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「了解、いまパパさんとピョートル達

がいるけど一緒に行っていい?」

「父が?」

「うん、キャバクラの帰り」

「電話を代わってくれますか?」


「おお、亮。ラブポーションに行ってきたぞ。

女の子が何やら相談があるといって、

 たまに行ってやれよ。最も私の方が

彼女達は良いといっているがな」


「すみません明日行きます。お父さん、

早速ですが蓮華たちを千束2丁目のF電機の

元社長野田さんの自宅に送ってくれませんか」

「ああ、分かった。直ぐに向かう」

「すみません、車は五人乗れますか?」

亮はピョートルはアントンの大きな体が乗れるか心配だった。


「問題ない、今日はデカイので来た、

しかも炭素繊維防弾ガラス付きだ」

「了解です、気をつけて」

「ああそうだ、佐藤さんによろしくな」

亮は電話を切ると野田と森とマギーに話した。


「野田さん家には蓮華たちに行ってもらいました。万が一

 泥棒が入っているようでしたら警察に連絡をしてもらいます」

「泥棒ですか?」

野田が恐る恐る亮に聞いた。


「はい、最悪家がめちゃくちゃになっている可能性があります」

「怖い!」

美智子が野田に抱きついた。


「亮さん、悪そうな奴らが見張っているので

 裏口から帰ってください」

町子が亮の耳元で囁いた。

「えっ?」

亮は町子にいきなり言われて町子の顔を見た。

「さあ、早く」


「ありがとうございます」

亮が礼を言うと町子は車のキーを亮に渡した。

「これで行ってください」

「はい、女将さんどうして僕の事を?」

「北川沙織の姉です、さあ早く」

「沙織さんの?」

「はい、あなたのお陰で沙織は救われたんですそして

私はあなたのファンだったんです」

亮達は裏口から表に出ると車が止まっていた。


「この車・・・軽?」

森が唖然としていると亮が後ろから押した。

「さあ、五人乗れますよ、乗って」

軽自動車に五人が乗ると亮は車を走り出させた。


「しまった!」

亮は突然ハンドルを叩いた。

「どうしたの亮?」

マギーは驚いて亮に聞いた。

「比内地鶏の皮・・・食べなかった・・・」

「亮、何言っているの!」

マギーは亮の頭をコツいた。


「すみません、こいつ皮が好きなんです」

森が野田夫妻に頭を下げた。

「あら、うちの信一郎も好きなんですよ。鮭の皮」

美智子が嬉しそうに笑った。


「わあ、追って来た」

亮はルームミラーで猛追してくる車を見た。

「どうする、軽に五人じゃ逃げ切れないわよ」

「分かっている」

亮は家と家の狭い路地に入った。


「おいおい、道が分かるのかよ」

「一応この辺りはさっき通りましたから」

亮は森に答えるとマギーは女子高生発掘の

散策が役に立った事が

おかしくてしょうがなかった。

「この道だ!」


亮が通り抜けたのは軽自動車ギリギリの道だった。

「やった、ついて来れないぞ」

森が振り返って後ろを見た。

「秋田美人のお陰で助かった!」

亮が声を上げると野田夫妻は秋田美人

とは町子の事だと思って拍手をした。


「森さんはレンタカーを借りてお二人を

安全な所に連れて行ってください」

「ど、何処がいい」

「花巻温泉がいいんじゃないですか。

ここから高速で2時間足らずだし

 道に迷わないで済みます。

それに飛行場が近いので朝一で東京に向かってください」


「わかった、そうする」

森が亮に返事をすると野田夫妻はうなずいた。


森と野田夫妻がレンタカーを借りて車に乗ると

美智子が窓を開けて心配そうな顔をした。

「團さん、大丈夫なの?」

「はい、僕達はちょっとまだ用がありますので。また東京で」

亮は手を振って野田夫妻を見送った。


~~~~~

「團さんは残って何をするつもりなんでしょう」

車の中で野田が森に聞いた。

「はい、おそらく残した鶏の皮を食べに

行ったんじゃないでしょうか」

「ま、まさか・・・」


「冗談はさておき、彼は逃げるのが嫌いな男で

 我々を追っている人間の所に話に行ったんですよ」

「だ、大丈夫なんですか?」

「俺の知る限りでは爆弾が爆発しても死にません」


~~~~~

亮は車を返しに秋田古町に戻った。

「女将さん、車ありがとうございました」

亮はキーを町子に渡すと町子は怖い顔で首を横に振った。

「ダメよ、戻ってきちゃ。奴らはあなたも追っているのよ」

「でも車を返さなくちゃ、それよりさっき食べ損ねた」


「しょうがないわね。今作るわ。鮭の皮も」

「ありがとうございます」

亮が頭を下げると町子は板場に入って行った。


「亮、こんな所でのんびりしていて良いの?」

「はい、敵の目を引いて森さんたちを逃がすためです。

 野田夫妻を見失った後は接触した僕達から行き先を聞くか

 東京の仲間に連絡をして野田さんの自宅を張るはずです」


「なるほど・・・亮ってそこまで計算していたのね」

マギーは亮が戻った理由が今分かった。

「食べ終わったらここに迷惑をかけるといけないから

 逃げますよ」

「了解、ところで、さっき女将が言っていた沙織さんて誰?」


「北川沙織さん、築地病院の先生だよ」

「ああ、あの時の女医さん。付き合っていたの?」

「ただの高校時代の友達」

「そうだね、子持ちの亮には誰も興味を持たないか・・・」

「やっぱりそうか、道理で最近エッチをする

タイミングがずれている訳だ」

亮は頭を落とした。


「私ならいつでもOKだよ」

「妹に手を出せるか!」

亮はそっぽを向くとマギーの目から大粒の涙がこぼれた。

「私、戸籍なんて無くてもいいから亮に抱かれたい・・・」

マギーが亮の肩に頭をもたれかけると

亮のスマートフォンに蓮華から電話がかかってきた。


~~~~~

「亮、野田邸の周りは異常なし」

「そろそろ、何か有りそうなので

気づかれないように監視してください」

「気づかれないって言ったって、

パパさんの車の中じゃきついし・・・」

「外がダメなら中で待てばいいじゃないですか。

家主には僕の方から承諾を得ておきます」


亮はピッキングなど朝飯前の暗鬼の能力を知っていた。

「了解、そう言うと思っていた」

「そうだ、ピョートル達に靴を脱いで家に

上がるように伝えてください」

「はい、そう言っておきます」

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