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放火計画

亮が冷静に答えると美咲は常にお金に関する事件に敏感

亮がおかしかった。

「ところで、小型のスキャナーってあるんですか?」

「ええ、もちろん。作れます」


世界最高峰の工業大学、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)

にロビンをはじめたくさんの友人がいた亮にとって

様々な技術情報を耳にしていた。

「す、凄い。それで我々は何をすれば良いですか?」

根本は何故自分達がここに呼ばれとてつもない事件を

捜査する事に興奮した。


「はい、池袋から乗車してきたという事は埼京線、西武池袋線、東武東上線

 丸の内線、有楽町線、副都心線沿線に住んでいる可能性があります」

亮は自分の分析を言い始めた。

「なるほど、しかし捜査範囲が広いですね」

樫村は池袋近辺の地図を広げ各路線を指差した。


「それでは相当な捜査官を投入しなければなりませんね」

下田はあまりの捜査範囲の広さに

7人では足らないと思っていた。

「ごめんなさい下田さん、まだ、事件性が証明出来ないので

捜査はこの7人でやるわ」

美咲が言うと亮は自分の顔を指差した。


「僕も入るんですか?」

「もちろんよ」

美咲は亮の太股をつまんだ。

「分かりました。昨日原警視に説明しましたが身長173cm

ニューバランスの白の靴のかかとの高さを引くと170cmくらい、

年齢20歳前後、色黒、体毛も濃い、顔、眉の太さ。

身体的特徴からだと沖縄出身の可能性が高いですね。

男の様子はいかにも罪を犯しているという

罪悪感でうつむき加減で目の動きが激しかった」


「えっ?」

下田が余りにも詳しい情報に首を傾げた。

「そして、声の分析では声が高く、咽喉が開いていないので

精神的に不安を感じていて上京して間もないか、

誰かに命令されて動いている可能性があります」

「その動きは犯罪者の顕著な特徴です」

亮の話しに樫村が答えた。


「團さん、この男のスタイルでは所得が

 多いとは言えません。おそらく学生ではないでしょうか?」

和子が男の服装を見て言った。

「学生なら家賃の安い西武池袋線か東武東上線が多いですね、

 駅前には安い商店街もたくさんあるし」

実際に東武東上線沿いに住んでいる根本が答えた。


「團さん、スキャナーを扱えるとなると工業大学系の学生でしょうか?」

「ええ、電子機器に詳しい可能性がありますね。そうなると

池袋から行くとなると本郷、後楽園、御茶ノ水、飯田橋に

大学の工学部が5つあります」

下田が大人しく亮に聞くと

亮はテーブルの上の地図を指差した。


「なるほど、丸の内線と有楽町線か・・・。考えてみると池袋って便利だな」

下田が腕を組んで地図を見て感心していた。

「本郷は私たちの母校だから関係ないわね」

「そうですね、2年生までは駒場ですから」

「そうなんですか」

美咲と亮の話を聞いて二流大学卒の根本は

心の奥で劣等感を感じていた。


「さて、かなり対象者が絞られてきましたね。警視」

樫村が美咲に向かって笑った。

「早速ですが。東京R大学とC大学、

H大学、M大学の学籍簿を確認しましょう」

「個人情報なので、裁判所を通して

取り寄せるのに時間がかかると思うけど」


美咲は亮の頼みに否定的だったが、亮はこのままでは被害者が

どんどん増えるだけだと思って心配をした。

「そうですね」

「團さん、本当に沖縄出身者に絞り込んで良いんでしょうか?」


下田は捜査の現場に立った事のない亮に不安な顔つきで聞いた。

「ええ、でも1つ思い当たる節があるんです、

男はシュガーケーンユニオンスターの沖縄限定

 バージョンのジーンズをはいていた様な気がするんです」

亮は自分の持って来たノートパソコンを開きアクセスした。


「何それ?」

美咲が首を傾げた。

「やっぱりそうだ、しかも下の糸の色が出ているので

 レインボーモデル。かなりのビンテージ物です」

亮は自分の予想が当たってニヤニヤと笑った。

それがここにいる誰もが理解できない事だった。


「沖縄県出身者に絞り込みましょう」

亮はそう言ってアクセスを始めた。

「何を始めたんだ?」

そう言った下田は亮のやっている事がまったく理解できなかった。


~~~~~

マッスルカーブに入った立花と千葉ロッカールームで着替え始めると

その横でピョートルとアントンは様子を覗く込むように

両脇で着替えていた。


立花と千葉は何食わぬ顔をしてドリンクを持って

ロッカールームを出た。


「あのマグ、昨日は持っていなかったわ。昨日はスポーツ飲料だったのに」

管理カメラで観ていた蓮華がブルーのスチール製のマグを観て呟いた。

「同じものがここで売っているわ」

聖子が色を確認して倉庫から持って来た。

「摩り替えて確認しよう」

桃華がマグに水を入れた。


立花と千葉はマグを持ったまま

マシンの周り歩きジム内の様子を

伺っているように見えた。


「どうする、まだ人が少ないぞ」

「ああ、もう少し女性が増えた方がパニックになって

 逃げやすい」

千葉の問いに立花が答えた。

「了解」

立花はマグを床に置いてチェストプレスを始めた。


「ここに毎日通っていたらパワーが付いたような気がする」

「あはは、それはいい」

立花と千葉が話しをしている時

その脇を蓮華が通った。

「おはようございます」

蓮華が挨拶をしたその瞬間バスタオルに2つのマグを隠していた

桃華が後ろから来て一瞬でそれを摩り替えた。


ボーイッシュな美人の蓮華に声をかけられた

立花と千葉は蓮華に目が行っていた。

「昨日、凄かったね」

思わず立花は昨夜亮たちが行なった

デモンストレーションの感動を口にした。

「おはようございます」

マグをすり替え終えた桃華が

続いて二人に話しかけた。


「後で中国拳法をレッスンをします。やりませんか?」

「おお、いいねえ」

喧嘩が強いほど出世するヤクザ世界の立花と千葉は

ジャッキー・チェンやジェット・リーのように

強い男に憧れていた。


「千葉、レッスンを受けてから行くか」

「はい、そうすっね」

二人は任務を忘れて向き合ってうなずいた。


~~~~~

事務所に立花達から持って来たマグを持ってきて

蓮華がそれを開けると揮発性のある臭いが

そこからした。

「これってガソリン?」

聖子はガソリンがジムにばら撒かれ

それに火をつけられた事を想像すると

血の気が引いた。


「亮に連絡をしなきゃ」

蓮華はマグの蓋を閉めると亮に電話を掛けた。

~~~~~

「亮、立花と千葉が持って来たマグの中にガソリンが入っていた」

「火を点けて営業を妨害するつもりだったんだ」

「どうすればいい?」

「奴らはマグがなくなった事に気づいていないんですか?」

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