子供の頃ずいぶんお母さんに

お世話になりましたから、それよりお父さんは?」

「あいかわらず世界を飛び回っているわ、

今頃マレーシアのクアラルンプールかしら」

「お父さん自動車会社にお勤めですよね」

「ええ、私が子供の頃は工場のあったアラバマ州のバーミンガム

それからミシガン州のアナーバーに引っ越したわ」


「それは大変でしたね。僕だったら耐えられません

友達を作るのが苦手ですから」

「兄がそうだったわ、かなりいじめにあったみたいよ」

亮はそう言う状況だった彰がなぜ自分に

連絡をくれなかったか不思議だった。

「とこで亜里沙さん相談の話とは?」


「実は今日話をした行方不明になったのは

村野証券に勤めている緒方真由美さんと言って

 慶桜大学の先輩なんです」

「ええ」

「それがジョギング中に行方不明になったんです」

「どうしてそれがわかるんですか?」

「皇居の周りのジョギングをするのに、半蔵門にあるショップに

荷物を預けてあってそれを取りに戻っていなかったんです。

そこには着替えも、財布も、スマートフォンを入っていました」


「それは完全な誘拐ですね、今時神隠しでもないし」

「でも犯人からは一切連絡が無いんです。だから警察も誘拐ではなくて

失踪としてか扱えられないらしんです」

「確かに・・・」

「どうにかなりませんか?」

「わかりました?写真と身長とスリーサイズそして体重も」

亜里沙は亮の言った事をメモした。

「スリーサイズってどうやって調べれば?」


「半蔵門のショップに聞けば良いです」

「これでいいかしら」

亜里沙は真由美と一緒に映っている

スマートフォンの写真を亮に見せた。

「QVGA320×240か解像度が低いですね、

 今度はVGA以上にした方がいいですよ。

プリントアウトする時も便利です」

亮はそう言って真由美の写真を1分ほど見つめ

A4サイズのノートに絵を描き始めた。


「何しているの?」

「写真が小さいから顔を拡大しています」

「ううん、もう1枚の方私も描いてあるけど」

亜里沙は亮の描いている絵を覗き込んでいた。

「さて、亜里沙さんの身長は163cmだから・・・

真由美さんの身長は158cm」

亮はそう言って座っている亜里沙の胸とウエストを見つめた。

「バスト85D、ウエスト58、ヒップ85、足のサイズ24.5」

「えっ?」


「という事で分析すると真由美さんは

バスト82C、ウエスト63、ヒップ83、

足のサイズは23.5です」

亮は真由美の体のサイズを勝手に断言した。

「前に言ったのは私のサイズ?」

「ええ、違いますか?」

「あ、合っていますけど、どうして?」

亜里沙はやはり亮は変態だと疑って冷たい目で見つめた。

「スタジオDのランジェリーデザインをしているので

大体でわかります。足のサイズはさっき

玄関で亜里沙さんの靴を見ましたから

それに今の亜里沙さんノーブラだし」


「キャー、いやらしい」

亜里沙は胸を隠して亮の顔を叩いた。

「それでスマートフォン番号わかりますか?」

亮は言い過ぎた事を反省してうつむいたまま

亜里沙に聞いた。

亜里沙は怒ったようにスマートフォンの

真由美のアドレスを見せた。


「身長、喉の長さ太さから割り出すと

亜里沙さんの329.3Hzレより高い

 330Hzのミちなみにさっきの亜里沙さんの

悲鳴は347.7Hzファの音です。

 学費の高い名門の慶桜大学卒業と

なると育ちもいいようですから、

比較的ゆっくり話す方だと思います」

「私は?」

「亜里沙さんはアメリカ育ちなので早口で大声です」

亮に育ちが悪いと言われてような

気がした亜里沙は憮然としていた。


「真由美という名は見た目は甘えっ子で

依存心が強く、おっとりして優柔不断で人に

影響される行動をします。きっと友達が多いはずです。

 先月別れた男性は真由美さんが振ったのではなく、

相手の男性に好きな女性ができたせいで

真由美さんが身を引いたのだと思います」

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