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秋田

「はい、分かっています」

親しく囁きあっている亮と美咲を見て

巌は微笑ましく思った。


「そうだ、亮くん。美咲から聞いているだろうが

内閣情報調査室が

 君に協力を依頼してきたんだが」

「はい、僕はスパイのような真似は嫌なのですが」

亮は巌の話しに首を横に振った。


「それが担当官が熱心に君と会いたがっている、

それにスパイでは無くて

 テロリストに関わる話しだそうだ」

「テロリストですか?」

亮はテロと聞いてジャック・モーガンを思い浮かべていた。


「それも情報の出所はCIAらしい」

「CIA、本当にスパイですね。考えておきます」

亮は笑いながら今まで接触した事の無い

CIAの名前が出た事が

おかしかった。


「法務省は入国管理局を管轄しているので

 我々警察組織と違った外国人の犯罪者の入国状況を

 把握している、その情報が内閣情報調査室に流れている。

 現在の警察は犯罪を予防する使命を持っているが

 外国人犯罪に弱い」


「そうですね、日本が海外に犯罪天国と揶揄されても仕方がありませんね、

 企業がグローバル化されても警察はグローバル化されていません」

「そう、私がインターポールに出向したかったのは、そういう理由だったのよ」

巌と亮と美咲は国際犯罪から日本を護る考えが一致していた。


「局長、ぜひそこの改善をお願いします」

亮は頭を下げた。

「うん、私も警備局局長の立場か最大の努力をするつもりだ」

巌が手を出すと同じ思いの亮と美咲は手を伸ばし

三人で握手をした。


そこに美咲の元に渋谷署から連絡が入った。


渋谷署に逮捕された立花と千葉は

聖子達が提出した証拠のガソリンが入った

マグと監視カメラの映像を元に尋問を受けていたが

誰に命令されたか吐かなかった。


「亮、犯人は捕まったけどジムの評判が落ちたんじゃないかしら」

「ええ、かなり落ちたと思います。

また車内広告とチラシで地道に会員を集めるしかありませんね」

「ビジネスの事は良く分からないけど、私はできるだけ友達を紹介するわ」

「ありがとうございます。僕も出来るだけがんばって見ます」


「さあ、飛行機に遅れるわ。後は任せて行ってらっしゃい」

美咲は失意の亮の肩をやさしく叩いた。        

「ああ、またプレゼント買っていない」

亮は美咲に心から申し訳ないと思っていた。


~~~~~          

亮が羽田空港に着くとマギーがトランクを持って待っていた。

「マギー一泊でそのトランク大きくないか?」

「機内持ち込みサイズの55×45×25、中には

亮の頼まれた荷物とパンツと靴下とワイシャツと

私の下着とネグリジェが入っているわ」

マギーは亮と手を組んで甘えた。


「はいはい、ご苦労様」

「そうそう、パパさんから伝言で秋田の中通りの

秋田古町という店に行けって

 女将が亮の事、昔から知っていているんだって」

「ああ、そうですか」

女将が亮の事を知っていると聞いて秀樹と女将の関係を怪しんだ。


16時30分に秋田空港に着いた亮は

タクシーで市内に向かった。


~~~~~

2時間前に秋田に到着した森は

野田元社長と乳頭温泉郷で会っていた。


乳頭温泉郷は日本で最も深い

辰子像で有名な田沢湖近くにあり

江戸時代から続く湯治場で

雪子の中の露天風呂の風景はあまりにも有名である。

イ・ビョンホン主演韓国ドラマ


「アイリス」のロケ地でも有名で

本来の温泉の目的を適えており趣のある風情の温泉地である。


「良くここが分かりましたね」

乳頭温泉、鶴の湯のロビーに浴衣姿の野田がやってきた。

「せっかくの休養中に押し掛けて申し訳ありません」

「いやいや、ここに来てもう1週間そろそろ人恋しくなってきたところです」


「電話で話しをしましたが、ぜひ我々の相棒とあって欲しいんです」

「会ってF電機の話をしろと言う訳ですか?」

野田は訴訟を起こしたとは言え数十年世話になった会社の

暴露話をするつもりは無く顔が厳しくなっていた。


「それは・・・」

森の声が詰まった。

「そのあなたの相棒とはどんな方ですか?」

「若いです。若いのに人間が出来ていて

 人に優しく、信念はしっかりしていて

 とてもいい奴です」

森は訳の分からない話に野田は笑っていた。


「若くて人間が出来ていてしっかりしていて

 いい奴ですか・・・」

「今のは個人的見解で彼の名前は團亮・・・」

森は糖尿病薬発売、ファッションショー、ドライアイスプロジェクト、

バイオ燃料など今までやってきた亮のビジネスを説明した。


「知っています、知っています。アメリカでのプロジェクトは衝撃的で

私も注目していました。そのメンバーに團さんがいたなんて・・・」

「メンバーどころか彼は中心人物です。ドライアイスプロジェクトは委員会の

 メンバーにも入っているんですよ、それに大統領と友達らしいし」

「大統領と?!」

野田は驚いて目を見開き森の顔を見た。

「い、いいえ」

「そうですか。面白い人物ですね会ってみましょう」

「そうですか、良かった」


「ところで妻が私の解任以来気を病みまして

 ここに一人で置いておくのはまずいので

ご一緒してよろしいでしょうか?」

「もちろんで、最初からそのつもりで」

「ありがとうございます」

野田は森に頭を下げた。


~~~~~

「亮、秋田ってどんな所?」

マギーは何でも知っている亮の答えを

楽しみに待った。

「米の生産が北海道、新潟に次いで全国3位、

日本酒の生産が兵庫、京都、新潟、愛知に次いで

5位、当然お酒もたくさん飲む為に脳血管疾患、

がん、成人病の死亡率が高く、自殺も多い」


「それって病気の話しでしょう」

「専門が薬剤師だから仕方ない」

「どこか楽しいところ無いの?」

「秋田県の日照時間は日本一短いために

 色白の美人の女性が多いらしい、雪子から出るイオンに美白作用が

 有るといわれている」


「困ったわ、いくら美人でもお土産に持って帰れないわ。

 亮が女の子とエッチするわけにもいかないし・・・」

マギーは亮に向かって笑って答えた。

「なるほど、お土産か・・・持って行くか」

「えっ!」

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