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黒幕

「しかし、すでに警備会社と契約している

顧客は取る事は難しいと思うんだが」

「そうですね、ですから新しいマーケットを

作るしかないと思います。まず住宅街を監視カメラと

連動する警備システムで取り囲んでしまうんです」


「どういう意味だ?」

「はい契約方法は、ある住宅街の入り口に

防犯カメラを取り付けエリア内に不審者が

入ってくると警戒レベルが1になり町内会の

あちこちのカメラはその人間を追跡します。


そして人の家の前に長時間立っていたり

何度も往復すると挙動不審者として

一挙に警戒レベルがアップします。

そうなると警備員が出動する事になります」


「ほほう、不審者の判断基準は?」

「まず、荷物です。もっているバッグには

ピッキングの工具類、ペンチ、バールなどが入っているので

重いはずです。その荷物の揺れ方

次に服装です。


最近スーツ姿の窃盗犯が増えたそうですが定番は

動き易い服装、逃走時に目撃者の証言と

変化するように脱ぎ易いジャンパー

顔隠し、頭部の特長が見られないように帽子、そしてマスクですね」


「なるほど防犯の町内か・・・面白いな。

それで不審者は誰が判別するんだ?」

「警察の防犯課の方に伝ってもらってAI化します」

「防犯カメラでプライバシーがなんちゃら言ってこないか?」


「だから、小さなエリアから始めるんです。

幸い目白の家の周りは高級住宅街ですから、

住民の防犯意識が高いのでモデルケースで

やってみませんか?」


「俺が住民を説得しろと言うのか?」

「はい、町内会長さん」

「分かったよ」

秀樹が面倒くさそうに返事をすると

亮はニコニコと笑って言った。


「もう1つ、個人防犯です」

「個人防犯?」

「弱者は犯罪被害者になりやすい。特に子供や

女性は引ったくり、レイプ、誘拐などいつも

身の危険にさらされています。


そこで自分に危機感の覚えある人は会員登録を

してそこでスマートフォンGPS登録をしてもらって

警備会社が常に見守って行くシステムです」

「なるほど、自分の子供の行き先が分かる訳か、

それは安心だし塾をサボって

遊んでいられないな」


「まあ、そうですね」

「そして貴重品などを運ぶ時は個人的に

ボディガードを雇えるようにすればいいし

お父さんが買い取ったタクシー会社に運転手兼

ボディガードのSPハイヤーを用意するんです。

大手企業は経費削減の為に自社車両から

ハイヤーに乗り換えていますから」


「お前はまったくいつもとんでもない事を考えているな」

「そこで警備会社の制服をとてもかっこ

良くします。誰もがあこがれるような」

「CAや女子高生の制服効果だな」

「はい、男性は警察官よりたくましく見え、

女性はセクシーに、運転手はトランスポータージェイソン・

ステイサムのように黒のスーツです」


「あはは。それは見ものだ、早速実行しよう。

制服のデザインは千沙子にしてもらって

部分的に炭素繊維を使えば隊員の安全が

護れて積極的に動ける」

秀樹も亮も海外の治安の悪さに気づいて

セキュリティの大事さを実感していた。


「では、直ぐに原警備局長に会って話を進めます」

「わかった。事業計画書を早急に書いてくれ」


「はい、それで今から例の炭素繊維ボードの

売買の打ち合わせに行って来ます」

「ほう、何処に決めた?」

「F電機です」

「ん?あそこでいいのか?」

秀樹は赤字のF電機と聞いて気になっていた。


「韓国に圧されて売り上げが落ち込んできた

日本の電機会社にがんばってもらおうと思っています」

「そうか、それはいい」

秀樹は日本の電気メーカーが韓国、中国メーカーの価格競争に負けて

ほとんどの日本メーカーがテレビ事業から撤退する事を憂いていた。


「ただ、今日は総会屋の塩見長正ですけどね」

「どうして総会屋なんだ?しかも塩見長正は大物総会屋だぞ」

秀樹は何故亮が陰のフィクサーと言われている塩見長正と会うのか

不思議だった。


亮はF電機の元社長の野田を担ぎ出し再び社長に復帰させ

国の融資金を企業年金運用会社IIJにすべて預けて

運用に失敗し、その黒幕を世にさらけ出す事を秀樹に話した。


「うん、その黒幕とは誰だ?」

「民政党幹事長岡村幹事長です」

「あいつか・・・なるほど。あいつならやりかねないな。

それで確固たる証拠があるのか。政治家は不利になると知らぬ存ぜぬ

で逃げ通すぞ、それに圧力を掛けてくる」


「分かっています」

亮は覚悟を決めて真剣な顔をしていた。

「覚悟があるならそれでいい、お前の頼みはいくらでも聞くぞ」

「ありがとうございます。事務所で映像と音声をモニタリングできます、

 時間が有れば見ていてください」

「わかった、お前の勇姿を見てみよう」


亮は父親秀樹に報告を終えると1階の売り場に向かった。

「あっ、亮」

売り場に立っていたマギー亮を見つけて亮のところへ来た。

「これ頼まれた物」

「ありがとう、調子はどう?」

亮はマギーから受け取った箱2つを受け取って

ポケットに入れた。


「たくさん売れたよ。それより一人で大丈夫?」

「うん、ホテルの会議室だから心配要らない」

「何か有ったら飛び込むからね」

「あはは、ありがとう」

亮はマギーに手を振って美宝堂を出て行った。


亮は学生時代亮が作った美宝堂の1日の個人販売記録を

マギーが破った事を知らなかった。


~~~~~

亮がルーセントホテル銀座の会議室に入ったのは

約束の時間の1時間前だった。

「ご苦労様です、森さん」

「ああ、こんなのはお手の物さ。

野田さんのガードは蓮華に引きついたから

 安心してくれ」


「ありがとうございます」

亮は電話を持って部屋の外に出た。

「ロビン、マッスルカーブのプロモーションありがとう」

「ああ、シンディに頼まれて彼女がみんなを集めて

1日で作って編集した。

大した仕事じゃない、うちのスタッフは素晴らしい」


「では本格的に映像制作に携わるんですね」

「うん、そのつもりだ」

「では、友人のタイムワークス社に一緒に営業に行きましょう」

「わかった、制作スタッフを集めて完全な組織にする」

「はい、待ち遠しいです」

「ああ、頑張ってくれ!」


「いや、今日は話し合いです。大物と」

「そうか、お仕事がんばってくれ!」

「がんばります」

亮は久々にロビンの声を聞いて

モチベーションが上がった。

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