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対決

「ロビンさんに電話?」

一恵はいつも亮と電話をしている

ロビンを羨ましく思っていた

「はい」

「いよいよ戦闘モードね」

一恵は亮の腕に後ろから手を回して手を組んだ。


「はい」

亮は一恵を抱き上げてキスをした。

「もう~、恥ずかしい」

「一恵さんのモチベーションを上げる為です。

相手が怖い人たちですから

 金玉が縮み上がらないように」


「じゃあ、もう一度キスして縮み上がった

金玉が出てくるかもしれない」

目の前でキスを始めた亮と

一恵を呆れて見ていた森は

あきれて帰って行った。

「後はよろしくな」


~~~~~

美咲の席に下田と根本が息せき切ってやってきて

下田が美咲に報告をした。

「警視またICマネーが盗まれました」

「また」

「今日発見が遅れたのは被害が分散していたからです。

 把握しているのは八王子、立川、荻窪、

中野、錦糸町、亀戸、船橋です」


「そう、今度事件の発覚が遅れるように下り線で

やったのね。敵も中々頭が良いわ」

「下田さん被害総額を被害者のカードの入金と

乗降駅のデータ、書類にまとめてくださいこれで

事件の確証がつかめたわ。

警視庁と組んで捜査を始めるわ。ありがとう」

美咲はニッコリと笑った。

~~~~~

亮と一恵が緊張した面持ちで塩見達を

待っているとドアが2回ノックされ

三瓶が顔を出した。

「こんにちは、今先生が参りますので少々お待ち下さい」

三瓶と二人の男が入ってきて会議机の下や椅子の下を覗き

天井を眺めた。


「どうしてんですか?」

亮が怪訝そうな顔をして三瓶に聞くと

三瓶は笑いながら答えた。

「そんな事は無いと思いますが、

念の為に盗聴器や隠しカメラをチェックしろって

言われまして」


「そんな事無いわ」

一恵が慌てて否定すると亮は一恵を三瓶に紹介した。

「新村一恵です。よろしく」

一恵は愛想よく二人の男にも頭を下げた。

黒いタイトスカートのスーツを着た

美人の一恵は正に秘書の見本のような姿で

三瓶たち三人は手を止めて一恵に頭を下げた。


「あっ、どうも。今日はマギーさんは?」

「マギーは別な仕事をしています。

新村の方がこの仕事は得意なので」

「團さん、美人に囲まれていいですね」

三瓶が褒めると一恵は微笑んだ。


「何も無いな、入ってもらおう」

男が部屋から出て行った。


~~~~~

「やっぱり、調べに来たか」

亮の事務所でモニターを見ていた

森が呟いた。

「どうしてマイクやカメラ見つからなかったの?」

雪は不思議になって森と早苗に聞いた。


「こんなことだろうと思って

シール型マイクを壁紙に張った」

「カメラは?」

「みんな天井と目の高さのカメラを

探すからもっと低い位置のパイプと

一恵さんの胸のブローチ、そしてLEDライトの中だ」

「LEDライトの中?」


「LEDライトの5本の束の1つが

カメラになっている

 ライトだから誰も凝視しなから気づかれない」

「凄い、スパイの道具みたい」

「ああ、亮が考えた」

「亮は007の見すぎね」

雪は呆れて笑っていた。


~~~~~

会議室のドアが開くと宮部と塩見が入って来て

宮部が小さな箱をテーブルの上に置いた。

「すみません、盗聴されるといけないので妨害電波です。

 会議中はスマートフォンは使えません、よろしいですね」

三瓶は宮部からスマートフォン受け取ると外に出た。


「なるほどここじゃ電話が繋がりませんからね」

亮は自分の電話を取り出して電波状態を確認した。

「たまには電話が繋がらない方がゆっくりと

話しが出来るかもしれませんね」

亮のジョークは塩見に通じず塩見は憮然としていた。


「初めまして團亮と申します。こちらは秘書の新村です」

亮と一恵は塩見に深々と頭を下げた。

「うむ、塩見長正だ」

塩見は椅子から立つ事も無く無表情で名前を言った。

無愛想な塩見に亮は何から話していいかわからず

酸素繊維ボードを塩見に渡した。


「このボードは無色透明、硬度8、ダイヤモンドなら

VVSI カラーがEと言うところです」

亮が具体的にボードの説明をしても

塩見はボードと書類を見たまま

ボソッと言った。

「團君は宝石鑑定士だったね」


「はい、米国宝石学会の鑑定士を持っています」

「ほう、アメリカか・・・今度うちの宝石を値踏みしてもらいものだ」

「はい是非」

「君は東大薬学部からハーバード大学に留学して

 その時に鑑定士になったわけだ。帰国後、DUN製薬に入社。

たった2ヶ月で退社か辛抱が無いな」


「はい、良くお調べで・・・」

亮は皮肉交じりに塩見に言った。

「あはは、そんな事たわいも無い事だ。私の力らなら

 あんたの過去をいくらでも暴ける、

どんな女と付き合って何人ともやったかもな」

「仕事柄そうとうな調査能力を

持っていらっしゃるんでしょうね」


「ああ、会社の不備を指摘して業績を

上げてもらうのが我々の使命ですからね」

塩見は自分の仕事を正当化した。

「嘘ばっかり・・・」

一恵は心の中で呟いた。


「先生いかがでしょうか?F電機にその

ボードを使った商品開発をさせては?」

「実に面白い商品だ。誰が発明した?」

「僕です」

「薬学部のあんたがか?」


「ええ、人工ダイヤの開発の過程で出来上がりました」

「なるほどダイヤモンドを平たく

伸ばしたというわけか。それで特許は」

「出していません、製造方法は秘密にするつもりです」

「なるほど独占製造にするつもりか」

「はい」

亮はボードが戦争や武器に使われる事をとても

恐れて製造特許を出願しなかったのだった。


「まあいい。それでこの製品をF電機に売る理由は?」

「まず、この製品を作った商品でF電機に

赤字解消をしてもらいたい事

量産のラインを作る為には時間がかかるので

当面一社に絞りたいと思っています」


「おかしな奴だ、ワザワザF電機を

選ぶなんて何か恩義が有るのか?」

「いいえ、たまたま友人がF電機の

元社長を知っていたものですから」

「私なら現社長も良く知っているぞ、

それならワザワザ野田を社長に

必要が無いじゃないか」


「いいえ、野田さんは工学部出身の社長で

技術開発に力を入れていて

対韓国戦略を進めていました。

新製品が作られていたその矢先の解任でした」

「そんな物良く知っている、野田は社長としての

資質が無いから解任されたんだ」


塩見は野田が国からの金を資金運用会社

IIJに全額預けそれが回収不可能に

なっていた事を発表しようとしていた事を知っていた。

「このボードをF電機と野田さんに預けます。

先生どうかお力添えをお願いします」

亮はテーブルに手を着いて頭を下げた。


「それで我々のメリットは?」

「このボードを発表すればF電機の株価は

上がり大儲けが出来るはずです。

それで如何ですか?」

「馬鹿にするな!メリットと言っているんだ、

株価が上がったくらいで

何になる。我々は証券会社じゃないんだぞ」

塩見は机を叩いて大声をあげ亮を睨みつけた。

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