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レスリング

亮はいつも自分を気に留めていてくれる

飯田を馬鹿にされていたようで

怒りで顔が熱くなるのがわかった。


「亮、あなたはどんな仕事をしていたの?」

「元ですか?製薬会社に勤めて昔はプロパーと

言った病院に薬を売るセールスマンでした。

今はMR、Medical Representative(医療情報担当者)と言って

薬の情報や効能を説明したしますが、

結局営業ですから接待で銀座へ招待したり

担当医のご家族には海外旅行をプレゼントしました」


「そう、大変なのね。今度海外旅行はうちを使って

「はい、そうします」

「ところで英語の発音がいいわね」

「そうですか。4年間アメリカの

ボストンの大学へ行っていましたけど」


「大学?まさかハーバード?」

「あはは、ボストンは大学の数が100校、

人口の3分の1の20万人が学生ですからね」

亮は肯定も否定もしなかった。


「それだけ語学ができるのに格闘家って

もったいない気がする。うちの会社

 だったらすぐに幹部になれるわ」

「じゃあ、ついでに社長になっちゃいましょうか。あはは」

亮が言った冗談を真に受けた景子はしばらく考えて答えた。


「それいいわね、私は安田の秘密を

知っているし1年もあれば乗っ取れるわ。

そうなれば海外で遊び放題、

愛人持ち放題よ。私は許さないけど」


「どうやって?」

「それはHITは何回も上場寸前で

失敗しているのには理由にあるの、それを暴けば

安田は投資家に殺されるかもしれない」


「それは穏やかじゃない話ですね。

上場に失敗していると言うのはワザという事ですか」

「そうよ、どう私と組まない。社長になれるわよ」

景子は亮の顔を見てニコニコと笑った。

「良いですね、それで組む条件は?」


「あなたを信用したいので

私を満足させてちょうだい」

「景子さん、不感症なんですか?」

「そうよ、他の女性たちが快感に溺れていく

姿をずっと指を咥えて見ていた。

羨ましかったわ」


「景子さんあなたはいったことないから。

男を責めることに快感を覚えたのかもしれません」

「その通りよ、私がマッチョ好きなのは責めても

壊れないからよ。今までのか弱い男たちは

ヒールで背中を踏んだだけで逃げ出して行ったわ。

でも優弥はたくましかった。

踏んでも鞭で打っても耐えてくれたわ」


「元々格闘家はMが多いですからね」

「えっ、格闘家はSじゃないの?」

「どんな辛い練習にも耐えられるアスリートの忍耐強さはMです」

「そうか・・・じゃああなたもMなのね」

「まあ、頑張ってみます」


「楽しみだわ」

景子はそう言って亮の右手を握った。

「レザーの匂いが素敵。これあなたの車?」

※レザーの匂いは女性を興奮させると言われていて

メンズコロンのレザーの香は女性にも購入者が

いると言われている。


景子は車の革張りシートの匂いを嗅ぎ、

手で撫でながら亮に聞いた。

「これあなたの車?」

「いいえ借り物です。今夜のために借りました」

「自分の車は持っているの?」

「いいえ」


「そう、車買ってあげようか?」

「えっ?経費でですか?」

「まさか経費で車なんて買えないわよ。

ちょっと大きなお金が入ったから」

「大きなお金?」

「実は優弥からもらったのよ」

景子は興奮して秘密をばらした。


「どうしてですか?普通客がホストに貢ぐはずなのに」

「実はアメリカのHITの支店から優弥宛てに

商品を送ってもらっているのよ。

その商品のリベート」

「それって何ですか?」

「シャンプーよ。アメリカの宗教団体が作っている

天国のシャンプーなんだって」


 亮はその言葉でかつてNEL教団からヘブンシャンプーを

 輸入していた一文字を思い浮かべていた。

「ああ、優弥さんからもらったお金ですか?」

「そうよ、相当儲かったらしくて

たくさん手数料をくれたのよ」


「でもまだ知り合ったばかりなので

僕はもらう理由は有りません。

それに東京は電車で十分です」

亮は優弥が景子に多額な金をくれた

理由はただの輸入の手伝いではないと

考えていた。


「そう、そうよね」

ホストはお金で動くと思っていた

景子は亮の意外な返答に困惑していた。

「とりあえず、今夜僕があなたを満足させる事に集中します」

ディファ有明に着いて中に入ると客席の真ん中に

リングがセッティングされそこでは試合が始まっていた。


「レスリングですか?」

「今は前座で女子プロレス、格闘家の試合は8時からよ」

「友逹ってまさかリングの上の?女子プロレスラー」

亮はニヤニヤと笑った。

「もっと素敵な人よ、来て!」


「もっと素敵な人!はいはい」

景子は亮を選手控え室に連れて行った。

男臭い部屋の向こうにタオルを肩にかけた

巨大な黒人の男が座っていた。

「男かー」

亮はがっかりして首を下げた。


「はーい、ジェイソン」

景子は男とハグをすると天井まで持ち上げられた。

「ジェイソン、日本の格闘家の亮よ」

「はじめまして」

亮が頭を下げるとジェイソンの目つきが鋭くなった。

「聞いたことも見たことも奴だ」


「すみません、団体が違うので」

「そうだろうな、俺と戦うとこまで頑張りな」

「はい」

亮が答えるとジェイソンが景子を抱き上げてキスをした。

「景子今夜試合が終わったらどうだ?」


「ごめん先約があるの」

景子は亮の方を見つめた。

「おいおい、またムチでペンペンかよ。

逃げ出したら俺のところに来いよ。

 太いのをぶち込んでやるぜ!」


「あら、今夜はリングサイドのギャルと3Pじゃないの?」

「あはは、二人で足りればいいんだが、

どうも日本人の若い女はあれが下手で物足りない。

景子ここでしゃぶってくれないか」

ジェイソンは景子の頭を掴んだ。


「やめて!今日は止めておく」

景子はジェイソンの手を払い退けた。

「ジェイソン止めてください。試合前でしょう」

亮は力いっぱいジェイソンの手を掴んだ。

「くっそ!この若造がいつか潰してやる」


「さあ、戻りましょう、景子さん」

亮は景子をかばうように背中を押して部屋から出した。

「ジェイソン、日本人をなめるなよ!お前がアメリカに帰ったら

 1試合も勝てないだろう」

「ふざけるな!」

ジェイソンはドタドタと亮に飛びかかって来ると

体を翻しドアを開けて外に飛び出した。

「景子さん逃げましょう!」

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