13階
マギーがマスクを外すと二人は目を合わせ
机に飛び乗り後ろと前から同時に茂蔵の頭を蹴った。
「ぐわあ」
後頭部から蹴った美喜の足は茂蔵の首に当たり
それを支点に正面から来たマギーの蹴りで
茂蔵の首から鈍い音がして
茂蔵は動きが止まり机の中に崩れ落ちた。
「首折れたかしら?」
マギーは心配そうな顔をして茂蔵を見ていた。
「いいんじゃない、こいつ甲賀流の忍法を使って
盗みや依頼を受けて人殺しを続けていたのよ」
「ニンポウ!」
マギーは憧れの甲賀流のニンポウと聞いて
尊敬のまなざしで美喜の顔を見た。
「それより早く、キム・ユンヒの居所を聞き出さなくちゃ」
美喜は痛みで体をくねられている中西を見た。
「そうね、ところで美喜、亮に帰国を伝えたの?」
「まだよ」
美喜はそう言って中西の足を持って開き股間をぐりぐりと踏みつけた。
「うっ!」
中西は恐怖と痛みのあまり体を丸めると
美喜は男のズボンのベルトを緩め一気にずり下ろし、
下半身を露出させた。
「男の一番痛い所、ここにペイン弾を撃ち込む、
きっと痛みで死ぬかも・・・」
「や、やめてくれ!言う言う」
中西は泣きそうな顔で美喜に懇願した。
「美喜、香港から帰ったら随分残酷になったわね」
「あらそうかしら」
~~~~~
「ユンヒ。もうそろそろ、葛原の逮捕の時間だ」
男は外の夜景を観ながらキム・ユンヒに言った。
「はい、準備はできています」
男の一歩後ろに立っているユンヒが答えた。
「先ほどの連絡では、あの車はもう警察に見つかっているようだぞ」
「大丈夫です、あの車の爆弾処理は1時間や2時間ではできません。
奴らは指をくわえて爆発をするのを待つだけです。
車が爆発し防火装置が一斉に働いてホテル内の換気が
止まりシアン化水素ガスが会場に流れ出す仕組みです」
「うんうん、それで空調室の方が少し騒がしいようだが?」
「甲賀忍者の末裔、小針茂蔵が居ますから大丈夫です」
「とにかく、依頼された岡村幹事長は間違いなく殺れ!
失敗したらお前に責任を取ってもらう」
「はい、お任せください。従業員に変装した五人のターゲットは
岡村一人です」
ユンヒは責任を取るという言葉を聞いて顔が硬直した。
「油断するなよ、團亮の部下は強いぞ!
すぐにこの場所も見つけだすはずだ」
「入り口には我が弟ミンホ達がおります」
「お前は團亮の事を分かっていないようだ、
我々がどれだけあの男に苦渋を
飲まされたと思っている?」
男は振り返ってテーブルの上にあったバッグを手に持った。
「どちらへ行かれるんですか?」
キム・ユンヒは不安そうな華をして男に聞いた。
「あとはお前に任せる!仕事が片付いたら
連絡をくれ。次はアメリカだ!」
「はっ!」
キム・ユンヒは背筋を伸ばして頭を下げた。
~~~~~
「森さん、準備はいいですか?」
森と早苗に後ろに立った亮が二人にささやいた。
「ああ、いつでもいいぞ」
「仁木さんはステージと壁側いる
男の首筋にインシュリン弾を撃ってください
男がフラフラになっているところを森さんが処理してください」
「早苗さんは手前にいるウエイトレスを
三雲さんは仁木さんの死角に当たる
料理の前に立っているウエイターを頼みます」
「了解!」
「了解だ。亮はどうする?」
「僕は岡村幹事長の傍にいる、
あのきれいなウエイトレスを処理します」
亮は森の質問に答えすぐに女のところに向かった。
「亮さんの得意な女性ですすね」
「ばか、岡村幹事長に近いあの女が一番危ないんだ!」
三雲が言った事を森が否定した。
「こんばんは、岡村幹事長」
亮は岡村に親しげに話しかけた。
「おお、團くん。さっきキャシーとロビンが
一番に挨拶に来てくれたよ」
岡村は上機嫌で亮に答えた。
「そうだ、再会を祝して乾杯をしませんか?」
「おお、いいねえ」
「すみません、シャンパンをお願いできますか?」
亮はウエイトレスに声を掛けると
手に持っていたワイングラスをトレーに戻した。
「はい、かしこまりました」
「そうだ飲みたいシャンパンの銘柄があるので僕も一緒に行きます」
ウエイトレスは仕方なしに厨房に足を向けると
亮がその後ろに付いて厨房に入った瞬間ウエイトレスに声を掛けた。
「そのワインには何が入っていたんですか」
ウエイトレスは無言で振り返りエプロンのポケットから
ナイフを取り出し亮の腹をめがけて突き出した。
亮はその手を握って捻り返して手を上に持ち上げると
鳩尾をめがけ強く突き口を手で押さえ床に倒した。
首筋にペンシル型の注射を打った
「團、1名確保!」
飲み物がおいてある、テーブルの前に立っているウエイトレスは
亮と一緒に歩いている仲間に気づき岡村幹事長の
テーブルへ向かおうとした。
「ねえ、あのウエイトレス彼とどこへ行くのかしら?」
早苗が声を掛けるとウエイトレスは驚いて早苗の顔を見た。
「はあ・・・」
「彼、女に手が速いからどこでもやっちゃうのよ。止めてやって」
それを聞いたウエイトレスは急ぎ足で厨房の入り口に向かった。
「ほら、あっちに行ったわ。あそこの階段なら人気が無いから
立ったままできるんじゃない」
早苗は階段の方を指さすとウエイトレスは走り出して
階段の前に立ち周りを見渡した。
「あんた、仲間を信用していないのね」
早苗は一瞬でその女の首に注射を刺した。
「早苗一人確保」
早苗が言うと仁木は壁側にいるウエイターの首筋を狙って
インシュリン弾を放った。
「うっ!」
痛みにウエイターは首を抑えると
めまいで足元から崩れ落ちそうになった。
「おっと大丈夫か?」
森は男に手を貸して会場から外へ出た。
「森、1名確保」




