表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/196

出会い

「こんばんは、お一人ですか?」

それを見た絵里子のところに白人の

男が日本語で話しかけてきた。

「私は日本人オンリーのエスコートガールです」

「チッ、ビッチめ」

白人の男は舌打ちをして戻って行った。


「何言っているの!どうせ馬鹿な日本人女と

タダマンしようとしたくせに」

銀座で働く女のプライドは

そんなに安くない。

絵里子は立ちあがり

日本人男性を探してそのテーブルの前に立った。


「すみません、日本人の方ですか?」

「は、はい」

突然、セクシーで魅力的な女性が目の前に立ち

男が戸惑っていた。

「すみません、スマートフォンを貸していただけますか?」

「えっ、でも・・・」

オドオドしている男たちに絵里子はイライラしていた。


「通話料は払います」

絵里子は我慢して笑顔でやさしく言うと

目の前にスマートフォンを差し出す男がいた。

「僕のでよかったらどうぞお使い下さい」

絵里子は男の英語iPhone見て手を出さなかった。


「どうしたの?僕は通話料を払えなんてけちな事言わないよ」

「ううん、いいわ。ハワイは長いんですか?」

「こう見えてもプロのサーファーなんだ、君は一人?」

絵里子に声をかけてきた男は色黒で

いかにもハワイ慣れをしているようだった。


「ええ、友達とハワイで待ち合わせをしていて

 今夜は一人なの」

「へえ、じゃあ僕の部屋で飲み直そう」

男は絵里子に下心を持って自分の部屋に誘った

「あっ、ごめんなさい」

絵里子は男がiPhoneだったので

ボックスに座っている二人の

中年男性を見つけて席を立った。


「こんばんは、日本の方ですね」

「はいそうですが・・・」

いきなり絵里子に声をかけられた二人は怪訝な顔をした。

「すみません、私あの男にナンパされて

困っているので助けていただけませんか」


「分かりました、ここに座ってください」

「はい、ありがとうございます

絵里子は男が引いた椅子に座って話しを始めた。

「今日はゴルフですか?」

絵里子が二人の真っ白な手を指差した。


「あはは、分かりますよね」

中年男性は銀座のホステスの雰囲気をかもし出している

絵里子に好意を持っていた。

「はい、私は日本から来た黒崎絵里子と申します」

「ほう、日本人か私は真壁伸太郎、

横浜で不動産会社を経営している」

めがねを掛けた落ち着いた男がまず自分の話しをした。


「私は金融関係の仕事をしている栗田と言います」

次にちょっと若い感じの男が答えた。


絵里子が二人と話しを始めたのでプロサーファーの男は

絵里子を睨みつけていた。

「あの男はハワイに遊びに来ている日本人女性をナンパして

 遊んでいる男か」


「きっとそうですね」

「黒崎さんは一人?」

真壁は周りを見渡した。

「一緒に来た子は時差の関係でもう寝てしまって」

絵里子は一緒に来た子絢香の事を思い出して笑いながら答えた。


「なるほど、せっかくのハワイの夜にもったいないな」

「まあそうですね」

「君の仕事は?」

「銀座でちょっと・・・」

「そう言えばどこかで見たような」

真壁が絵里子の顔をじっと見つめた。


「ええ、まあ。あっいけない。

スマートフォンをホテルに忘れちゃった」

絵里子が困った顔をすると直ぐに真壁が

スマートフォンを差し出した。

「これ使って良いですよ」

真壁は絵里子の予想通り最新型の5Gディバイスだった。


「ありがとうございます」

絵里子はそれを受け取り窓際に

立ってロビンに電話を掛けた。

「ロビン、亮の意識が戻ったわ」

「それは良かった」

「それが亮はFBIに拘束されて病院から

外部に連絡が出来ないのよ」


「なぜだ?彼はアメリカ政府と

仕事をしているのに・・・」

「ハイジャック犯のお金の在り処を

亮が知っていると疑われているみたいよ」


「分かった、僕も直ぐにそっちへ向かう」

「盗聴されているかも知れないので気をつけて、

 私も亮の指示で盗聴が少ない5Gのディバイス

 を探したんです。アメリカは5Gの電波が飛び交って

 居るのに中々ディバイスを買い替えない

人が多いので普及率が低いので

盗聴され易いようです」


「わかった、後は僕に任せてくれ、

絵里子さんの宿泊先は?」

「ワイキキのコンドミニアム

アクアタワーズの2101号室です」

「了解、連絡する」

ロビンはまるで亮が乗り移ったように

冷静で安心できる反応をした。


「どうもありがとうございました」

絵里子はロビンの送信履歴を削除して

ハンカチでスマートフォンを拭き

真壁に返した。

「とんでもない。ところで絵里子さんの明日の予定は?」

「午前中は予定がありますけど午後はまだ何も」


「そうか、では明日娘に頼まれた買い物が

あるんだが付き合ってもらえませんか、

 英語が話せる人が側にいた方が都合が良い。

お礼はさせてもらいます」

「はいご一緒させていただきます。

ええと連絡先は?」


絵里子は栗田が語学に堪能のように見えたが

躊躇なく真壁の依頼を受けた。

「この電話に連絡をくれれば良い、電話番号はここに」

真壁は名刺を差し出した。

「まあ、あの有名な横浜の京浜不動産ですね」


「知っていますか。あはは」

真壁は豪快に笑っていた。


絵里子が推理するには、一緒にいる栗田は

京浜不動産のメインバンクの貸付担当で

接待でハワイに来た様子だった。

「さて、そろそろ」

真壁の一言で絵里子は次の二人の行動を察して立ち上がった。

「ありがとうございました。ではまた明日」

絵里子は挨拶をしてマイタイバーを出て行った。


~~~~~

病室のドアが開くとマリエが入って来た。

「マリエさんこんな時間にどうしたんですか?」

亮はいつもと違う時間にマリエを不思議に思った。

「ううん、急に寂しくなったから・・・」

「そうですか」

仰向けで天井を観ている亮にマリエが聞いた。


「ねえ、亮。飛行機のハイジャック

犯ってどんな人だった?」

「どうして?」

亮は事件の時の事を突然聞かれてマリエを疑った。


「だって300人もの乗客を危険に貶めるなんて

凄く悪い奴なんでしょう?

そんな奴をやっつけた亮は凄いと思う」

「いや、犯人は頭の良い男だった。

最後まで主犯だと思わなかった」


「そう・・・ところで身代金の

お金何処へ行ったのかしら?」

マリエは公表されていないアクセス料の

事は知らないふりをして

身代金と言った。

「ん?身代金?どこかの銀行にあると思うよ。

でも当局が凍結したか、もう日本に返還されているのかも知れません」

「そ、そうよね」

亮はしつこく聞くマリエを完全に疑ったが

FBIがマリエを使って自分から

情報を取るとは思わなかった。


「そうだマリエ、僕が退院したらお世話を

してくれたお礼がしたい

 何か欲しいものある?」

「うふふ、ありがとう。何でもいいわ?」

「家族は?」


「ここで漁師をしている父と母、

フィッシングボートで釣りツアーをしている兄

 それと大学生の妹よ。ただ父は足の

怪我をして仕事を休んでいるけど」

「それは大変ですね」

亮は首を起こして自分の足を見た。


「亮は2本あるから良いわ。

父は片足しかない・・・」

亮はマリエの悲しそうな顔を見て

父親の足の無い原因を察した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ