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チカン疑惑

亮は今後の対処を聖子に伝えた。

「分かりました、直ぐにみんなを集めて状況を聞いてみます」

「僕は明日、法務省入国管理局の方に問い合わせをして見ます」


~~~~~

亜里沙が東京駅大手町口前に立っていると

目の前に黒い車が止まった。

「亜里沙ちゃん乗って」

葉子が窓を開けて亜里沙に声をかけた。


亜里沙が前の席に車に乗ると後部座席に

五島商事の内村昭二が乗っていた。

「あっ、社長」

亜里沙が慌てて車から降りてお辞儀をすると

内村はそれを諌めた。


「ああ、気にしないでくれ。これから先は

プライベートなんだ。

 一緒に食事をしよう」

「でも・・・」

亜里沙は葉子に誘われてまさか社長と食事をするとは

思わなかった。


「亜里沙さん、行きましょう。社長と言っても

 プライベートでは孫にやたら

弱いただのおじいちゃんだから」

葉子は亜里沙を誘うと昭二は葉子を睨みつけて言った。

「まあ、言われて見れば本当の事だが」


三人は日比谷Pホテル24階の

フレンチレストランピアトロ

に着くと内村の娘久美子と孫の理恵が待っていた。

「おじいちゃん」

「おお、理恵」

理恵が手を振ると内村は満面の笑みを

浮かべて理恵の居るテーブルへ向かった。


内村は久美子と理恵を亜里沙に紹介した。

「おじいちゃん、亮の好みの女性じゃない」

理恵は内村の横腹を肘で突いた。

「そうか?」

内村はとぼけて宝石を散らばせたような24階からの

夜景を眺めた。


「実は亜里沙君、君に1つやってもらいたい事があるんだよ」

「私にですか?」

「ああ、秘書課の君に頼むのは変なんだが君は去年まで営業部だったね」

「はい、アウトレットモール運営の計画が

ボツになって秘書課に転属になりました」


「事情は私も知っている。君の上司の金井部長が特定の業者に

賄賂を貰っていて止むに止まれぬ処分だった」

「はい、そうです」

「そこで君にもう一度アウトレットモール計画に

トライしてもらいたい」

「本当ですか?」

内村の言葉に亜里沙の目が輝いた。


「今度は、私の直下のプロジェクトである人物の手を借りて

出店業者の選定も君達がやって欲しい」

「はい、それである人物のってどなたですか?」

「私の婚約者よ」

亜里沙の質問に理恵が答えた。


「えっ?理恵さんの?」

「こら理恵!いや私の息子のような男だ。

とにかく凄い男だよ彼は

もう直ぐここへ来るはずだ」

内村にその話しを聞いて葉子が立ち上がった。


「ちょっと失礼します」

「私も」

理恵も葉子と化粧室へ向かった。

「あはは、なんだなんだ、亮が来ると聞いたら急にソワソワして」 

「社長、葉子さんと理恵さんどうしたんですか?」

「ああ、二人とも亮と会うのが久しぶりだからな

いい格好したいんじゃないか?」


「そんなに素敵な男性なんですか?」

「ああ、イケメンだそれに頭が良くてスポーツ万能

テニスもゴルフもプロ並みだ、なっ久美子」

内村は以前軽井沢で亮とテニスをした

事のある久美子に声をかけた。

「はい、それにマッサージも」

「そうか、理学療法士の資格ももっていたなあ」


亜里沙は内村の言う亮の人物像が

まったく把握できなかった。

「社長、知念さんは?」

「知念?」

「私の上司だった知念修係長です」

「今回のリストに上がっていない、

おそらく移動を拒否したんだろう。必要なら

人事課に聞いてみるといい」


「分かりました」

葉子と理恵が戻ると亜里沙がトイレに立った。


「亮、遅いね」

「1ヶ月ぶりの日本だ仕事も溜まっているんだろう」

早く亮と会いたい理恵は周りを見渡した。


~~~~~

「すみません」

トイレから出てきた亜里沙に亮が声をかけ亜里沙が振りかえった。

「何あなた!」

今日3度目の出会いに驚いた亜里沙だったが、

高級レストランの中では

亜里沙は大声を上げる事が出来なかった。

「あのう、スカートが捲れてパンティが

見えていますよ。余計なお世話だったかな」


「えっ?」

亜里沙が体を捻るとワンピースの裾が捲り上がって

白いパンティが見えていた。


慌ててトイレに駆け込む亜里沙を尻目に

亮は三野美智子と共に内村の座っているテーブルに向かった。

媚薬を飲み激しい運動をした亮の体からは

大量のフェロモンが出ていて

店内の女性客が次々に振り返っていた。


「お待たせして申し訳ありません」

亮は背筋を伸ばし内村に挨拶をした。

「おお、一段とたくましくなったな。亮君」

「いいえ」

「さあ、座って」

内村は自分と理恵の間に亮を座らせた。


「こちらがうちのタレントの三野美智子さんです」

三野は深々とお辞儀をした。

「うちの売り出しの子でぜひみなさん紹介しようと思って」

「これはこれは五島商事の内村です」

美智子は驚いた顔で亮の顔を見た。

葉子と理恵は不機嫌そうに

美智子を睨み付けいてた。


そこにトイレから戻って来た亜里沙が

亮の顔を見て口に手を当てた。

「この人痴漢です!」

亜里沙の声に内村と理恵と久美子と葉子と美智子が

亮を見た。


「何だって痴漢!」

「ち、違いますよ」

亮は内村に言い訳をした。

「亮が痴漢なんてするわけ無いわ、自意識過剰じゃない」

理恵は自分の好きな亮が亜里沙に悪口を言われ喰ってかかった。

「亜里沙さん亮は絶対痴漢なんてしないわ、

痴漢するほど女に飢えていないもの」

葉子が大きな胸を突き出した。


「こら、葉子君はしたないぞ」

「すみません」

「亜里沙君、亮君が痴漢とは何かの間違いだろう

 彼の人間性は私が保証する」

「でも、今朝私がジョギングをしたらずっと着いて来て」

「僕の家の近くなんですからしょうがないですよ」


「嘘、あの一角はテニスコートのあるお屋敷のはずです」

「それは僕の家です」

亮が言うと亜里沙が手を口に当てて亮の顔を見た。

「電車の中で私のお尻を・・・」


「あれはドアが閉まる寸前に飛び乗ったので勢いあまってせなかに

 ぶつかっただけです」

亮が答える度に次第に亮の無実が晴れていく

様子を見て理恵と葉子が笑顔になった。


「でもさっき私のパンティを見た」

亜里沙はそう言って自分がしでかした

重大な事に涙を流し始めた。

「亜里沙君、誰も君を責めてはいない。

ただの誤解だったんだ」

内村は亜里沙をなだめた。

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