ニンジャの攻撃
亮はマスクをかぶると目つきが変わった。
そして赤コーナーのジェイソンの入場が終わり
ザ・ニンジャのコールがされると、
顧客の声援が頂点に達し
ほとんどの客が亮の忍者のような動きを撮ろうと
スマートフォンの動画のスイッチを入れた。
亮は花道を全力で走りリングの最上段に上り右手で天を指差した。
「おい、降りてこい!」
ジェイションは上から目線で見られるのを嫌い
亮を引きずり下ろそうと手を伸ばすと亮はその手を超えて
リング中央に向かって飛び込み前転をして立ち上がり
ジェイソンの方を向いた。
「ジェイソン、まだゴングは鳴ってないぞ」
レフェリーがジェイソンを静止しボディチェックをした。
次に亮の体をレフェリーがボディチェックを
終えるとゴングがなった。
そして、亮とジェイソンが両手で四つに組とジェイソンは
亮の指を折れんばかりに体重をかけてきた。
亮は力に押され右膝を付くとジェイソンは
もっと体重をかけた、
その時亮は突然右手の力を抜きジェイションの
体重を利用して
体を左に逃し回転させ亮は一瞬ジェイソンの上に乗ると
体を持ち上げジェイソンのヘソの下を両膝で突いた。
「うっ!」
ジェイソンはその痛みで両手を外した。
亮は立ち上がりコーナーに走り体を
返し側転からバク転を2回すると高く飛ぶ上がり
後方3回転2回ひねりをして立ち上がったばかりの
ジェイソンの胸に両足でキックした。
「あっ、これって体操床のG難度じゃないか」
体操に詳しい観客が声を上げ映像を撮り続けた。
亮の変わった動きに目を取られた
ジェイソンは床に倒れ後頭部を強打した。
亮は倒れているジェイソンが起き上がるのを待って
ジェイソンが立ち上がるとローリングソバットで
数度ヘソの下を攻撃した。
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「ピョートル、亮は何をしようとしているんだ、
あれじゃただのパフォーマンスで
ジェイソンはダメージを受けていない」
「ああ、逆に飛んだり跳ねたりしている亮の体力がもたんだろう」
「このまま負けてマスクでも取られたらYouTubeにアップされて
大変な事になる」
ピョートルは自分たちがどう動いていいかわからなかった。
~~~~~
ピョートルとアントンが危惧したように、
ジェイソンはことごとく亮のキックや
パンチを跳ね返し始め、ついに亮のキックの足をつかみ
大きく持ち上げ亮を背中から落とした。
「うっ!」
初めて背中から床に落ちた亮の息が止まった。
その上にジェイソンはジャンプし亮に首元に肘打ちをかませ
亮の頭をつかみ立ち上がらせボディスラムで亮を床に叩きつけた。
「ああ、亮がやられちゃう」
ナターシャが泣きそうな顔で手を握り締めた。
「やっぱり体力の差?」
ナターシャが呟く
「亮はまだ負けていないぞ、
亮は床に叩きつけられるが両手で床を叩き
しっかり受身をとっている」
アイザックが言った通り亮はまだ負けていなかった。
亮はジェイソンに抱えられる瞬間、
足で蹴り自分の投げられる
場所をスプリングの上になるように
微妙にコントロールしていた。
目だけが出ている覆面の向こうの亮の目は笑っていた。
全く弱る様子を見せない亮にジェイソンは
腹を立てついに仰向けになった
亮の頭を踵で蹴り落とした。
「キャー」
ジェイソンの残酷な仕打ちに会場から悲鳴が上がると
ジェイソンは反則技の股間を何度も蹴り上げた。
亮は股間を抑え転げ回った。
「キャー亮のあそこが!」
以前自分を抱いた亮のたくましいあそこがダメになりそうで
ナターシャが心配で悲鳴を上げた。
心配する女性たちをよそに、ピョートルとアントンが
声を出して笑った。
「あはは、亮のあそこは鉄より硬い。大丈夫だ」
それは亮が覆面と履いているタイツがダイヤモンド並みに硬い
炭素繊維で出来ているのを知っていて亮の演技である事が
わかっていた。
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「ああ、あのままじゃ今夜はダメかしら」
景子は亮を分析して呟いた。
亮は股間を抑えながらリングを転がってリング下に降りると
レフェリーは亮がリングに上がるように
亮に促しカウントを数え始めた。
「炭素繊維、悪くない」
亮はジェイソンに蹴られた股間が全く痛みを感じないので
感心して股間を強く握った。
「さて反撃開始だ!」
亮は高さ1mの上に乗り最上段のロープを引き
その反動でコーナーポストの上に立って腕を組んだ。
その勇姿に歓声が響いた。
「まだ、生きているのか」
ジェイソンが亮を引きずり下ろそうとすると
亮は伸身2回宙返りをして
ジェイソンの後ろに立つとウエストに手を回しバックドロップを放った。
そのバックドロップは一瞬横を向いたように見えたが
ジェイソンの右耳の後ろにある乳様突起を床に叩きつけた。
「ぐわ!」
人間の急所である乳様突起を突くと全身が痺れ
戦闘能力を落とす。
亮はそのタイミングを逃さず再びバックドロップを放った。
首から落ちたジェイソンの反動で亮はもう一回体を
返して再びバックドロップをジェイソンの首に
衝撃を与えた。
「これで頸椎がずれたはず」
亮はふらフラついて立ち上がったジェイソンに
対して間髪を入れずもう一度
バックドロップを放った。
「この野郎!」
ジェイソンは力を振り絞って亮の両足に抱きつき
アキレス腱固めを掛けた。
「ううう・・・」
亮は悲鳴を上げた。
「どうだギブアップしろ」
ジェイソンはありったけのチカラで
亮の右足首を腕で縛り上げた。
「ま、まだだ!」
亮の履いている炭素繊維は急激な力に作用して固くなるが
ゆっくりとした圧力には普通の布と同じ柔らかさで
亮は痛みに耐えた。
「俺は負けるわけには行かないんだよ。
たくさんの金がかかっているからな。
お前がさっきロシア人選手を倒してくれた
おかげで俺のオッズが上がったありがとうよ」
「そうか、賭博か」
亮は体をうつ伏せにしてジェイソンから逃げ出し
床の上で体操の鞍馬のように体を旋回させ
足の痛みを癒していた。
ジェイソンは飛び掛かるタイミングを図っていると
亮はロープに向かって走った。
プロレスのリングのロープはワイヤーにゴムが巻かれたもので
その反動力はかなり強い、そのロープを
利用して亮は弾力でスピードを上げ
ジェイソンの体に体当たりをして倒し、
ジェイソンの右腕をつかみ足をジェイソンに絡め
体を反らした。
これが腕十字腕固めで決まれば一瞬で相手が
ギブアップをするサブミッション技である。




