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20億ドル

「みんなのお陰と言う訳ね」

「だから日本に帰るときはひっそりと帰ります」

「それがいいわね、日本ではあまり話題

になっていないから入国は楽だと思うわ」

「どうして?300人ものの乗客を救ったのに・・・」


マリエは亮がやった事を日本に

評価されていない事が不思議だった。

「マリエ、それは日本では報道規制があって

今回の全貌は明かされていないんだよ。

 だから僕の名前を知っている人はほとんどいない」


「でも、亮の意識が戻った事をどうして2週間もの

間私に連絡をくれなかったの?」

「精密検査です。死んだ人間が生き返ったから

不思議だったんじゃないですか?」


亮は周りを監視している男達を目で追った。

「死んだ?」

絵里子が亮の顔を見た。


「いや、心肺停止くらい大怪我した人は良くあります」

亮は絵里子が心配しないように気を使った。

「違う!亮は何度も心臓が止まった。

それに胸にこんな傷が」

マリエは亮の白いTシャツを捲り上げ亮の胸の傷を見せた。


「そんなの関係ない。絵里子さん、

僕は仕事の利益の一部で

世界に子供たちの教育組織を作ろうと思います」

亮はそう言ってマリエの話しを途中で止めた。


「えっ!」

絵里子は亮の突然言った事を聞きなおした。

「後進国の子供たちは貧困によって

 勉強もできずにいます。その子たちに勉強と

環境を作りたいと思います。教育こそ国の力です」


「そうね、教室も無い紙もペンも無い子供たち

 の為に」

「それだけじゃない、教育者も育成しなけれならない」

「そうか、人か・・・」


「ロボットでも教育は出来ます。でも人の教育は

教育者へのリスペクトが有るから生徒、学生が

集中できるのです」

「良くわかるわ」

亮が倒れてから祐希が信じられないほど

勉強をしているのは

亮が居るかだと絵里子は感じていた。


「ところで、私以外には誰も連絡が

行っていないのかしら?」

絵里子が言うと亮はマリエの方を見て言った。


「マリエしばらく絵里子さんと散歩がしたい、

僕の娘を預かっていてくれないか?」

「はい」

マリエは絢香の手を引いた。

絵里子が車椅子を押して海が見える芝広場上に芝の方へ

歩くと亮は後ろを向いた。


「すみません。実は僕が絵里子さんを指名

してお願いしたんです」

「どうして?」

「色々考えて一番信用が出来て僕の周りの

 人たちと面識があるからです」

「そうか、ありがとう」

亮に頼られた絵里子は嬉しかった。


亮は絵里子の顔に手を伸ばして耳元で囁いた。

「実は当局は僕がハイジャック犯のお金の

有りかを僕が知っていると思っていて

意識が戻ってから何度かFBIに質問を受けています」


亮はマリエの前で言った、

死から蘇った話しを否定して

監視の目から話しをしていないように

見せるために絵里子とキスをした。


「ひょっとしたらこの車椅子に盗聴器が

付いているかも知れません」

亮は続けて絵里子の髪を掻き揚げ耳元で囁いた。


FBIはハイジャック犯のジェイクが

飛行機の中の映像配信のアクセス料の

20億ドルに関する何かのメッセージを

亮に残して行ったのではないかと疑っていた。


~~~~~

2週間前JOL7007便の中で亮とジャイクが戦い

フロントガラスが割れた。

「た、助けてくれ!」

シートベルトをしていなかったジャイクの

体がコックピット内で体が

何度かバウンドするとフロントガラス

から半分体を外に出し

亮は手を伸ばしジャイクの手を掴んだ。


「助けてくれるのか?こんな俺でも?」

「当然だ、助けを求める者には手を差し伸べる」

亮は思い切りジャイクの手を引いた。

「ありがとうよ、有料映像サイトでかなりの

売り上げがある。

その金を貧しい国の教育に使ってくれ」


「わかった」

ジャイクは口座番号とアクセス番号を

言って亮の手から滑って

機外に放り出され10000メートルの高さから

真っ暗な太平洋に落ちていった。


~~~~~

亮はその時のジェイクが言った

アクセスナンバーを忘れてはいなかった。

ただ、ジェイクのお金を当局が

勝手に凍結していいか疑問を持ち亮は

FBIには答えていなかった。


「なんかやばそうね」

絵里子の目には何人かの黒服の男達が映っていた。

「ええ、僕は四六時中こうやって監視されています。

 絢香をマリエに預けたのは二人きりになるためです。

 まさか自分の娘を預けたまま逃げ出す事は無いですからね」

亮と絵里子は監視の男達の目の前で抱き合いながら

小声で会話を続けた。


「亮、あなたは本当に金の在り処知らないの?」

「もちろん、あんなの緊急の時にどうやって

犯人から金の在り処を聞き出すことが

出来ると思いますか?FBIはいずれ諦めると思いますよ」

亮は絵里子に嘘をついた。

「そうね・・・」

絵里子は亮の言い分を最もだと思った。


「みんなは元気ですか?」

亮は普通の会話に戻した。

「ええ、お父様は亮の仕事の代行をしていてくれたわ、

それにタクシー会社を買収したそうよ。

お姉様たちもスタジオDニューヨークの

オープンで奔走しているし

 マッスルカーブは無事にオープンして

ブルーノが挨拶したわ」


「そうですか。タクシー会社か・・・」

亮は前から父親と考えていた。

ボディガードとタクシーの機能を合わせ

持ったセキュリティタクシーにして、

企業VIPや芸能人の送迎に

将来日本にいる暗鬼のメンバーの

職場と考えていた。


その後、絵里子は亮のいない1ヶ月間の色々な話をした。

「さて、これからリハビリの時間です」

「わかった、しばらくハワイにいて

明日の午前中にまた来るわ」

「そうですね。せっかく来たんだから

ゆっくりしていくといいですよ」

「そうね、そうするわ」

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