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ドライアイス計画のプレゼン

「ありがとうございます」

挨拶が終わると亮は栗田の耳元で囁いた。

「栗田さんこんなに大げさにしなくても良かったんですけど」

「それがたまたま頭取の耳に入ってしまって・・・

アメリカのドライアイスプロジェクトのメンバーに入っている

團さんに是非会って見たいという事になってしまって」


「そうですか、いきなり大事になってしまいそうですね。

プロジェクターお借りできますか?」

亮は天井を見てプレゼン用のプロジェクターの装置を

見つけてまとめてプレゼンする事に決めた。


「分かりました、直ぐに用意します」

栗田は部下に命じプロジェクターの用意をさせると

亮はそれぞれの紹介を終えると灯りを消し

以前ワシントンでプレゼンした内容で、

以降の状況は秘密保持計画の観点から

話す事は出来なかった。


その内容は空気中の二酸化炭素を

ドライアイスにして北極圏の地下深くに

埋没させ地球温暖化を防ぐ話だか、

実際の計画では単に渓谷をドライアイスで

埋めるだけではなく、蓋を付けて温度調節が

できるようになっており、人類念願の

気象コントロールが計画されていた。


亮の分かり易いプレゼンを聞いていた

四菱工業の伊藤朝雄と頭取の平田満男は

思わぬビジネスチャンスの興奮で手に汗を握っていた。


「團さん、ぜひ我々もプロジェクトに参加さてください」

伊藤は亮に体を近づけて話しをしたが

アイザックの実績を知らない平田は浮かぬ顔だった。

「團さん、彼の会社の実績はどれくらいありますか?」


「そうですね、石油と天然ガス、木材を日本に輸出しています。

 輸入元に聞いてみましょうか?」

亮は内村に電話を掛けた。

「もしもし、團です」

「おお、亮。どうした?」

「今日、アイザックが日本に来たんですけど

 御社の石油と天然ガスの実績はどれくらいですか?」


「ん?どうした?」

「今、アイザックの件で四菱銀行の

平田頭取と話しをしているんです」

「なんだ、もう敵さんの懐に入り込んだか」

「ええ、まあ」


「分かった、電話を代わってくれ」

「しかし、お前さんみんなが欲しくて躍起になって探している

物を意図も簡単に手に入れるな」

「そうですか。では代わります」


亮がスマートフォンを平田に預けると

平田は電話の向こうの内村に頭を下げ

しばらく話しをしてスマートフォンを亮に返した。

「團さん、内村さんとお知り合いだったんですか?」

「はい、偶然に偶然が重なって

親しくさせていただいております」


「もちろんです。当行も五島さんのように

年間数兆円のお金を動かす大きな商社は

L/C(貿易取引の銀行が発行する信用状)の関係で

世界中の銀行と取引しています。当行も

その一つです」

「そうですね」

以前、文明が世界中の銀行と取引していると

いっていた事を思い出した。


「團さんは五島さんとどのようなお付き合いを・・・」

「まず、私ルートでワシントンの記者会見と

プロジェクト発足レセプションに招待しました。

それからスチュアートエネルギー省長官主催の

パーティにも紹介しました」

「えっ?」


スチュアートエネルギー省長官と亮が

面識があるとは平野は驚きの声を上げた。

五島商事の内村がそこまでワシントンに

深くかかわっているとは思わなかった。

今回のプロジェクトで得る五島商事の

利益は計り知れないと感じ

四菱商事は五島商事に一歩も二歩も

遅れていた。


平野と内村が話していた内容は

四菱工業の商品を五島商事が扱いたいと

いう旨の話だった。

「という事はスチュアートエネルギー省長官を

 五島さんに紹介したのは、團さんなんですか?」

「はい、ラルフ・スチュアートは上院議員の時から

 知っていましたので」

「素晴らしい!ぜひご紹介を」


「はい、良いですけど、ラルフだけでいいんですか?」

「他にいらっしゃるんですか?」

「環境保護庁長官のマリアン・フォードさんとか」

「えっ、知っているんですか?」

「ドライアイスプロジェクトは彼女の担当なので」

「それは素晴らしい」

そこに衛星電話が掛かって来た。


「あっ、クリス」

「体調はどうだ?」

「良好です。今残務整理で奔走しています」

「例の電磁パルス砲、レールガンの目途が

 付いたよ。今夜メールを開いてくれ」

「了解です」

「すみません、こちらに電話が有ったものですから」

「それって・・・」


栗田は亮が持っていた衛星電話には白頭鷲の国章が付いて

いた事に気が付いていた。

「これですか?国際電話料金が高いと言ったら

 ホワイトハウスが貸してくれました。

アメリカは太っ腹ですね。あはは」

全員が顔を見合わせた。

「いやいやすごいです」

「ただ、これを持っている時は僕の行動は

監視されているようです」


亮達は次回の会議の日時を決めて

解散し会社に戻って屋上で玲奈と昼食を取った。

「玲奈さん、留守の間会社を護っていただいて

ありがとうございました」

「とんでもありません。お役に立てて光栄です」

「ところでお父さんの会社の方は?」


「パターンにも慣れて商品のオーダーが

どんどん来ています。それから妹の里美も

ライブをYouTubeで流して、登録者が1万を

越したそうです。少しでも多くの子供たちが

クラッシクを好きになると良いですね」


「はい、演奏希望者が増えていてオーディションを

 しています」

「良かった・・・頑張りましょう」


「ありがとうございます。ただ一恵さんが

マッスルカーブの方の業績が落ち込んでいるので

悩んでいます」

「分かりました、今夜から市ヶ谷の方へ行きますので

 また今夜打ち合わせをしましょう」


「はい、それとロシアの皆さんはどうなるんですか?」

「ピョートルとアントンは近くにマンションを探します。

アイザックのボディガードが有るのでホテル泊まりです。

目白の実家に申し訳ないですから」


「そうですね」

玲奈はそう言いながら二人の男性が居るところで

はリラックスできないのでホッとした。

「蓮華と桃華は母が可愛がっているのでもう少し

 居てもらいましょう」


「市ヶ谷の車庫に亮さんの欲しがっていた。バイクが

 三台有りますので蓮華さんと桃華さんに

使ってもらったら如何ですか?CBR-RRと隼とNinjaです」

「とりあえず、三台乗って見ます」

亮はニコニコ微笑みながら

悩んでいた。


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