葛原の部屋
「いますよ。特に経済新聞記者は
海外の経営者が大好きですからね」
「よかった、ではお願いします」
亮は続いて記者の星野澄子に電話を掛けた。
「お久しぶりです。團です」
「あっ、團さん」
澄子は亮が大怪我をしていたと言う
噂を聞いていたが連絡をしていいか悩んでいる所だった。
「早速ですが明日アメリカの実業家のパーティが
有るんですけど取材に来ませんか?」
「本当ですか?どなたですか?」
「ランド不動産のCEOとアメリカンウエブのCEOです」
「わ、分かりました。あの美人経営者キャシー・ランド
さんですよね」
澄子はあり得ない出来事に確認をした。
「そうです」
「分かりました。明日は上司の立原も行きます」
亮が電話を切るとロビンが嬉しそうな顔で言った。
「亮、葛原は大喜びだったぞ」
「OK、では今から六本木の部屋で打ち合わせをしましょう」
「おお、行こう行こう」
「私たちも行くわ!」
結局、孝子と別れ五人で亮のマンションへ行くことになった。
~~~~~
亮の部屋に入ると豪華な内装に歓喜の声を上げた。
「おお、ペントハウスか」
ロビンはゆったりした応接椅子に座り足を投げ出した。
「ねえ、あのエッフェル塔みたいな塔は何」
キャシーは指をさして聞いた。
「東京タワーです」
「素敵な景色だわ」
キャシーはデッキに出て大きく息を吸った。
「ロビンちょっと来てください」
亮はロビンを呼んで向かい側の
マンションの24階の部屋を指差した。
「あそこが葛原の部屋です」
「へえ、ここから丸見えじゃないか」
「赤外線スコープが有るといいんですけどね。
今日も忙しくて買えなかった」
「ねえ、亮。ベッドルームに大きな箱があるけど何?」
美佐江が亮を呼びに来た。
亮はベッドルームに行くと美宝堂のインテリアコーディネーターが
到底置いたと思えない場違いな黒ボックス置いてあった。
「これって何?」
美佐江が指差した。
「何かあるといけないので
姉さんはこの部屋から出てください」
「大丈夫?」
「大丈夫ですよ。早く!」
美佐江は部屋を出ると亮は箱を開けた。
「おお・・・」
亮は箱を開けて声を上げた。
その中には暗視スコープ、赤外線望遠カメラ、
登山用のベルト、ロープ、
ナイフなどが入っていた。
「これって彼女たちか」
亮は絵里子のガードをしているマギーたちが
くれたものだとすぐに分かった。
なぜならセキュリティの高い億ションに難なくはいれるのは
鍵開けと侵入のプロの桃華と蓮華に違いなかったからである。
亮は素早くその道具を箱から取り出し部屋から出た。
「姉さん、箱の中身は僕が頼んでおいたカメラと双眼鏡でした」
「なーんだ、心配させないでよ」
美佐江は亮の持っている双眼鏡とカメラと三脚を見てホッとした。
「ロビン、面白い物があった」
亮はロビンに双眼鏡を渡すと三脚を立ててカメラを固定した。
「亮、部屋の中に大勢の人がいるみたいだ」
「ええ、そうですね」
亮はファインダーをのぞきながら写真を次々に撮っていた。
「亮、この程度の写真をとっても役に立たないんじゃないか」
「ええ、でも部屋の中にいる人間は誰だかわかります」
「まあ、亮ならできるな」
「二人とも何をやっているの?帰るわよ」
美佐江が亮に声を掛けた。
「姉さんは先に帰ってください、僕たちはもう少しここにいます」
「まったく、まったく覗きなんて悪趣味なんだから・・・」
美佐江は亮をにらみつけていた。
「亮、明日の朝キャシーが来るんだから遅くまで遊んでいちゃだめよ」
「分かっていますよ」
亮やっている事が弟の遊びだ
と思っている美佐江に亮は手を振った。
「ちょっと待って、美佐江」
ロビンは美佐江を玄関へ送って行った。
「あら、二人が出て行ったわ」
キャシーは二人の行き先を羨ましそうに見ていた。
「どうせキスでもしているんでしょう」
亮が冷静に答えた。
「私たちは?」
キャシーは亮の顔に頬を寄せた。
「後でお願いします・・・」
亮はキャシーとケイトの二人をどう扱っていいかわからなかった。
「ケイトお願いがあります」
亮はキッチンの脇にあるワインクーラーからワインを2本取り出し
ワインキャリングケースに入れた。
「ケイトこれを向かいの棟の部屋に届けて欲しいんです」
「わかったわ」
そこに美佐江を見送ったロビンが戻ってきた。
「ロビン、葛原にお土産を渡したいと
電話をかけてください。ケイトが届けます」
「ん?何を持っていくんだ?」
「ワインです」
亮はキャリングケースを見せた。
「シャトー・オー・ブリオンとシャトー・ムートンの
2009年じゃないか1000ドル以上するぞ」
「ええ、天下のアメリカンウエブCEOの
お土産ですからケチなことは言えませんよ」
「まあそうだが、だが飲んでみたい!」
ロビンは羨ましそうな顔でワインを人差し指で触った。
「まだありますよ。ワインクーラーに」
「わかった、後でごちそうになる」
ロビンはスマートフォンを持って葛原に電話をかけると
葛原は日曜日の夜のホームパーティの最中で
ロビンがお土産を届けるというと葛原は大喜びだった。
「葛原、私が届ける事が出来ないが君はきっと喜ぶよ」
ロビンはそう言い残して電話を切った。
「亮、OKだ行ってくれ!」
「ありがとう、こちらからの監視をお願いします」
亮とケイトは部屋を出て行った。
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「キャシー、亮との事どうするつもりだ。
絵里子から奪い取るわけにいかないだろう」
「分かっているわ、絵里子は私に気遣って
とても優しくしてくれる。私は絵里子が大好き、
でもどうしようもないのよ。
私は亮が好きでたまらないの」
「俺は男でよかったよ。一生亮と友達で
いられるからな。男と女はそうは行かない、
浮気、嫉妬、独占、争いその結果は離別だ」
ロビンは両手を広げ首を横に振った。
「分かっているわ、だから私は亮に大事な物をもらったの」
「大事な物?」
「今にわかるわ、ところであなたたち何をやっているの?」
「今にわかるさ」
ロビンが双眼鏡を見てにやりと笑った。
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エレベーターに乗るとケイトがいきなり亮に抱きつきキスをした。
「やっと二人きりになれた」
「はい」
亮はそう返事をしながらケイトの腰に手を回した。
「それで私は何をすればいいの?」
「まず、ケイトと僕が葛原の部屋に
このワインを届ける、スーパーモデルケイト
が葛原の部屋に来たんだお客さんは君の写真を撮りまくる
その間に僕はトイレに行くふりをしてバスルームに行き
チョングボディシャンプーを探してサンプルをとってきます」
「簡単!でもそのチョングシャンプーって何?」
「麻薬が入ったシャンプーです」
「まあ、気持ちよさそう。使ってみたい」
「ダメですよ」
「じゃあ、亮の魔法の杖使って気持ちよくさせてよ。
日本に友達いなくて寂しいんだから」




