ケイトの危機
「うーん」
ケイトは全く力が入らなかった。
「ケイトしっかりしてください、亮さんが待っています」
「はい」
フラフラになったケイトは亮と言う名前を聞いて体をしっかりさせた。
「ケイトは体の調子が悪いので私の部屋で休ませましょう」
「いいえ、連れて帰ります。今!」
元機動隊の三雲は迫力のある眼で葛原を睨みつけ
いつでも葛原の喉を突けるように3本指を立てていた。
「うん」
フラフラになったケイトは亮のいう名前を聞いて体をしっかりさせた。
「は、はい。タクシーを呼びましょうか?」
「大丈夫です」
三雲はケイトの腕を肩に回し抱えて葛原の部屋を出た。
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「亮さん、浩二が入った部屋は1901号室です」
浩二を付けていた仁木から連絡が入った。
「了解です。仁木さんもう一度葛原のマンションの前に待機してください、
三雲さんがケイトを連れて出てきます」
「彼女に何かあったんですか?」
「覚せい剤を飲まされたようです」
「了解です」
仁木は急いでマンションの玄関に向かった。
亮が仁木との通信を終えるとチャイムがなった。
「池田奈津美と申します。團さんいらっしゃいますか?」
「はい私です。ドアを開けます」
亮はボタンを押し玄関の戸を開けた。
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「喉が渇いた」
気遣いの荒いケイトが三雲に支えられて玄関から出てきた。
「おい、大丈夫か?」
駆け寄った仁木が三雲に聞いた。
「ええ、少し呼吸が荒いようです」
「随分汗をかいているが大丈夫だ。早く部屋に連れて行こう」
「はい」
「フロントで怪しまれるからエレベーターまでこうして
歩いていいこう」
~~~~~
池田奈津美が部屋に入ると亮は直ぐに紀子に電話を掛けた。
「紀子さん、奈津美さんを無事に保護をしました。
自宅に責任を持って送り届けます」
「ありがとう、亮。奈津美ちゃんを
葛原にやらせるなんて堂島を許せないわ」
「ええ、ロビンが来ましたので明日弁護士と打合せしましょう」
「お願いします」
「じゃあ、奈津美さんと電話を代わります」
亮はスマートフォンを奈津美に渡すとチャイムが
鳴りボタンを解錠すると亮はキャシーにケイトの介護を頼んだ。
「キャシー、ケイトが来ますのでベッドの用意してください。
それからタオルをたっぷり」
「わかったわ」
亮はコップに塩をたっぷり入れてぬるま湯で解いているとケイトが
仁木に抱きかかえられ運び込まれてきた。
「キャシー、ケイトの服を脱がせてバスルームへ」
キャシーがケイトの服を脱がせると亮はバスルームにケイトを運び
口移しで塩水を飲ませた。
すると間もなくキャシーは亮が用意したボウルに吐いた。
「亮、それどうするの?」
「麻薬の検査をします」
亮は不思議そうな顔をして質問するキャシーに答えた。
キャシーが汚れたケイトの上半身を
タオルで拭くと亮はケイトの体を
バスタオルで巻いてベッドに寝かせた。
「キャシー、気道確保してください」
「はい」
キャシーは枕をケイトの首の下に入れ頭部を後ろに反らせ
気道を開け、亮はマウスツーマウスで
息を吹き込みケイトの手首に手を当て心拍数を数えた。
「脈拍145、ケイト。ケイト」
亮はケイトの頬を軽く叩いて意識レベルを確認した。
「何があったんですか、ケイトさん」
奈津美は亮がケイトをバスルームから
抱いて連れ出した様子を見て三雲に聞いた。
「ケイトがあんたの代わりに飲んだ
オレンジジュースの中に麻薬が入っていたんだよ」
三雲は奈津美を睨むように答えた。
「えっ!」
奈津美は口に手を当てて呆然としていた。
「もし、君が飲んでいたら今頃葛原か
周りにいた男達に犯されていたはずだ」
奈津美はケイトの様子を自分に置き換えて想像すると
恐怖のあまり床に座り込み泣き出した。
ケイトは亮に頬を叩かれてうっすらと目を開けた。
「ああ、亮」
ケイトは亮の首に手を回しキスをねだり
その激しいキスはキャシーが目を背ける程だった。
しばらくするとケイトはゆっくりと眠りに落ちていった。
「吐かせて正解ですね。最近の合成麻薬は普段飲んでいる
薬に過剰反応して命を落としている人もいます。
もしかしたらケイトは精神安定剤を飲んでいたかも」
亮はケイトが精神障害の病気で
モデル業界から引退した事を思い出した。
「亮、ちょっと来てくれ」
寝室のドアがノックされロビンが顔を出した。
ロビンはリビングルームのパソコンを操作して
深刻な顔で亮に話をした。
「まず声の方だ、俺は日本語がよくわからんから聞いてくれ」
亮は録音された会話を再生した。
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「社長、池田奈津美に逃げられてしまいましたね」
「まあ、いいさ。あんな小娘。
それよりケイトにこのポーチを明日返すとき必ず口説く
スーパーモデルと言ったって金を渡せば喜んで股を開くさ」
「そう言えば社長は昔から白人好きでしたね」
「ああ、あの時の声が日本人と
比べ物にならないほどスケベだからな」
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亮は葛原の会話を聞いて怒りで手を握り締めた。
「亮、あいつかなりの悪党だ。
絶対契約をしたくない」
そう言ってロビンが画像はパーティに出ていた女性を
隣の寝室で集団で襲っている映像だった。
「ここからの映像だから角度が悪いが女一人に三人で襲っている。
音も録音してあるから彼女は暴行で訴えることができるぞ、
もっとも合意だったら無理だがな」
ロビンは弁護士の父親が嫌というほどその手の事件を扱っていて
裁判の難しさを知っていた。
「そうですね、日本の場合は親告罪ですから彼女が訴えない限り
葛原は罪になりません。
やはり覚せい剤の所持の方から攻めるしかないですね。
ただ、罪は罪どんな事が有っても葛原を牢屋に入れます」
亮は自信を持ってロビンに答えると
ソファーに座ってうなだれている
奈津美のところで行った。
「奈津美さん、落ち着いたら帰りましょう。
僕は用事があるので誰かに送らせます」
「でも・・・」
奈津美は仁木と三雲の顔を見て戸惑っていた。
「大丈夫ですよ、そこの二人は元警察官、
こっちのはアメリカンウエブのCEO、寝室に
いるのがアメリカのランド不動産CEOです。
僕が一番怪しいですね、あはは」
「でも、紀子さんは團さんが護ってくれると言ったから・・・」
「分かりました、奈津美さん割と頑固ですね」
「すみません、結構頑固です」
奈津美はぺろっと舌を出した。
「じゃあ、キッチンに有る物食べてください。
眠くなったらこっちの寝室が
空いていますから寝ていいですよ」
亮は寝室に置いてあった箱の中からロープを取ってきた。
「亮さん、何をするつもりですか?」
仁木が亮に聞いた。
「ここから19階の浩二いる部屋のベランダに降ります」
「19階ってここから15m以上ありますよ、その下は50m」
仁木は亮の無謀な行動に驚いていた。
「ええわかっていますよ」
「亮さん待ってください、俺が降ります」
三雲が亮のそれを止めに入った。
「ありがとう、でも僕がやります」




