表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/196

野田の行方

「しかし、機内で敵と戦ったヒーローのお陰で

 日本経済がめちゃくちゃにならなくて済んだんだよ。

 あのヒーローはどこの何者だったんだろう?

 もちろん、君はどんな人か知っているよね」


「もちろん知っていますが、箝口令が引かれていますので」

亮が知っていると言ったので

ホステスを含め全員が亮に注目した。

「そうか、若い東洋人だったという噂だ。

まさか君じゃないだろうね」

横山は疑ったような言い方をした。


「あはは、そんな訳有りませんよ。彼は機内で

であっという間に

 敵を倒したので、相当な戦闘訓練を受けているはずです。

中国人ではないでしょうか」


「中国人か・・・ママ1階に外にデカイ外人が

 いるから出入りに注意をした方がいいぞ」

「チッ」

亮はそれを聞いて直ぐに外へ飛び出した。


「ピョートル、アントン。そこにいては営業の邪魔です。

 帰っていいですよ」

亮が二人を手で追っ払った。

「だが、ここじゃないと亮をガードできないだろう」


「分かりました、お店の方に来て下さい」

亮は二人を放って置くわけには行かず

二人を蝶に入れるとカウンターに座らせた。


「食事は?」

「まだだ?」

「何かを作ってもらいますから、大人しくしていてください。

 タイ料理はダメです」

「分かった」

亮は絵里子に二人に何かを食べさせてくれるように頼んだ。


「ママ、お酒は出さないで下さい。はっきり言って

 ザルです」

「うふふ、分かったわ」


「何かあったのか?」

亮は席に戻ると内村が亮に聞いた。

「はい、まあちょっと」

亮はピョートルとアントンが自分を

ガードしてくれるのはありがたいが

大きすぎて目立つのに手を焼いていていた。


「亮、今頭取と話をしていたんだが、

F電機の今期の780億円の赤字を

 穴埋めをしなくてならないらしく、

工場跡地の売却は間違いなさそうだ」

「我々は亮君の方へ土地を売るように

命令は出来ないが、紹介は出来るぞ」

内村と横山はニコニコと笑っていた。


「頭取」

亮は横山の耳元で5億ドルの

資金運用をする事を伝えた。

「凄い資金だ」

「はい、ドライアスプロジェクトの

関連事業用に集めました」

「プラネット証券は

上手くいっているようだね」


「はい、順調です。頭取F電機は

損失隠しの噂があるんですが」

「やはり知っていたか。F電機は世界的な

メモリーの価格競争で韓国、中国に負けて

何百億円もの損失を被っている」

「岡村幹事長はどのように絡んでいるんですか?」

亮はF電機と岡村幹事長の関係が分からなかった。


「メモリー関連事業は国策関わる事業なので、

3年前に国の支援を受けていた

 その時与党だった民政党の岡村幹事長はその時経産相だったんだよ」

「なるほど、その時に何かきな臭い関係に」

亮はその時に岡村幹事長はF電機から

お金を受け取っていると疑っていた。


「おそらくな。F電機は国の支援を受ける為に

何かの取引をしたんだろう」

「まったく金が必要な政治家は手に負えん」

内村が手を広げた。

「当然、裏の損失を穴埋めするなら倍の値段で売りたいだろう」

「ええ、そうなると1560億円ですね」

「ああ、金が必要なら必要なだけ融資するぞ」


横山は亮のバックを知っていて保障があれば

必要なだけ融資しようと思っていた。

「そうなると、うちの銀行の立場が・・・」

栗田は自分の仕事がなくなる事を恐れていた。


「そうだったな栗田君。亮君の計画通り我々は動くつもりだ」

「僕はなるだけ早く野田元社長に会おうと思います」

横山が軽く栗田に頭を下げると亮は三人に言った。

「やはり、損失隠しに執着するのか?」

「はい、F電機に内情を知らないと

先に進まないような気がして」

亮は頑固にこだわって内村に答えた。


「今、野田元社長は行方が分からないので捜索中です」

「まさか、拉致されたんじゃないだろうな?」

「それはないと思います」

亮が横山に問いに答えて首を横に振ると

絵里子が答えた。


「あら、野田さんなら温泉かもしれないわ」

「温泉?」

突然、野田の話しをした絵里子を四人は顔を見た。

「野田さん、引退したら奥さんとゆっくり

温泉に行きたいって言っていたから」

「野田さんが飲みに来たんですか?」


亮は酒を飲まないと聞いていた亮が

絵里子に聞き直した。

「ええ、社長解任のゴタゴタで悩んでいた時に2度ほど」

「よほど悩んでいたんですね」

「ええ、それに昔黒崎が面倒見ていたので

私に挨拶に」

「黒崎って、あの?」

栗田は亮に聞いた。


「はい、亡くなった関西経済のドン

黒崎さんです。絵里子さんは

黒崎さんの・・・」

「そうよ、でも今は亮の女のなのよ」

亮が栗田に答えると絵里子は亮の腕に抱きついた。

「女って・・・あはは」

栗田は絵里子の冗談にしか思えなかったが

横山と内村の顔は真剣だった。


亮は立ち上がり森に電話を掛けた。

「森さん野田さんと連絡が取れましたか?」

「いや、まだ居所がわからん」

「では、青森と秋田の温泉を探してください」

「青森と秋田の温泉?」


「野田さんは温泉に行きたがっていたそうです。

それで野田さんは兵庫県出身、

奥さんは熊本出身かなりの温泉通です。

だからと言って関東地方の温泉は人が多くて目立ちすぎる、

おそらく夫婦でのんびりするのなら土地勘のない

東北地方の秘湯を選ぶと思います」 


「それでなぜ青森と秋田の温泉なんだ?」

「東北秘湯で人気があるのが青森のランプの

宿青荷温泉と秋田の乳頭温泉です。

ただランプの宿はバスを乗り継いで

数時間かかりますが、乳頭温泉はタクシーで

40分足らず僕はまず乳頭温泉を調べます」


「おお、分かった。明日朝一で調べる」

「お願いします」

亮は電話を切ると席に戻った。


「まず、秋田の乳頭温泉を調べる事にしました」

亮が言うと内村は首を傾げた。

「理由は?」

「勘です」

「お前さんに勘なんかあるものか」


「わあ、素敵。私一度入ってみたい。真っ白な牛乳みたいな温泉」

美也子が亮を目で誘った。

「良いですね、足の傷によさそうです。行こうかな?」

「ねえ、みんなで一緒にら行きましょうよ。

紅葉も綺麗だし混浴だから」

「みんなで?」

横山は美人の女性達と混浴に入る事を想像して唾を飲んだ。


「温泉か・・・」

亮は、温泉は豪華な温泉旅館より湯治で

病気を療養する方法をもっと奨めるべきだと普段考えていた。


病気の大きな原因である食事を考え、温泉と食事両方の面から

健康を回復する温泉旅館を考えてた。


「美也子さん、温泉に入って、

ローカロリーの健康な食事をして、ヨガをやって

 エステをやったらどうですか?」

「わあ、健康そう」

「そうですよね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ