亮の治療薬
「よくやったなマリエ、アハハ」
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「祐希、亮の事好き」
絵里子が真剣な顔をして祐希に言った。
「うん」
「どんな感じで?」
「私の初恋、一生傍にいたい」
絵里子は祐希を複雑な家庭で
育てた贖罪で何も言えなかった。
「祐希、あなた大変な人に恋をしたわね。
亮を超える男性はいないわよ。
ライバルが多いし」
「わかっているわよ、でも負けない」
「でも祐希は美人だしスタイルも良いし
英語も日本語堪能だし頭も良い申し分ないわ」
「うふふ」
母親に褒められて舞い上がっていた
「だた、亮の正体を知ったらあなたは
失望するかもしれない」
「何?」
「あなたの知っている亮の仕事以外に
裏の仕事をしているの」
「何?」
「悪い人を捕まえる仕事」
「えっ・・・」
〜〜〜〜〜〜
「マリエ、サンペレグリノ(イタリア製の炭酸水)を
3本買って来てくれないか?
お金は後で払う」
「ペリエじゃダメ?」
「カルシウムとカリウムの濃度が
高いからサンペレグリノの方がいい」
「分かった」
マリエは病室を出ていった。
すると直ぐにドアが開き掃除婦が入って来て
亮のベッド脇のゴミ箱に手をやった。
「パチン」
亮は掃除婦の尻を叩いた。
「キャー、何するのよ!」
体を起こした掃除婦は怒って
声を出さず亮を睨みつけた。
亮は口に人差し指に手を当てて車椅子を指差した。
「フン」
掃除婦は車椅子のシートの下の
マイクを見つけ枕の下に突っ込んだ。
「もういいわよ、亮」
亮は奥歯を2回噛んでマイクのスイッチを切った。
「久しぶり小妹」
ベッドで嬉しそうに笑う亮に小妹は思い切り抱きついた。
「看護師のマリエは5分で戻ってくる」
「OK、それで具合はどうなの?」
「まだ、腰から下が動かない」
「本当?しゃぶってあげようか?」
小妹は舌をベロベロと出した。
「バカ何言っているんだ」
亮は小妹の頭を軽く叩いた。
「ロビンに聞いたんだけど、FBIに監視されているんだって」
「入り口に人相の悪いのがいるだろう」
「うん、いたいた。でも亮はFBIにお友達いっぱいいるでしょう」
「まあね、でもここにいる連中はそれとは
違うみたいだ。それに別の誰かにも監視されている」
亮は自分の足が不自由に動けない事を悔しく思っていた。
「そうだね、その盗聴器はFBIが使っているものと違うわ」
「うん、その盗聴器は量産型のVHF帯の
139.950と139.970と140.000MHzの
物だから受信範囲はせいぜい1000m以内ちょうど
病院の外側の道路辺りにいるだろう」
「了解、直ぐに犯人を捜すわ」
「小妹、悪いけど絵里子さんをガードしてくれないか。
絵里子さんを人質に
僕を脅して20億ドルの在り処を聞きに来る可能性がある」
「うん、それは大丈夫。蓮華と桃華がもう付いているから
それとマギーは海辺から監視している」
「ありがとう、それでジェニファーに言って
ここにいるFBIは何をしているか調べてもらって欲しい」
「OK」
小妹はマイクを持って車椅子に戻し病室を出て行った。
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「お待たせ、ご希望の物を持ってきたわよ」
マリエはサンペレグリノを3本亮に見せた。
「ありがとうマリエ、もう1つ頼みたい事があります」
亮は枕の下から絵里子が持って来たローションを出した。
「何これ?」
「マッサージローションです。これを腰に塗ってくれませんか」
「ええ、良いですけど・・・」
マリエは亮をうつ伏せにしTシャツを捲りあげてローションを背中に
垂らすとその不気味な色に気味悪そうな顔をしていた。
「これは僕が作ったハーバルエキスです」
「そうか亮は薬剤師か・・・色は悪いけど香りは良いわ。効果があると
いいけど」
「このローションは植物エネルギーの作用で治癒能力を高めるんです」
「うふふ、明日になったら歩けるようになるかもしれないわね」
マリエはまったく亮の言う事を信じていなかった。
しかし、亮の体はそのローション効果で
腰が熱く反応し臀部の筋肉がピクピクと
反応してきた。
「あら、お邪魔だったかしら」
買い物を終えて帰ってきた絵里子と祐希と絢香が
病室のドアを開けて言った。
「絵里子さんちょうどよかった、オシッコしたかった。
マリエ、ありがとうもういいよ」
亮はうつ伏せでお尻を出したままマリエに礼を言った。
「あら、私でよかったのかしら?」
絵里子は亮のたくましいお尻を叩いた。
「パチン」
病室に響く音を立てると絵里子はベッドの脇にある
尿瓶を持って亮を横向きにさせ
亮の性○を握った。
「えっ!」
絵里子は小さな声を上げて亮の顔を見た。
それを見た祐希が口を塞いた
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亮にお金と下着と洋服を置いて病室を出た
絵里子と祐希はアラモアナショッピングセンターに着いて
真壁に電話を掛けた。
「お待たせしました。絵里子です」
「いや、今着いたところです」
絵里子が顔を上げると目の前に真壁が立っていた。
絵里子は祐希を昨日時差で寝てしまった姪として紹介をした。
こんにちは真壁です
黒崎祐希です。
祐希ちゃんは今ハーバード大学に
留学しているんです。
凄いですね
バーバード大学と聞いて真壁の態度が変わった
「昨日はありがとうございました」
絵里子は深々と頭を下げた。
「いやいや、スマートフォンを貸しただけでそんなに丁寧に
礼をされると恐縮してしまうよ」
真壁はとても機嫌がよかった。
「栗田さんは?」
「彼はちょっと用があってね、もう直ぐこっちへ来ます。
さあ、お昼ご飯を食べましょう」
真壁はそう言って絵里子と祐希の方を叩いた
絵里子と祐希は真壁は3階のロンギーズに入った。
そこはオープンエアでアラモアナ・ビーチ・パークの観える
素敵なレストランだった。