HUMMER
「了解です。また連絡をします」
すると車の後部に弾丸の当たる音がした。
「カンカンカン」
「キャー」
助手席に据わっていたマリエが耳を塞いで頭を下げた。
「マリエ、祐希そのまま頭を下げていて」
後ろに座っていたマギーがマリエの頭を上から押した。
「亮、この車丈夫だわ!装甲が厚そう。それに防弾だわ」
「さすが兄さんの車だ!」
亮は後ろの車の弾丸を避けるように蛇行を始めた。
「亮、逃げるだけじゃダメだよ」
「でも武器が・・・」
亮はダッシュボックスをあけるとピストルが入っていた。
「マギー、ピストルが入っていたぞ」
「ワオ、GLOCK19だわ」
亮はマギーにピストルを渡すとマギーはスライドさせ装弾した。
「いいわよ、亮!」
「行くぞ!マリエ、祐希しっかり摑まって!」
亮は右に90°急ハンドルを切り車体が横を向きかけた時
サイドブレーキを引き左にハンドルを切り車を
スピンさせサイドブレーキを戻しアクセルを踏んだ。
「キャー」
マリエが悲鳴を上げた。
一瞬で相手の車と向き合うとその脇を通り過ぎた瞬間、
マギーはタイヤをピストルを発砲した。
「クッソ、はずれた!」
「しょうがない、100km以上のスピードだ」
「だってジェニファーは300kmのスピードで
飛行機の爆弾のコードに当てた」
マギーはジェニファーにライバル心を持っていた。
亮はなんて返事をして良いか悩んだ。
「分かった、今度は必ず当てろ。
ピストルの照準が1°ずれているはずだ」
「了解」
Uターンをしてきた敵の車が猛スピードで追いかけてきた。
~~~~~
「おい、姉ちゃんなんのようだ」
ビルの中の階段を2階に上がると美喜の前に男が立ちはだかった。
「ちょ、ちょっと・・・友達の部屋を探しに」
美喜が見た部屋に椅子に座らされているケアカを見つけた。
「ここにはいねえよ」
男は美喜肩を抑えると美喜を突き離した。
「はい、すみません」
美喜は階段を降りてスマートフォンを
手に取って電話をかけようとした。
「おっと、姉さん何処に連絡をするつもりだった?」
男が美喜のスマートフォンを取り上げた。
「返して!」
美喜がスマートフォンに手を伸ばすと
男は美喜に手をねじり上げた。
「何するのよ!」
男は暴れる美喜を抑えながら
2階の部屋に連れて行った。
「あっ」
そこには真っ青な顔をしたケアカが美喜を見て声を上げた。
「どうしたの?」
美喜はケアカの姿を見て何が起きていたか
直ぐに気が付いた。
ケアカの体には爆弾の付いたベストが着せられていた。
「ちょうど良い、一緒に来てもらおうか」
東洋人系の男が美喜に言って美喜の両手に手錠をはめた。
「私、何も悪い事をしていないわ」
「知っているさ」
男が美喜に答え後ろから背中を突いた。
ケアカは恐怖で体を丸め
体を震わせて階段をゆっくり降りていた。
「私達をどうするつもり?」
「道具だよ」
美喜は自分は人質、ケアカは人間爆弾として
使われる事が分かった。
しかし、必ず亮が助けに来てくれると信じて
いた。
~~~~~
「ロビン、美喜の場所は?」
「さっき、スマートフォンの電話が切れた」
「それじゃ・・・」
亮は美喜の行き先を推理していた。
「ロビン、何とか行き先を探してくれ」
「大丈夫だ、監視カメラと監視衛星で追跡している。
ケアカも一緒だ」
「了解、ありがとうロビン」
「カラ、お兄さんが見つかった」
亮に言われたマリエはホッとした様子で微笑んだ。
「亮、敵が増えたわよ」
後ろを見ていたマギーが亮に言うと
亮はミラーで後ろの車を確認した。
「えっ、3台も」
「そう、よほど亮が邪魔らしいわ」
マギーがそう言うと1台の車がぶつかって来た。
亮の運転しているHUMMERは右に弾かれ
亮は必死でハンドルを戻した。
「亮、ところでいつ反撃するつもり?」
マギーは眩しく照らすヘッドライトを見ながら答えた。
「ここじゃ観光客が多すぎる、もう少し走る」
亮はアクセルを深く踏み込みスピードを上げた。
後方の車もスピードを上げて追跡をしてきた。
元々軍用車のHUMMERのトップスピードは敵の車にかなわず
左右の両側と後ろに付いた。
そして両側の車は亮に向かった銃口を向けた。
「マギー、マリエ、祐希掴まっていろ!」
「キキキキー」
亮はタイヤから白煙を上げ急ブレーキを
踏んだ。
後方にいた車がブレーキをかけてHAMMERにぶつかる寸前
亮は左にハンドルを切ってアクセルを踏んだ。
そして後方の車は2周ほどスピンして激しい音を立て
ガードレールに激突した。
「亮!追突されたらどうするの?」
マギーは亮の無謀な運転に声を上げた。
「運転手は目の前に障害物が現れるととっさに危険を避けるために
左へハンドルを切るんだ」
亮は直ぐにアクセルを踏んで左側の車の後ろに付いた。
「マギー前の車の左につけるぞ」
運転手は運転中にピストルを撃てないので
左に付ける方が安全性が高いと亮は判断をした。
「了解」
マギーはドアのノブに手を掛けた。
「マギーきめてこい!」
亮の力強い言葉はマギーの心を揺さぶった。
「パンパンパン」
マギーの撃った弾丸は
高速で回転するタイヤを見事にぶち抜いた。
バランスを失った敵の車は対向車線へ飛び出していった。
「やったー」
マリエが手を叩くともう一台の車が横に
付いた。
「バ、バズーカ・・・」
亮の視界に後部座席でバズーカを構えている男が見えた。
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警察署の前に到着していた小妹達は
車の中で待機していた。




