水樹アンナ
「葛原は今度こそケイトを物にしようとしているので、
そこから逃げようと焦りが出てくるはずです」
「つまり、ケイトに飲ませるつもりなのね」
「はい、会場の六本木のルーセントホテルから
葛原のマンションまで歩いて2分ですから、
連れ込むのに最高です。葛原が薬をケイトに
飲ませる前に捕まえてください」
「分かったわ、捜査差押許可状は警視庁の
生活安全課が持って準備をしているわ」
「実は孝子さんのブラジャーに隠しマイクが
付いているので
葛原のアンナさんとの会話すべて把握できます」
「それで招待客はどんな人が来るの?」
「新聞社、雑誌社の記者、その他四菱銀行の
栗田さんに頼んだ人と、葛原が集めた連中なので
こっちにはわかりません。おそらく200人程だと思います。
でも葛原は自分の招待客の目の前で逮捕とは滑稽ですね」
「うふふ、そうね。是非 ロビンとキャシーに
会いたいと言う事で父も来るわよ。
いいでしょう」
「良いですよ」
亮は返事をしながら予想以上に人が
集まるような気がしていた。
キャシーとケイトのメイクアップが終わると
二人の美しさに店中の客と従業員が見とれていた。
「お待たせ」
キャシーが嬉しそうに亮の前に立つと
亮はキャシーとケイトの首にネックレスを付けた。
「これ何?」
キャシーはゴージャスなネックレスを手に取って
亮に聞いた。
「姉がデザインしたネックレスです。美宝堂からお貸しします」
「まあ素敵!」
亮はキャシーに感謝されたがそれを指示した、
美佐江は美宝堂の宣伝を忘れてはいなかった。
「亮、私には?」
美咲が物欲しそうな顔をした。
「美咲さん、あれいくらだと思いますか?」
「当然、高いわよね・・・」
「キャシーが付けているのが1200万、
ケイトが付けているのが860万円です」
「あっ、遠慮しておくわ落としたら大変だから。
でもあんな物売れるの?」
「はい、年に10個くらい。結婚する娘に
父親がプレゼントするみたいですよ」
「へえ。お金持ちっているものね」
「まあ、それだけじゃなく税金対策
にもなりますからね。それに使っている材料が
金とプラチナとダイヤモンド、価値が下がりません」
「なるほど、美宝堂は脱税に加担しているのね」
「馬鹿な事言わないでください。
ちゃんと領収書を発行していますよ」
「うふふ、冗談よ!」
真剣に答える亮の顔が可笑しくて美咲は笑った。
そこに真奈美と香もヘアメイクが終わって来た。
「こんばんは」
真奈美は銀游亭で会った美咲に香を紹介した。
「あら、今日も一緒」
美咲が皮肉交じりに聞いた。
「はい、色々あって美咲さん、僕たちは先に
行きますので会場でお会いしましょう」
「ええ、じゃあまた」
~~~~~
亮たちが六本木への移動中
孝子のスマートフォンにアンナから電話がかかってきた。
「ゆかちゃん、今何処?」
「銀座から六本木のルーセントホテルに向かっている途中です」
「私も今向かっているから時間が早いのでお茶しない?」
「そうですね、いいですよ」
孝子は亮に言われた通りアンナの誘いを断らなかった。
「孝子さんアンナさんからの電話ですか?」
「はい、時間が早いからお茶を飲みましょうって、良いですよね」
孝子は亮の質問に答えた。
「ええ、時間までお話をしていてください」
「團さんも一緒にいかがですか?」
「もちろん行きます。時間が空いたら・・・」
キャシーは亮の様子を見て優しく言った。
「亮、いいわよ。私はケイトと一緒にどこかで時間を潰すわ」
「すみません、キャシー。ロビーの奥のカフェに居ますので
何かあったら声を掛けてください。
イタリアンケーキのチョコ系が
メチャクチャ美味しいです」
「わあ食べたい!」
ケイトが声を上げた。
「じゃあ、私たちも行くわ。別な席で・・・」
「了解」
~~~~~
亮と孝子がカフェに着くと窓際の席に座っていた水樹アンナが
孝子を見つけて手を振った。
「すみません。いきなりパーティに呼びだして」
亮はアンナに丁重に謝罪した。
「いいえ、パーティに呼ばれる事なんか、
めったにないからうれしいです。
今日はどんなパーティなんですか?」
「アメリカンウエブのCEOロビン・ハイドと
キャシー・ハイドのウエルカムパーティです」
「私、こんな格好でよかったのかしら?」
アンナはいかにもアメリカ人がメインの豪華そうな
パーティと聞き、着飾った孝子を見て不安になった。
「そうですね、そのラメ入りの黒のミニのボディコンは
良いですけど・・・ブーツはいけません」
亮は手を上げてコンシュルジュを呼ぶように店員に伝えた。
「そうなんですか?どうしよう」
芸能界のカジュアルパーティしか知らないアンナは
ドレスコードなど全く知らず恥ずかしい思いでいっぱいになった。
「大丈夫です、ここは披露宴用の貸衣装がたくさんありますから」
そこへコンシェルジュがやってきた。
「お客様お呼びでございますか?」
「セミフォーマルの用のドレスをお借りしたいんですけど」
「はい、貸衣装室にご案内いたします」
「アンナさん行きましょう」
亮は孝子の脇に立って囁いた。
「少し待っていただけますか、
アンナさんを着替えさせてきます。そうだ
チョコレートケーキとカフェオレ頼んでおきますね」
「はい、ありがとうございます」
亮がラウンジを出るとキャシーとケイト、
ロビンと美佐江が入れ替わりに
カフェに入ってきて、その後ろに
柳本姉妹が付いてきていた。
「あれ、亮。彼女と一緒だ」
ロビンが振り返って言った。
「ロビン知っている女性?」
「うん、まあ」
美佐江に聞かれたロビンはまさか浩二や酒井組の組長といた
アンナだとは言えなかった。
「キャシーごめんなさい、あんな弟で」
美佐江は申し訳なさそうに言った。
「いいえ、一見メチャクチャな行動をしているようで
しっかり目的を持って行動をしている亮を愛しています」
「そうね、確かに変な奴だけど私も愛しているわ。
ただ女性関係が問題だけど・・・」
美佐江が首をかしげるとその先に一人で
大きなカップを両手に持って飲んでいる孝子を見つけた。
「孝子ちゃん」
美佐江が呼ぶとそれに気づいて孝子が来た。
「はい」
「一人にされちゃった?」
「はい、亮さん。友達のアンナさんの服装がダメだって
貸衣装を借りに行ったんです」
「そう、やはりあいつはおせっかいだ!」
「あのう、亮さんがスタジオDで働いていいと言われたんですけど
本当にいいんですか?」




