4本の爪
「ところで、投資の件ですが、
ニューヨーク市場、ロンドン市場、香港市場そして東京市場で
株の方はできたばかりのプラネット証券で取引をしています」
「プラネット証券?」
「はい、できたばかりですがバイオ燃料会社の
D&RやJバイオ、アメリカンウエブ、
ランド不動産、ユニオンチャイナグループなど取引がありますので
安定した利益があります」
「なるほどね、それで今日のパーティに招待してくれたんですね」
「はい、キャシーとロビンは後で紹介します。僕の友人ですから。
まあ、怪しい人も同じような事も言いますけどね。ははは」
「パパ、信じてあげて亮は本当にすごい人なの」
梓沙は必死で父親、和田謙を説得した。
「別に信じていないわけじゃないけど、忙しくありませんか?
そんなに仕事をしていて」
「そうですね、お陰さまで優秀な人たちがたくさんいますから頼っています」
「それはいい事だ」
和田は謙虚な亮を気に入って来た。
「将来は和田さんの興味のある映画ファンドを
アメリカでやってみようと思います」
「おおそうか、ぜひ私も参加してみたい」
和田は機嫌よく笑って答えた。
「亮、今どこ?」
美喜から亮の元に電話がかかって来た。
「今、鈴木を追跡中、場所は溜池の交差点です。
品川330な15-1○、白のセダンです」
「分かったわ、応援を向かわせます」
「お願いします」
亮は警察が来る事になって少し気が楽になった。
「和田さん警察が応援に来ます。もう少し追尾お願いします・・・」
「了解、本当に警察からの連絡だったんですね」
昔はアクションスターとして名をはせていた和田の頭には
激しいカーアクションを思い浮かべていた。
その時、溜池から霞が関に向かっていた鈴木の運転する車が
スピードを上げると和田は慌ててアクセルを踏んだ。
その車間距離を縮めると鈴木に車は急に右に
ハンドルを切り首都高速に入って行った。
「しまった!」
和田の運転する車はスピードを上げ過ぎたために
首都高速の入り口を通り過ぎてしまった。
「和田さん、左に寄せてください。僕が代わります」
「わ、分かった」
亮は運転席に和田は助手席に梓沙は後部座席に移動し
亮は後ろを向いて後ろから来る車を避けながら
首都高速の入り口の前につけドライブギアを入れ
首都高速に入った。
「和田さん、サングラスありますか?」
「ああ、このメガネでいいか?」
和田はダッシュボードからサングラスを取り出し
亮に渡した。
「ありがとうございます」
亮は受け取ったサングラスをかけると
目の前が見えずに蛇行運転をした。
「わ、和田さん、これなんですか?」
亮はサングラスを外して文句を言った。
「ああ、悪かった老眼の度付きサングラスだった。こっちでいいか?」
和田は自分の付けていたサングラスを亮に渡した。
「ついでにこれはどうだ?」
亮は和田から芸能人の変装アイテムマスクを受け取ってかけた。
「ウイッグもあるわよ」
梓沙が亮の頭に金髪のそれをかぶせた。
「うっ」
亮は声を上げたがそれを取ろうとはせず
髪を整えた
「亮、嫌じゃないの!」
美喜が不思議そうな顔をして聞いた。
「うん、ロード・オブ・ザ・リングの
レゴラス、オーランド・ブルームみたいで
かっこいい」
亮はニコニコ笑って運転をしていた。
「マジか!」
美喜が唖然としていると亮の耳元に
衛星で監視している雪の声が聞こえた。
「亮、離れすぎ20台後ろになっているわ」
「分かっています」
亮は車の間をすごいスピードで抜けて鈴木の車に迫っていた。
「亮、敵は江戸橋ジャンクションから箱崎方面に向かったわ」
マギーの声が聞こえた。
「了解、マギーは今どこですか?」
「鈴木の車の後ろにバイクで付いているよ」
「バイク?いつの間に」
「うふふ。裕子が乗せてくれているの」
「裕子さんに謝っておいてください、あとでお詫びします」
鈴木の運転する車は複雑な箱崎の道路を抜け
深川9号線そして湾岸B1線に入った。
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「点眼完了!」
目薬を目に点してサングラスをかけた桃華が小妹に言った。
「じゃあ行くよ!」
小妹が立ち上がって室内灯を消すと
三人はサングラスをユンヒとユンヒの部下とミンホに飛びかかった。
ユンヒの部下に飛びかかった桃華は後ろに回って男の首を回した。
「バッキ」
一瞬で首をねん挫した男は難なく倒れた。
暗闇で敵が攻めてくる事を警戒したミンホは壁を背にして
暗闇の室内を見渡し気配を感じ取ろうとした。
「さあ、来い!」
暗闇の中で仲間に誤射しないように
ミンホはサブマシンガンを肩にかけたまま
黙ってナイフを光らせ構えた。
「さすがだね、でもこちらは完全に目が見えるんだよ」
蓮華はミンホの首を狙いインシュリン弾を撃った。
「バシッ!」
ミンホはナイフで弾丸を叩き落とした。
「えっ、何故?」
蓮華は弾丸をナイフで叩き落とすミンホがアントンに
簡単に捕まった男とは思えなかった。
「ふふふ、俺のナイフのテクニックに敵う奴はこの世にいない!」
ミンホは蓮華に豪語した。
「ふん、アントンにやられた癖に」
桃華が言うとミンホは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「図星のようね、あんたの変な顔見えているわよ」
「うるさい!あの時は油断しただけだ!さあ二人で攻めてこい」
アントンが着ていた炭素繊維ウエアにミンホのナイフが通らず
ミンホが驚いていて油断している間にアントンに捕まったのだった。
「こうなったら暗闇のうちに二人で攻めるよ、桃華」
「了解」
蓮華と桃華は特殊警棒を伸ばしミンホにかかって行った。
一方ユンヒは窓ガラスを背に立ち外の明かりで
小妹の位置を確認していた。
「小妹、ミンホはナイフの使い手暗闇でもやられる事はないわ」
ユンヒは金属音のする方向を見て言った。
「暗鬼はあんたのせいで金で動く暗殺団と思われたんだ」
「ふん、暗鬼の報酬があまりにも少なすぎたからだよ。
それになぜ日本人に肩入れをするんだ?團亮はそんなにいい男か?」
「あんた知らないんだね、團亮の怖さ」
「怖い?何があんな若造が」
ユンヒは声を出して笑った。
「後ろを見な!」
ユンヒが後ろを振り返って外を見ると
赤いレーザー光線がユンヒの体に何本も当たっていた。
「な、何?」
「亮の命令があればあんたはこの場で暗鬼の
スナイパーに撃たれて蜂の巣になるんだよ」
赤い光を見たユンヒは体をかがめて部屋の奥に逃げて行った。
「亮の命令ってなんだ」
「亮は日本の暗鬼いや世界中の暗鬼を動かせる立場の人間なんだよ。
亮はフォークロウズ(4本爪)なの」
「馬鹿な、日本人が暗鬼のフォークロウズだなんて・・・」
暗鬼は首領が5本爪のフロントドラゴンマークを持ち
№2は4本爪のドラゴンマークを持つ事ができる。
亮はその№2の証を持っている一人である。




