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ハイドロイヤーズ

「大丈夫、政治家はお金を持てば黙っていても近づいてくるわ。

 偉そうな事言ったって国は民間人の

力がなければ何もできないのよ、

そもそも私たちの税金で動いているんだから」

「あはは、それもそうですね」


亮たちが丸の内センタービルのハイドロイヤーズに着くと

何人物の人たちが真新しい事務所内を忙しそうに動いていた。

「申し訳ありません、オープンは明日からです」

受付の女性が亮に話しかけた。


「はい、承知しております。それで所長さんは

いらっしゃいますか?團と申します」

「團様ですか!失礼しました。所長がお待ちです」

受付の女性は大事な客と聞いていたので

もっと年を食った偉そうにしている男性が来ると思っていた。


「後から女性が二人来ますので彼女たちもお願いします。

 知っていると思いますがタレントの

金子紀子さんと内田めぐみさんです」

「はい、かしこまりました」

受付にいた女性は恐縮手ながら

亮とキャシーを所長室に案内すると

大門はにこにこ微笑みながら亮とキャシーに握手を求めた。


「いらっしゃいませ、所長の大門です」

「團です。こちらがランド不動産のCEOのキャシー・ランドさんです」

亮がキャシーを紹介すると大門は満面の笑みを浮かべた。

「キャシーさん、所長の大門です。よろしくお願いします」

国際弁護士事務所の所長とあって流暢な英語とその立ち振る舞いは

まるでアメリカ映画の敏腕弁護士のようにとてもスマートに見えた。


「早速ですが、ランド不動産の日本支社設立に

当たっての手続と顧問契約をお願いします」

「それはありがとうございます、早速担当者を呼びます。

 一人はニューヨークのハイドロイヤーズから帰国したばかりの

 沢村隆君、もう一人はアシスタントの岩倉幸子君です」

間もなく二人が所長室に入り亮はランド

不動産日本支社の概要を説明し

30分ほどで打ち合わせを終えた。


「それではよろしくお願いします」

四人が握手をすると岩倉幸子がニコニコ笑っていた。

「お久しぶりです、團さん」

「幸子ちゃん、こちらに移ったんですね」

「はい、結構入所に難しかったんだけど

 無事に勤める事が出来ました」


「良かった」

亮は幸子に会って秋山良子の友達弓子を思い出した

「ええ、團さんに勉強を教わったらすごく

勉強が好きになって、東大に入って弁護士になって

一流弁護士事務所に挑戦できました

團さんのお陰です」


「そうか、良かったですね。ハイド弁護士事務所は

 アメリカで一番ですからね」

「はい、團さんは御存じなんですか?」

「ええ、息子のロビン・ハイドが学生時代の時から

 友達なんです」

「そうなんですか、すごい」

幸子と沢村が所長室を出ると入れ替わりに

紀子とめぐみと奈津美が案内されてやって来た。


「あっ、奈津美さん」

亮は一番後ろから入ってきた奈津美に気づいて声を上げた。

「大門さん、彼女たちの事務所の移籍の

交渉をお願いしたいんですですが」

「そうですか。うちの事務所は渉外弁護士が

多いのでその手の経験者は・・・

 特にタレント事務所は雇用形態が特殊ですからね」

大門は所属弁護士の経歴書を調べていた。


「難しいですか?」

紀子は心配そうに聞いた。

「いいえ、雇用契約ではなくおそらく所属契約でしょうから

 契約書に契約破棄にどれだけの罰則事項が書いてあるかですね」

大門は紀子とめぐみの契約書を受けとってそれを読んだ。


「ああ、歩合制の1年毎の自動更新、労働条件に不服があった場合は

申し出るとありますから問題ないですね。これならさほど

経験がない弁護士でも大丈夫です」

大門の紀子とめぐみはそれを聞いて胸をなで下ろした。


「私は毎月20万円お給料をもらっています」

奈津美が手を上げた。

「それは難しいですね。あなたを育てるために

投資したお金の回収がありますから

 無理に辞めようとすると

損害買収を請求してくるでしょう」

大門は冷たく言い放った。


紀子たち三人は堂島社長に葛原の所へ

行けと命令されて被害にあった事を説明した。

「社長に葛原氏と関係持つことを

強要されましたか?」

「いいえ」


「そうなると個人的な交際で

あなたの任意で関係を持った

という事になりますね」

「そうですか・・・」

紀子たちは肩を落とした。


「冷たいようですが、堂島社長に悪意が

あったとは判断できません」

大門は三人にそう言い含めた。

「では、團さん契約解除を先方に

通知し交渉すればいいですね」

「はい」

亮は大門がどんな人間か観察するために黙って頷いた。

すると大門は直ぐに電話を取って電話をかけた。


「堂島社長いらっしゃいますか?弁護士の大門と申します」

しばらくするとその電話が堂島に代わった。

「おたくの所属タレント、金子紀子さんと内田めぐみさんが

 契約の解除を申し出ています」

「なんだって!ふざけるんだねえ。契約不履行

だ損害賠償を請求するぞ!」


「分かりました、しかるべき手続きを」

大門は自分の連絡先を言って電話を切った。

「ありがとうございます」

紀子は大門が突然堂島に電話を

掛けてくれたので驚いていた。


「いいえ、これも仕事ですから。

私は金子さんのファンで内田さんの水着の

ポスターは部屋に貼ってあるんですよ。

池田さんは母が毎朝ドラマを見ていました。

あはは」

大門は照れたように笑った。


「ありがとうございます。先生」

「池田さんの方は少し待ってください、

担当の弁護士が連絡をしてくるはずです。

 それまでにうちも弁護士を人選して

作戦を練っておきましょう」


「大門さん、向こうの弁護士は熊田栄という人です」

亮は弁護士が作戦を練りやすいように

熊田の情報を伝えた。

「えっ?熊田!」

「はい、ご存知ですか?」


「ええ、この業界は狭いですからね・・・

この仕事は私が担当させていただきます」

大門が急に自分が担当をすると聞いて亮は

大門と熊田がただならぬ因縁を持っているように思えた。


「遅くなって済まない。朝からピーエヌエーがホテルに来て

 打ち合わせを始めてしまって」

そこにロビンが入ってきて大門と握手をした。

「亮、打ち合わせは済んだか?」

「はい、ランド不動産の顧問契約をお願いしました」


「そうか、大門は優秀な男でおやじの

事務所でアジア担当のエースだった。

 頼りになるぞ」

「ええ。それに人情に熱いですね」

亮は大門がとても気に入った。


「亮、誰かいい人がいたら紹介してやってくれ。

 仕事に熱中するあまり婚期を逃したそうだ」

ロビンは亮の耳元で囁いた。

「おいくつなんですか?」

「42歳だ」

「分かりました、マジで探します」

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