逮捕
「おい、鶏のから揚げがないぞ」
三雲はバイキング料理前に立っていたウエイターに
声を掛けた。
「はあ、はい」
ウエイターが仕方なしに返事をすると
三雲はトレーをそのウエイターの目の前に落とした。
ウエイターが下を向くと上からインシュリン注射を突き刺した。
「ウエイターさん、大丈夫ですか・・・」
三雲はウエイターを抱きかかえ会場の外に出た。
「三雲、1名確保」
「最後の一人行きます」
仁木は壁際に立っているウエイターの首筋めがけ
インシュリン弾を放った。
すると森と早苗がウエイターを囲んで会場を出た。
「森最後の一人確保」
「了解、good job」
亮の声がマイクの向こうから聞こえた。
~~~~~
「さあ、言ってもらおうか、時間が無いんだよ」
マギーは茂蔵の生死の確認をしている美喜に代わって縮み上がった中西の
あそこペイン弾銃を押し付けた。
「13階、13階だ!」
「それで、ガスは何処ある?」
「パーティ会場の空調ダクトの中だ!キムユンヒがリモコンを持っている」
「わかった、ありがとう」
マギーは優しく中西のズボンを上げ頬にキスをした。
「あ、ありがとう?」
中西は敵の自分にありがとうと言うマギーに唖然としてマギーに声を掛けた。
「ま、待て。キム・ユンヒに命令している男が居る」
「誰?」
「鈴木聡だ!一緒に13階にいる」
「うふふ、あなた良い人ね。改心しなさい」
マギーは美喜のお尻を叩いて13階に向かった。
「あはは、改心しなさいか・・・」
中西は痛む体で仰向けになって天井を見上げた。
やがて救急隊と警官が目に前に来て中西の顔を覗き込んだ。
~~~~~
「亮、空調室クリア。ガスはダクトにセットしてあるそうです」
マギーはイヤフォンマイクのスイッチを入れて亮に伝えた。
「ありがとうマギー、よくやってくれました」
「ううん、亮キム・ユンヒのボスは鈴木聡で13階に一緒にいるそうよ。
私たちは13階に向かいます」
「了解、私たち?」
「うふふ」
驚いた亮の声にマギーが笑った。
~~~~~
「亮、予定通り5分後の8時30分に生活安全課が葛原逮捕に着手するわ」
美咲から亮の元に連絡があった。
「もう少し伸ばせませんか?」
「もうダメ、理由を知らない彼らを止められない」
「分かりました」
亮は会場を見上げてダクトの大きさを見た。
「あの、大きさ」
亮は一目で自分の体を入れるのが無理だと悟り
亮が森をイヤフォンマイクで森に指示を出した。
「森さん、トイレの前に来てください」
「ああ、分かった」
亮は会場にいる客たちの中から松山孝子を探した。
「孝子さん、孝子さん」
亮は孝子を探しながら数人の男に囲まれた孝子を見つけた。
「孝子さん、ちょっと手伝って欲しい」
「何?」
亮は孝子の手を引きながら会場のから出てトイレの前のダクトの下に着いた。
「森さん、孝子さんを担いでダクトの中に入れてください」
「おお」
「孝子さん、服を脱いで。この懐中電灯を持って中に入ってください」
「は、はい」
孝子は意味が良く分からないまま、千佐子が選んでくれたドレスを脱いで
白い下着姿になった。
「これを耳の中に入れて、あとは音声で指示します」
亮は孝子の耳にイヤフォンマイクを突っ込み
森の肩に乗せた。
巨乳だが小柄な孝子はすんなりとダクトに入り込み
ダクトの中を這って行った。
「直進1.8m突き当りを右3.6mその間に何かがあるはずです」
「分かりました」
孝子は下着を汚し、膝をすりむきながらダクトの中を這って行った。
「あっ」
「どうしました?」
ブラが引っかかって動けない孝子は
それを外した。
「大丈夫です」
孝子がしばらく這うと目の前にガス発生装置が置いてあった。
「ありました、赤いランプがぴかぴか光っている」
「そばにスイッチは?」
「あるよ、上に上がっている。下げればいい?」
「いや、待ってフェイクかもしれない、それの様子を言ってください」
「ペットボトルみたいにタンクが2つあって
その間にピカピカ光るものが有って
その下に今言ったスイッチがあります」
「アンテナはありませんか?」
「アンテナ?」
「周波数で行くと10センチかその半分の
5センチ、5センチならボールペンくらいの太さです。
どこにも手を触れないでゆっくりと覗いてください」
「ええとあった、タバコの短いヤツ」
「どんな様子ですか?」
「アンテナの下に四角い何かあります」
「おそらく電池ボックスです、
他にはモニターとか時計ついていませんか?」
「ええと付いていません」
「なるほどタイマー方式じゃないですね」
「これなんだろう?」
孝子が手を伸ばした。
~~~~~
「着手!」
男たちが数人会場の真ん中を歩き
葛原の前に立った。
「葛原圭介麻薬取締法違反の容疑で逮捕する」
刑事の一人が逮捕状を葛原に見せた。
「そんな馬鹿な!」
葛原のポケットに手を入れた刑事が
錠剤を取り出した。
「おい、これはなんだ?」
「違う!」
「あとでこれも調べるからな、覚悟しておけ」
刑事と葛原の異様なやり取りに気づいた
記者たちが一斉に葛原を取り囲み
写真を撮りテレビカメラを回し始めた。
「20時30分、葛原圭介逮捕」
調印式に呼ばれていた報道陣のフラッシュがたかれる中、
葛原の両手に手錠がはめられた。
葛原は両手を上にあげ暴れると刑事に両腕を
刑事に抑えられ連れて行かれた。
そしてその先頭にカメラクルーと一緒に
紀子が立ってマイクを向けていた。
「葛原社長!一言」
「うるさい!」
葛原は紀子の持っていたマイクを跳ね除けると
カメラマンは葛原の興奮した顔を撮り
紀子はカメラに向かってコメントを言った。
「今、ピーエヌエーの代表取締役葛原圭介さんが逮捕されました。
麻薬所持の容疑の様です。葛原圭介社長32歳は、
大学時代から有名なゲームディレクターでヒルズ族として
名をはせていました・・・また、葛原容疑者の
六本木の部屋行われたパーティーでは
集団で女性へ性的暴行があったのでは
無いかと言う疑いもかけられています」
葛原の逮捕を知っていた紀子は原稿を
用意していてどの局よりも詳しいコメントを発していた。
客たちはスマートフォンでその様子を写真に撮っていて
あっという間にブログ、Twitter、Facebookに
載せられていった。
連れて行かれる葛原を追って紀子は会場の外に出ると
ケイトは中指を立てて笑っていた。
星野も突然の事件に持っていたカメラで葛原を撮っていて
記事の内容を考えていた。




