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三瓶と直子

「相変わらず無理をする男だ」

「この炭素繊維ウエアの防弾テストができました、

完璧です。スーツ穴が空いたけど」

「あはは。お前がビデオに撮っていた理由が、

塩見の恫喝だけじゃなかったのか」


「ええ、塩見の殺人教唆の証拠でですからね」

「まあ、生きているから10日の打撲の診断書でも書いてもらおう」

「お願いします」

「亮、グッド・ジョブ。お前を誇りに思う」

秀樹は亮と握手をした。


「さて、お父さん。たまにはみんなと食事をしませんか」

「ああ、そうだな。でも歩き回って大丈夫か?」

「塩見の部下はこの病院の前で張っていて

僕の様態を気にしているはずです。

 まさか炭素繊維ウエアがこんなに丈夫だとは

思ってもいないでしょう」


「まあな」


亮と秀樹と一恵は遺体搬出用の裏口から出て

遊々亭に向かった。


~~~~~

「そう、ありがとう。この事は伏せておくわ」

亮と電話を終えた美咲が電話を切った。

「どうしたんですか?警視」

樫村が美咲に聞いた。

「ううん、ちょっと」

美咲は亮が無事でホっとしてにこやかに樫村に答えた。


「そうですか、このデータの分析どうしますか?團さんなら

 確実に解析してくれると思いますが・・・」

「そうね。でも團警部に頼ってばかりいられないわ。

明日の警視庁との打ち合わせに

こちらの分析を持って行きましょう」


「はい」

樫村が頷くと下田と根本は美咲が言った

『團警部に頼らずに』と聞いて嬉しかった。

「下田さん、根本さん国城の部屋の前を張らなくていいわ」

「いいんですか?」


「ええ、それより明日の朝8時から9時の間また犯人は動くはず、

それの警戒に動いてください」

「次はどこで?」

「少し時間を頂戴、明日の6時までに連絡をするわ」

美咲は下田の執拗な質問に逃げるように答えた。


「やはり亮と話したい!」

美咲はそう呟きICマネーを次々に盗んでいく卑劣な

犯罪がこのまま拡大してく可能性が高く

どうしても食い止めなければならない責任を感じていた。


~~~~~

「宮部、今夜は虫を一匹殺したお祝いに飲みに行くか」

「はい」

塩見は宮部と一緒にクラブ蝶に行った。

「先生、お久しぶりですね」

「月に1回は来ないと、お世話になった

黒崎さんには申し訳が立たない。絵理子さん」


「もう気になさらなくていいんですよ、塩見さん」

「いやいや、それは私の言い訳ですな。あはは」

塩見は上機嫌でふかふかのソファに座った。

「ご指名は?」

「そうだな、絵理子さんがいれば申し分ないんだが

 この宮部には話上手の美也子がいいかな」


「わかりました」

絵里子はマネージャーに美也子を呼ぶように伝えた。


「そう言えば息子さんはまだアメリカに?」

「先生、息子じゃなくて娘です」

「ん?黒崎さんは息子とおっしゃっていたが」

「きっと祐希がボーイッシュだったからだと思います」

絵里子は祐希が亮によって心の病を治してもらった事は

誰にも言っていなかった。


「そうか、黒崎さんはお嬢さんを跡取りと言っていたので

 私が勘違いしていたんだな、失礼しました」

「おかげさまで、今ハーバード大学で経営学を学んで

学友と会社を作って仕事をしています」


「それは素晴らしい、卒業が楽しみですね」

「ええ、とても楽しみです」

絵里子は男から女になってとても美しくなった、

祐希の将来を楽しみにしていた。


「ところで、絵理子さん。山口先生は

その後こちらに現れたかね?」

塩見は思い出したように絵理子に聞いた。

「いいえ、何処に行ってしまったのでしょう」

「そうか、やはり何者かに命を・・・」


「先生、不吉なこと言わないでください。

きっと元気に帰ってきますよ」

「そうだな」

塩見はそう言ったが自分の先生だった

山口に戻ってきてもらっては

困るのだった。


「先生、いらっしゃいませ」

美也子は塩見に挨拶をした。


~~~~~

「コツコツコツ」

三瓶が居る部屋の壁のドアがなった。


三瓶はマンションの壁側のドアがなぜあるか不思議で

ドキドキしながらドアのそばで囁いた。

「ど、どちら様ですか?」

「池田直子と申します。團さんの友人で隣の

部屋に住んでいます。開けていただけますか」

「は、はい」


三瓶は慌ててドアを開けた、

その前には優しく微笑む直子が立っていた。

「どうも、サンペイです」

昔、どこかで聞いたギャグに聞こえた。


「池田です。亮に聞いたんだけどここに

2、3日缶詰なんですって

 私の部屋に来ない。そっちは難しい

本しかないから退屈でしょう」

「いいスすか?」

三瓶は喜んで直子の部屋に入って見渡すと

落ち着いた雰囲気は正に大人の女性の部屋だった。


直子は三瓶に料理とお酒を振舞った。

「三瓶さんは東北訛りがあるけど

どこなの?私岩手の盛岡よ」

「本当ですか!俺秋田市です」

三瓶は同東北の秋田県の隣の岩手県と

聞いて急に直子に親しみを持った。


「三瓶さんは亮と何処で知り合ったの?」

「一昨日團さんが秋田に来て俺たちが監視していたんです」

「あら、亮は何かしたの?」

直子は三瓶が気を悪くしないように丁寧な言い方で聞いた。


「いいえ、俺は・・・俺の上の人間は悪い人です。

團さんを殺そうとしました」

「まあ、ひどい!」

「團さんはそんな俺の妹にダンスのレッスンをしてくれるって

 言ってくれたんです。團さんはすごくいい人です」


「そうよ、亮はすごくいい人。

世界中に彼を愛してくれる人がいるのよ」

直子は日本酒とつまみを持ってきた。

「三瓶さんはこれがいいでしょう?」

「ありがとうございます」

三瓶は直子が注いでくれてた日本酒を飲み干すと

三瓶は真剣な顔で直子の顔を見た。


「直子さんと團さんはどんな関係なんですか?」

「昔からの付き合いで隣の部屋は二人の研究室なの」

「研究室?」

「ええ、整体、マッサージの研究です」

「すごいですね。あの人・・・」

三瓶は亮がたくさんの事をしている事に驚いた。

「彼が忙しいから

 あまり会えないけど」

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