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「はい」

マギーは亮と腕を組んで表に出た。


亮とマギーが秋田駅の方向に歩いていくと

後ろから人の足音が聞こえてきた。

「おい、おい」

後ろからドスの利いた声が聞こえた。


亮とマギーが無視して歩くと

マギーの前に二人の男が立ちはだかり

マギー体を舐めるように眺めた。

「姉ちゃん、良い体しているな」

「ええ、そうよ。ありがとう」

マギーが自分の手で胸を撫でてそれを突き出した。


「うっ」

男達は怖がると思ったマギーの

意外な反応に言葉が出なかった。

「そんなに間接的な方法を取らないで

 用件をはっきりしてください。目的は彼女じゃないでしょう」


「・・・ちょっと面をかせや!」

男は亮の目を睨みつけた。

「おお、ガン付られた」

亮は怖い男達に睨みつけられたのは初めてで

感動した。


「なるほど怖いです・・・」

亮の馬鹿にしたような言い方に男は怒って

亮の胸座を掴んだ。

「なんだこの野郎」

男は亮の胸座を掴もうとすると右に避けて

男の手を叩き落とした。

頭に来た男が亮に殴りかかると

すべて空振りだった。


ボクサーが素人に手を出すと

罪が重くなると言われているが

ボクサーこそ素人に一発も手を出さず

避けるだけで勝つことが出来るスポーツである。


亮を捕らえる事が出来ずに相手はイライラを増し

逆に恐怖心すら持って来た。


仲間の男はマギーの首元にナイフを当てた。

「これ以上歯向かうとこの女の命は無いぞ!」

「止めろ!殺すな」

亮は男ではなくマギーに向かって言った。

「はっ、はっ。じゃあ、大人しくしろ」

亮を捕まえようとした男が呼吸を荒くしていた。


亮がマギーの方を見るとマギーは

歯軋りをして握りこぶしを握っていた。

「しかし、姉ちゃんいい尻しているなあ」

男は亮に諌められて大人しくしているマギーをいい事に

マギーの尻を撫で回した。


「うふふ。あなたお尻の撫で方上手ね」

「こいつ好き者か。あはは」

男は金髪美女のマギーに迫られ上機嫌だった。

「まずい、まずいぞ。マギーのその顔」

マギーが男に迫る時は相手を殺る時で

それを知っている亮は身震いした。


「どうした、彼女が男好きで手に負えないんだろう。

 後で俺達がご馳走になるさ」

亮がまずいと言ったことを聞いていた男が

亮の背中にナイフを当てた。

「さて何処に行きますか?」

「時間は取らせない大人しく白状すればな」


~~~~~

国城正章のアパートの前で張っていた

下田と根本は国城が帰って来ない事に

嫌な予感を感じていた


「帰ってこないな、国城」

車の中の下田がため息をついた。

「ええ、樫村さんの話じゃ学校も休んでいると言うし。

礼儀正しくゴミも仕分けて出すらしい

真面目な学生にらしい。

我々は気づかれたんでしょうか?」


「いいや、やつは何もしていないかもしれない。

電車の中でバッグを

持っていたからと言って、顔付がおかしいからと

言って犯人に決め付けるのは

強引過ぎる」

下田は首を横に振って答えた。


「なるほど・・・」

「やはり素人刑事さんの目撃情報や推理じゃ確証がないな」

下田は亮の思い込みを信用していなかった。


「ええ、あの人の思い込みで証拠も無しに

任意で抑えることも出来ませんからね」

根本も現場で汗を流している刑事の辛さを知らない

亮を尊敬は出来なかった。


亮は今まで色々な人に愛され信じられて支えられてきた

しかし、色々な経験を積むうちに必ず嫉妬心を持つ者

現れ、それが大きな障害なっていく事を亮は知らなかった。


そして、国城は夜が明けても帰ってくることは

なかった。


~~~~~

亮達が連れてこられたのは薄暗い米倉庫だった。

「あんた達、行動がおかしいんだよ。あの夫婦を何処へ逃がした?」

「あんた達って・・・僕の名前は團亮と申します。こちらはマギーです」

亮が丁寧に言うと四人の男の一人が自分の名前を言おうとした。


「俺の名前は三瓶です」

「ばか、何やっているんだ」

リーダー各の大柄の男が三瓶の頭を叩いた。

「でも向こうは自分の名前を言ったものですから」

「さあ、言ってもらおう。夫妻を何処に逃がした」

「・・・」


大柄の男が聞いても亮もマギーも知らん振りしていると

三瓶が聞きなおした。

「すみません、夫婦を何処に逃がしたんですか?團さん」

「はい、レンタカーを借りて東京に行かせました」

「團さんと夫妻のはどう言う関係ですか?」


「僕は夫妻とは初対面でしていた。男の知人です」

「それで何の話をした!・・・團さん」

リーダー格の男が亮に聞いた。

「元F電機の社長と聞いたのでビジネスの話を」

亮は男達にビジネスの話しをして黒幕にどれほど近いか確認した。

「どんなビジネスだ?」

リーダー格の男が亮の話しに興味を示した。


「これです」

亮はカバンから野田に見せた透明の板を見せた。

「亮、それは・・・」

マギーは敵と思われる男に野田の

社長復帰の切り札を見せた事に驚いていた。


「ガラスの板か?」

リーダー格の男が板をコンコンと叩いた

「いいえ、ピストルありますか?」

「そんな物騒な持っちゃいない」

亮はその男の返事で相手の持っている武器を確認した。


「じゃあ、さっきのナイフでこの板を傷付けてください」

亮は先ほどナイフをマギーの首に押しつけていた男の方に向けた。

「よし!」

男はナイフを取り出すとその板にナイフを立てて引くと

まるで氷の上のように滑った。

「おお、滑る滑る」

リーダー格の男はその現象に目を見張り

自分でナイフを持ってそれを切りに行った。


「これは凄い!」

「はい、ガラスより硬くて軽く、電気伝導率が60×106S/mですので

 薄型テレビの画面、タブレット等など使い道はたくさんあります。

 僕の試算では初年度300億円以上の販売数が望めます」


「それを野田さんに売ってもらうつもりなのか?

 売り先はいくらでもあるだろう、紹介してやるぞ」

男は亮の儲かりそうな話しに顔を近づけた。

「考えておきます。それで我々はどうすればいいでしょうか?」

亮はリーダー格の男に言うと男は返事に困っていた。

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