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クルーザーの夢

亮は真紀子の身に何事も無くてホッとしていた。

「ねえ、團さんいつまで濡れたTシャツを着ているの?」

「ああ、着ている内に乾きますよ」

亮は裸になることを強く拒み真紀子は亮がとてもシャイに思えた。


~~~~~

クルージングから帰ってシッピングセンターで買い物をしていた

亮の所にフレイザーから電話が掛かってきた。

「亮、カニエラが自供した。明日ワシントンに移送するよ」

「そうですか、良かったですね」

「うん、亮のお陰だよ。ありがとう」


「いいえ」

「それで、君を表彰したいと大統領が言っている」

「そんな物いりませんよ、ジェニファーや

僕を救ってくれた人たちに上げてください」


「そう言うと思っていたよ。じゃあ後でな」

「後で?」

亮はフレイザーに「後で」と言われて首を傾げた。


~~~~~

ホールアウトした絵里子はシャワーを浴びて

岡村たちの待っているラウンジに行った。

「おお」

三人のだけの会話が出来るように

絵里子は時間をかけ念入りに化粧し

その絵里子の顔を見てあまりの

美しさに岡村は声を上げた。


「何か?」

絵里子は微笑んだ。

「い、いや」

絵里子に心を寄せていた岡村の心臓は高鳴っていた。

「我々はどんな服装で行けばいいのだろうか?」

真壁は亮の友達の船と聞いてドレスコードが

気になり不安になっていた。


「ここはハワイですから、アロハシャツで

良いはずです。真壁社長」

「ああ、そうか」


絵里子たちがワイキキビーチの桟橋に着くと

亮と美喜と祐希と真紀子とマリエが

ケアカのボートに乗っていた。

「ごめんなさい、お待たせしちゃって」

「早く、早く」

絵里子が言うと真紀子は父岡村に手招きをしていた。


「どうだ?楽しかったか?」

「うん、とても。船の上でのバーベキューも美味しかったし

 その後のお買い物を楽しかった」

真紀子の嬉しそうな顔を見て岡村は上機嫌だった。


ケアカのボートでワイキキの沖に停泊していた

キャシーの船に着き

みんなが乗船し終えた。

「マリエ、君もおいで」

「私はこんな豪華な船は・・・」

漁師の娘と卑下しているマリエは亮を拒んだ。


「いいからおいでケアカも一緒に」

「俺も良いんですか?」

「ええ、これからの事もあるから」


ケアカの船は碇を下ろし二人は

キャシーの船に乗った。


「亮!」

キャシーはみんなの前で亮を思い切り抱きしめキスをした。

「心配したわ」

「もう大丈夫です。ご心配掛けました」

亮はキャシーに激しい歓迎に恐縮した。

そこにジェシーが来て亮の写真を撮り始めていた。


「やっと撮影許可が下りたわ、具合はどう?」

「ああ、ジェシーやっと動けるようになりました」

「ヒーローの写真撮らなきゃ」

「ありがとうございます」

ジェシーは写真を撮りながら亮の体を触っていた。


祐希と美喜がキャシーとハグをし終えると

亮は絵里子とマリエを紹介した。

「キャシー、僕をずっと看病してくれたマリエです」

「そう、ありがとうマリエ」

キャシーはまるで亮が自分の夫のような言い方をした。


「そしてボートでツアーの仕事をしている、

マリエのお兄さんのケアカです」

「まあ、よろしくね」

キャシーはケアカと握手をした。

「そして、絵里子さんです」

キャシーは妖艶な絵里子を見て亮との関係を察した。


岡村は自分より先にマリエたちを紹介した事に

不機嫌だった。

「すみません、キャシーの紹介をしたかったので

 ご紹介が後になりました。こちらがアメリカの

ランド不動産の社長でキャサリン・ランドさんです」

「おお」


栗田と真壁は不動産王のキャシーを

目の前にして身を硬直させていた。

「キャシー、こちらが民政党の

幹事長の岡村達也さんです」

亮は岡村を紹介した。


「まあ、亮の友人に政治家が居たなんて不思議だわ」

「これには色々と訳があって」

キャシーはフランス語で話し亮はそれに答えた。


突然フランス語で話す亮が

語学力をひけらかしているようで

岡村は怪訝そうな顔で見た。


亮は続いて銀行員の栗田と不動産会社の

真壁をキャシーに紹介した。


栗田はフォーブスに載るような大金持ちの

資産を想像し、真壁は自分の会社の

私有する何千倍もの不動産数を想像し、

しかも眩しいほどの美しさに互いに鳥肌を立てた。


しかし、岡村はその手の情報には疎く

ただ、豪華なクルーザーを見て

キャシーが相当な資産家と思っていた。


「亮、みんなが待っているわよ」

キャシーが300フィートもある船の船首の方を指差した。

「ところでどうしてキャシーがここに居るんですか?」

「うふふ、ハワイにホテルを買いにきたのよ。

 亮の旅行代理店で使ってね」

キャシーは亮にそう答えたが実は亮の

意識が回復したと聞いて直ぐにハワイに来ていた。


亮はキャシーと一緒に船首のデッキに

向かって行くと音楽と人の声が聞こえてきた。

「亮、お疲れ様」

亮はまず文明、そしてロビンとがっちり握手をした。

「亮、イヤフォンマイク。取り返しておいたぞ」

ロビンが亮に渡した。


「ありがとう、これどうやって?」

「あの人さ」

ロビンはフレイザーを指差した。

「マーク」

亮はフレイザーと握手をした。


「後でと言うのこの事だったんですね」

「ああ、キャシーから連絡があって、明日私がワシントンに帰るので

 今日しか君と会えないだろうって言われてね」

「そうですね」

亮が答えるとパティが亮にハグをした。


「パティもお疲れさま」

「ううん、せっかく会えたのに今日でお別れ寂しいな」

パティは両手で亮の手を握ったまま話しをした。

「体の方は大丈夫ですか?」


「ええ、銃創が少し残ったけど、それを気にしない男性を見つけるわ」

「そうか・・・」

パティは亮の気を引こうとして言うと

亮は色白のパティの胸に付いた傷を気の毒に思った。

「でも亮の方が傷は多いんでしょう」

パティは亮のアロハシャツを捲り上げた。

「よせ」

「わあ、凄い傷」

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